個人事業主は、住宅ローンを利用した自宅で事業をする場合があります。

そのとき、月々の住宅ローンは経費として認められるのでしょうか?

この記事では、個人事業主の住宅ローンは経費になるのか、そのときの仕訳は必要なのか、などについてご紹介します。

利息が経費になり元本は経費にならない             

住宅ローンをつかい事業用の事務所や店舗とすると、その元本は経費になりません。

重要

そもそも住宅ローンの元本は、借り入れたお金を返済しているだけで、売上とは関係がありません。そのため、住宅ローンの元本は経費にならないのです。

しかし、金利は住宅ローンを利用するときのコストです。

つまり、金利は事業に必要な経費となり、その仕訳は必要です。

仕訳により金利を経費にできれば、その分の利益が少なくなり節税につながります。

個人事業主は、金利を経費として仕訳し、上手に節税しましょう。

住宅ローンの仕訳

住宅ローンの利息は経費にできますが、事業用のみ按分し、仕訳をします。

事業用の按分するときは、事業用建物の面積の割合が必要です。

また、返済の口座を何にするかにより仕訳が異なります。

ここではその仕訳について、住宅を購入し、返済する順で、返済の口座ごとにお伝えします。

事業用口座から返済するとき

住宅を購入したときの仕訳

借方貸方
住宅と土地の価格借入金

住宅ローンを返済したときの仕訳

借方貸方
支払利息+事業主貸+借入金預金

なお、支払利息と事業主貸をたした額が利息の総額となります。

支払利息は事業用に案分した金額で、事業主貸は住宅の金利です。

事業と関係のない口座から返済するとき             

この場合、借入金の勘定科目を利用するときと、利用しないときで仕訳が異なります。

借入金の勘定科目を利用するとき

住宅を購入したときの仕訳

借方貸方
住宅と土地の価格借入金

住宅ローンを返済したときの仕訳

借方貸方
支払利息+事業主貸+借入金事業主借

借入金の勘定科目を利用しないとき

住宅ローンを返済したときの仕訳

借方貸方
支払利息事業主借

いずれのケースでも、支払利息と事業主貸をたした額が利息の総額になります。

なお、支払利息は事業用に案分した金額で、事業主貸は住宅の金利です。

金利の仕訳は事業主の勘定科目を利用

ポイント

個人事業主が、家計のお金と事業のお金を区別するのに、事業主の勘定科目をつかう。

家計の経費を事業のお金で支払うときは、事業主貸、の勘定科目により仕訳をし、事業主貸は経費とならないのが特徴。

また、事業の経費を家計のお金で支払うときは、事業主借、の勘定科目により仕訳をします。

なお、確定申告のとき、事業主借の残高と事業主貸の残高を相殺し、そのどちらか残った金額を貸借対照表に記載します。

事業主の勘定科目は、資産、負債の項目になり、損益計算と関係しないことがポイントです。

利息以外で計上できる経費

個人の住宅を利用し事業をおこなうと、住宅ローンの利息のほか計上できる経費があります。

ここでは、それらの経費をご紹介します。

減価償却費

事業用に住宅を利用するときは、減価償却費を事業用と家計用の割合で按分し仕訳をします。

なお、住宅のほかに自動車やその他の固定資産で事業につかうものがあれば、同じように仕訳します。

税金や保険料などで計上できるもの

住宅にかかる固定資産税、火災保険料なども経費として計上できます。

注意点

ただし、税金のうち、所得税や住民税などは経費にはならないので注意が必要。

住宅ローンは事業用割合に注意             

住宅ローンを使うときには、いくつかの条件があります。

もし、事業用の割合が一定の条件をこえると、住宅ローン控除を利用できないため注意が必要です。

住宅ローン控除利用できる条件は、つぎのとおりです。

条件
  1. 床面積の2分の1以上が居住の用に供するもの。つまり、事業用割合が50%未満であることが必要
  2. 事業用割合が10%以下ですと、住宅ローン控除を全額うけることが可能

このように、住宅ローン控除を利用するときは、事業用の割合が条件のひとつになります。

そのため、事業用の割合には十分注意し、正しい計算をする必要があります。

税務調査には万全の準備で

個人事業主が税務調査をうけるときは、過去3年~5年分の資料が必要になります。

税務調査では、個人で利用したものか、事業に要したものかを明確にしなければなりません。

そのため、必用な資料はきちんと保管し、すぐに取り出せるようにしましょう。

また、支出した額が大きな取引は、税務調査で否認された場合、金額に比例して個人事業に痛手を与えます。

メモ

住宅ローンは期間が長く、支出する金額も大きくなるので、金利の計算方法や算出基礎などは十分に理解しておく必用があります。

これからの税務調査にむけ、万全の準備をしておきましょう。

【まとめ】

重要

個人事業主の経費処理は税額を決める要素のひとつのため、ただしい仕訳をする必要があります。

中でも、個人の住宅を利用して事業を行い、その住宅ローンを返済中の方も多いことでしょう。

住宅ローンの元金は、売上とは直接関係しないのため、経費として計上できません。

しかし、住宅ローンの金利は、事業に必要な経費と認められるため、仕訳をする必要があります。

仕訳をするときの勘定科目は、支払手数料と事業主などです。支払手数料の仕訳により、税金を少なくする効果をえることができます。

このように個人事業主は金利を仕訳し、正しい確定申告を行い、さらに税務調査に備えておくことをおすすめします。

なお、仕訳や税務調査の準備には、人手や専門の知識が必要です。

それには、個人事業主には負担も大きく、本業がおろそかになるかもしれません。

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