個人事業主として働いていると、事業資金として借入をすることもあるでしょう。

ただし借入金は返済しなくてはいけないので、利益とは呼べないはずです。

では、借入金返済にあたり必要な支払利息は、経費になるでしょうか?

結論、支払利息は経費になります。

一方で、借入金そのものは、経費にはできません。

この記事でわかること
  • 支払利息が経費になる理由
  • 借入金が経費にならない理由
  • そもそも経費とは何か

個人事業主にとって、何を経費にできるかをおさえておくことは大切。

経費にできるものが多いほど、節税対策にもなります。

この記事では、支払利息以外にも経費になる費用について、詳しく解説します。

支払利息は経費になる?結論、なります

結論からお伝えすると、支払い利息は経費になります。

ただし、返済する借入金は経費にならないので注意です。

なぜ支払い利息が経費になるのに、借入金は経費にならないのかは、「経費になるものは何か」をおさえておけば簡単に理解ができます。

下記では、経費になるものとは何か、詳しく解説しています。

借入金と支払利息の勘定科目は?

勘定科目についても、最初に結論をお伝えします。

借入金は借入をしたときに、「貸方」部分に「借入金」という勘定科目を記入します。

一方支払利息は支払った際に「借方」部分に「支払利息」と記入するのが一般的です。

1,000万円の借入金を現金で受け取った場合

借方金額貸方金額
現金1,000万円借入金1,000万円

1,000万円の借入金を現金で借り入れた場合

一方で、借入金を100万円と、支払利息を10,000円支払った場合の仕訳方法は下記のようになります。

短期借入金100万円と支払利息10,000円の支払い時

借方金額貸方金額
短期借入金100万円普通預金101万円
支払利息10,000円  

お金を借り入れた場合は、負債が増えるため「貸方」に「借入金」を記載します。

一方で支払った場合には、負債が減るため「借方」に「借入金」を記載することになります。

そもそも経費とは?個人事業主がおさえるポイント

経費になるかどうかは、「その費用が売上を作り出すか」どうかが判断基準になります。

売上に貢献できる費用は経費になり、直接貢献しないものは経費にならない、と覚えておきましょう。

では、支払利息や借入金に当てはめて考えてみます。

支払利息とは、カードローンやビジネスローンなどで借入したお金を返済するときに、借入金に上乗せして支払う「感謝料」のようなものです。

事業資産として借入をする必要がある場合、借入金は売上を出すために必要な資金です。

借入金を受け取るために必要な支払利息は、売上を作り出すために必要な経費として認められます。

【注意】借入金の元金は経費にならない!

借入金の元金自体は、返済しなくてはいけません。

つまり、一時的にお金が増えたように見えるだけで利益ではないため、「売上」として計上することはできません。

借入金は返済するものであり資産ではないため、「経費」にもならないです。

支払利息を経費計上するときには、一緒にしないよう気をつけましょう。

では、支払利息の他には、何が経費にできるでしょうか?

あわせて経費にできる費用についても確認していきます。

支払利息は経費になる!他に経費にできる費用も確認

支払利息は経費として計上できるとお伝えしましたが、他にも経費にできる費用はあります。

経費にできる費用は、例えば下記のようなものがあります。

メモ
  1. 事務手数料
  2. 家賃の一部
  3. 通信費の一部

支払利息を経費にする個人事業主なら、上記のような費用も支払うタイミングがあるでしょう。

あわせて内容を確認しておきましょう。

では、それぞれの経費内容について説明します。

経費にできる費用①:事務手数料

借入にあたりかかる事務手数料も、経費にすることが可能です。

メモ

例えば、繰り上げ返済する際の事務手数料や、司法書士などの依頼するための支払報酬などが、経費として計上できます。

  • 事務手数料
  • 支払報酬
  • 支払手数料
  • 保証料
  • 印紙代
メモ

例えば専門家依頼にかかる手数料は「支払報酬」、印紙代であれば「租税公課」として計上が可能です。

経費にできる費用②:家賃の一部

自宅で仕事をしている個人事業主であれば、家賃の一部を仕事用に使っているとして経費計上できます。

ただし、家賃の全額が経費になるわけではなく、業務に必要だと考えて問題ない部分までが経費として認められます。

詳しくは、別記事でご紹介しています。

経費にできる費用③:通信費の一部

仕事をするために通信費や公共料金が必要になる場合も、家賃と同様で一部だけ経費として計上が可能です。

経費として計上できるのは、「仕事をしない場合に不要になる部分」であるかどうかを判断基準にすると良いでしょう。

「計算が面倒くさそう」と考える人もいますが、家賃や通信費は大きな経費となります。

節税対策として効果が大きくなることも多いので、しっかり計上するのがおすすめです。

計算方法は面倒ではないので、解説した>>こちらの記事を参考に計上してみてください。

「経費ってよくわからない」という方は、経費の基礎から解説しているこちらの記事もご参考にどうぞ。

そもそも借入金とは?主な4種類と勘定科目

次に、借入金が何かについても詳しく解説します。

借入金とはつまり、「他者から借入したお金」です。

例えば金融機関から借入をする場合、借入金には主に4種類があります。

借入金例
  1. 証書貸付
  2. 当座借越
  3. 手形割引
  4. 手形貸付

どの借入金に該当する場合にも、勘定科目は「借り入れる期間」次第で同様に仕訳をします。

借り入れる期間とは大きく「短期」か「長期」かによってわけられます。

借入金の仕訳方法

【借入金の勘定科目】【支払い期間】
短期借入金支払い期間が1年以内の場合
長期借入金支払い期間が1年を超える場合

借入した一部を1年以内に返済する場合、分けて仕訳をするのが一般的です。

メモ

例えば、銀行から5,000万円の融資を受け普通預金に入金されたうちの、2,000万円が短期借入金となる場合の仕訳方法は下記のようになります。

5,000万円のうち2,000万円が短期借入金の仕訳例

借方金額貸方金額
普通預金5,000万円短期借入金2,000万円
  長期借入金3,000万円

【まとめ】支払利息は経費にできる!会計処理が面倒ならプロへ相談も◎

支払利息は経費にできる一方で、借入金は経費にできないことをお伝えしました。

「勘定科目の仕訳が面倒」

「借入するたびに会計業務が増えるのは辛い」

「自力で行った仕訳が正しいか不安」

このような人は、記帳のプロへ代行依頼をするのも手です。

お困りごとがあれば、「記帳代行お助けマン」までお気軽にご相談ください。