サラリーマンのときは社会保険に加入していたはずですが、個人事業主になると「国民健康保険」に移行しなくてはいけなくなります。
この国民健康保険料ですが、どのように仕訳をすれば良いでしょうか?
- 個人事業主の社会保険料とは
- 国民健康保険の仕訳処理方法
- 保険料の払い方別の勘定科目
- 社会保険と健康保険の違い
個人事業主が払う保険料は、経費になるものとならないものがあります。
結論、個人事業主が自分のために払った社会保険料(国民健康保険料)は、経費にはなりません。
つまり、国民健康保険料の支出は帳簿に記帳する必要はないのですが、会計処理をしなくてはいけないケースもあります。
この記事では、個人事業主が自分で仕訳処理をするときに、勘定科目をどうすべきか詳しく解説します。
個人事業主の社会保険料を仕訳!勘定科目は何?
個人事業主の社会保険料(国民健康保険料)は、経費にはできません。
なぜなら、経費とは事業に関わる費用である必要がある一方で、事業主本人にかかる保険料はプライベート費用だとみなされるからです。
ただし、事業用の口座から社会保険料(国民健康保険料)が引き落とされる場合には、勘定科目を「事業主貸」として記帳します。
例えば、20,000円の社会保険料(国民健康保険料)が普通預金から引き落とされた場合には、下記のように仕訳をすることになります。
≫ 社会保険料(国民健康保険料)の仕訳例
借方 | 貸方 |
事業主貸 20,000円 | 普通預金 20,000円 |
社会保険料(国民健康保険料)以外に記帳が不要なもの
今回は社会保険料(国民健康保険料)に着目していますが、他にも記帳が不要な事項は複数あります。
- 住民税
- 所得税
- 年金
このようなものについても、プライベートの費用や資産として考えられるため、記帳は不要です。
もし事業用口座から引き落とされる場合には、上記で解説したものと同様に処理をしましょう。
個人事業主の社会保険とは?→国民健康保険です
上記では「社会保険料(国民健康保険料)」と記載してきましたが、個人事業主の場合に入らなくてはいけない保険は「社会保険」ではなく、「国民健康保険」です。
社会保険とは「健康保険組合」や「全国健康保健協会」が運営する健康保険のことで、サラリーマン(会社員)であれば入社と共に加入しているはずです。
しかし、サラリーマンが個人事業主になった場合は、社会保険から「国民健康保険」に切り替えなくてはいけません。
そもそも、「社会保険」と「国民健康保険」の違いは理解できているでしょうか?
簡潔に2つの違いを紹介します。
社会保険とは?
社会保険は、家族を扶養に入れられる点が国民健康保険と大きく違います。
社会保険では、配偶者をはじめ子供や親など、親族を扶養に入れることができます。
扶養にあたる人が何人になっても、健康保険料は変わりません。
さらに社会保険は会社が半分を負担してくれるため、自分で払うのは実質半額です。
国民健康保険とは?
国民健康保険は、社会保険に入っていない人全てが加入しなくてはいけない保険です。
運営しているのは地方自治体であり、居住場所によって保険料が異なります。
国民健康保険では、被保険者の収入や、人数、年齢を参考にして費用を計算します。
扶養に入れることができないため、家族それぞれが国民健康保険に加入して、保険料を払う必要があります。
さらに社会保険とは違い、全額を自分で負担しなくてはいけません。
社会保険の任意継続も可能
2ヶ月以上の期間会社に勤めていたサラリーマン(会社員)の場合、会社を辞めても2年間は社会保険を任意継続できる、という制度があります。
ただし、保険料は会社と折半できるわけではなく、全額自己負担になる点が変わります。
任意継続したい場合は、社会保険の喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出しなくてはいけません。
例えば、家族を扶養に入れていた場合には、社会保険を継続した方が得になることがあります。
一方で自分が配偶者の扶養に入った方が良いケースや、国民健康保険に入った方が良いケースも。
「自分のケースはどうするのが良いんだろう?」と悩んでいる方は、役所の窓口やプロに相談してみましょう。
今後個人事業主として会計処理をする方は、記帳代行へまとめて依頼してしまうと楽です。
【プロからアドバイス】個人事業主の国民健康保険は社会保険料控除の対象
個人事業主は1年に一度、確定申告で所得を申請し税金を納める義務があります。
このとき、その年度で払った国民健康保険を、社会保険料として控除してもらうことが可能です。
控除額があるほど節税対策になるので、しっかり申請しましょう。
≫ 社会保険控除ができるもの例
- 国民健康保険
- 国民年金
- 介護保険料
1年間で支払った保険料の全額を合算し、所得から差し引けるという制度です。
支払った国民健康保険料や介護保険料は、翌年1月〜2月中に地方自治体から発行される「年間納付額のお知らせ」で確認ができます。
介護保険料は日本年金機構から金額を「控除証明書」として送ってもらえます。
個人事業主が払った授業員の保険料の勘定科目は?仕訳処理の方法
個人事業主は、事業に関する保険料を払っている場合、仕訳をしなくてはいけません。
従業員分の社会保険料は、事業主負担と従業員負担を分けて仕訳する必要があります。
毎月の給料から引く際、借方金額部分に事業主負担を「法定福利費」、従業員負担を「預かり金」として仕訳することができます。
≫ 従業員の社会保険料の仕訳例
借方勘定科目 借方金額 | 貸方勘定科目 貸方金額 | 摘要 |
法定福利費 45,000円 | 普通預金 20,000円 | ◯月分 社会保険料 事業主負担分 |
預かり金 44,000円 | ◯月分 社会保険料 事業主負担分従業員負担分 |
【まとめ】社会保険料の勘定科目がわからなければ相談を
個人事業主の保険料について、勘定科目を詳しくご紹介しました。
自分自身の健康保険料は経費にはならないため、記帳をする必要はありません。
しかし、事業用の口座から引き落とされる場合には、勘定科目を「事業主貸」として仕訳を行いましょう。
さらに、個人事業主の場合は確定申告時に控除を受けられます。
1年間で支払った「国民健康保険」や「国民年金」「介護保険料」は合算して、申請を忘れずに。
【プロに依頼する】仕訳作業は「記帳代行お助けマン」にお任せ!
会計処理は、専門知識がない人にとっては面倒なことばかりです。
勘定科目や記帳のタイミングを間違うと、脱税を疑われてしまう危険性も。
「会計処理が面倒くさい!」
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「間違って指摘されるのが怖い!」
このような方は、記帳代行を頼ってみるのもひとつの手です。
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