個人事業主として働いていても、アルバイトをしているケースは珍しくありません。

つまり、本業としての収入以外にも、アルバイト先からの給与が入るということ。

では、個人事業主にアルバイト代が入っているとき、確定申告時にはどのように仕分けをするべきでしょうか?

この記事でわかること
  • 収入としてのアルバイト代の仕訳方法
  • アルバイトを雇っている場合の仕訳方法
  • アルバイト代を仕訳するときの注意点

この記事では、収入としてのアルバイト代の勘定科目をご紹介します。

さらに、アルバイトやお手伝いさんなどを雇った場合の、支出としてのアルバイト代の勘定科目や仕訳方法もあわせてお伝えします。

個人事業主が得たアルバイト代!勘定科目は何?

個人事業主がアルバイト代を得たとき、「私用の口座」に入金されるか、「事業用の口座」に入金されるかによって対応が変わります。

個人事業主が得たアルバイト代①:私用の口座に入金された場合

しっかりと私用と事業用を分けている場合、振り込まれた先が私用の口座なら、特に仕訳をする必要はありません。

ポイント

個人事業主が事業で取得した収入は「事業所得」に分類されるため、アルバイト代は「給与所得」であるため、青色申告外となります。

ただし、確定申告時には収入があったことは、事業所得とは別で申請しなくてはいけません。

記帳をする必要はありませんが、給与を受け取ったことは申請します。

個人事業主が得たアルバイト代②:事業用の口座に入金された場合

もし事業用の口座に振り込まれたなら、しっかり仕訳しておく必要があります。

事業用と私用を分けていない場合も、事業用口座として仕訳をしなくてはいけません。

事業用口座に振り込まれたアルバイト代として使う勘定科目は「事業主借」です。

なお、アルバイト先から交通費が出ない場合、交通費は経費として計上することはできません。

なぜなら、経費として計上できるのは事業に関わる費用であり、アルバイトは事業とは関係がないからです。

また、アルバイトには「給与所得控除」制度があるため、申請したい場合には確定申告時に別途で作業をすることになります。

個人事業主の使う勘定科目「事業主借」とは?

アルバイト代が事業用の口座に振り込まれた場合には、勘定科目を「事業主借(じぎょうぬしかり)」とします。

「事業主借」によく似た勘定科目として「事業主貸(じぎょうぬしかし)」がありますが、違いはご存じでしょうか?

メモ

考え方としては、「事業主借」が「事業が事業主から借りたお金」であり、「事業主貸」が「事業が事業主に貸したお金」である、というイメージです。

つまり、「事業」と「事業主」は個別で考えたとき、「私」が事業であるという考え方をします。

事業がお金を事業主から借りたか、貸したかによって仕訳方法が違うということです。

  • 事業主借:個人事業主が事業以外から収入を得たときの受け入れ金
  • 事業主貸:個人事業主が事業の口座から事業とは関係ない生活費などをとったときの支払金

今回は、「事業主借」について詳しく解説します。

「事業主借」の仕訳方法

個人事業主がアルバイト代を得たとき、事業用口座に振り込まれた場合は、下記のように仕分をします。

個人事業主が事業用口座にアルバイト代10,000円を振り込まれた場合

借方借方金貸方貸方金額
普通預金10,000円事業主借10,000円

なお、「事業主借」は他にも使う場面があります。

  • 私用の口座から事業用口座に移したお金
  • 預金の利息が入った場合の利子所得
  • 不動産を売却した場合の譲渡所得

つまり、本業で出た収入である「事業所得」ではない場合、事業主借で処置をするということです。

個人事業主がアルバイトに給与を払うときの勘定科目は?

上記では、個人事業主がアルバイトをして、バイト代が振り込まれた場合の勘定科目をご紹介しました。

では逆に、個人事業主がアルバイトやお手伝いさんを雇って給与を払った場合、勘定科目はどうなるでしょうか?

基本的には、2つの勘定科目のどちらかをつかいます。

①給与賃金
②外注費

それぞれの特徴について説明します。

払うアルバイト代の勘定科目①:給与賃金

一般的に使う勘定科目は「給与賃金」です。

しかし初めて人を雇う場合、一定の手続きが必要になります。

税務署への届出のほか、雇用保険への加入など、少々面倒な手間が多いです。

とはいえ、手続きをしないで「給与賃金」としてしまうと、税務署にばれてしまい否認されることになります。

ちょっとだけお小遣いを与える程度の場合や、一時期だけお手伝いをしてもらう場合には、「給与賃金」ではなく下記の「外注費」としてしまうのが楽でしょう。

払うアルバイト代の勘定科目②:外注費

正式に定期的な給与を渡すわけではない場合や、ちょっとだけ手伝ってもらっているだけの場合には、「外注費」として仕訳することができます。

ただし外注費の場合、アルバイトを雇うときのように時間や業務内容を固定してはいけません。

例えば、「毎週月曜日に時給1,000円で3時間、事務作業をしてもらう」などの条件を取り付ける場合には、アルバイトとして扱われ給与賃金の対象です。

一方で、作業をした人から「事務作業代3,000円」として作業後に請求書を発行してもらえるなら、「外注費」として扱うことができます。

つまり、作業の工程を指定するのではなく、作業の結果だけを約束してもらうということです。

【注意】家族へのアルバイト代は事業経費にできません

家族へのアルバイト代やお手伝い費用を支払うこともあるでしょう。

重要

しかし、生計を一にする家族や親族への支払いは、「青色事業専従者」として申告をしてから出ないと、事業経費にはできません。

家族への支払いを計上したい場合は、「青色申告承認申請書」と「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に届け出て、青色申告をしっかりおこないましょう。

【まとめ】個人事業主が得たアルバイト代の勘定科目は「事業主借」

個人事業主が得たアルバイト代は、振り込まれた口座次第で扱い方が違います。

  1. 事業用口座に振り込まれた場合:勘定科目は「事業主借」で仕訳
  2. 私用口座に振り込まれた場合:仕訳はしないが確定申告時に別途で申請

個人事業主として事業をするなら、事業用口座と私用口座をわけて扱うのがおすすめです。

アルバイト代が私用口座に振り込まれていれば、仕訳をする手間がはぶけます。

アルバイト代の仕訳が面倒!プロの記帳代行にお任せください!

個人事業主のアルバイト代の仕訳は、そこまで難しいものではありません。

とはいえ、アルバイト代の仕訳は会計処理としては序の口で、事業内容によってはより複雑な仕訳が必要になることも。

事業用の機械を売買した場合などは特に、減価償却費も含めて記帳をしていくことになるので、非常に面倒です。

もしアルバイト代の仕訳でつまづいているなら、今後はもっと頭を悩ませるかもしれません。

そんなときには、記帳代行という手があることを頭の片隅に置いておいてください。

「記帳が複雑で頭がいっぱいだ!」

「会計処理が嫌だけど確定申告に間に合わない!」

「この仕訳をどうすればよいかわからず会計業務が進まない!」

このようなときにこそ、記帳代行へお任せください。

初年度だけでも綺麗な記帳ができれば、あとの年はそれにならって記帳をしていくことも可能。

会計業務の理解に時間を使う必要はなくなります。

わからないことなどあれば、「記帳代行お助けマン」までお気軽に相談ください。