個人事業主が仕事をしている部屋の家賃は、経費として落とせます。たとえ居住用に借りた部屋でも、仕事用に利用する割合に応じて、経費にまわすことが可能です。
個人事業主なら、自宅で仕事をしているという人は珍しくありません。
借りたワンルームで仕事をしながら生活しているなら、家賃は経費として計上しないともったいないです。
「家賃はいくらまで経費にできるかわからないから計上が面倒」
「家賃と光熱費はどこまでが経費と言えるかわからない」
「狭いワンルームだし居住用だと指摘されたらどうしよう」
このように悩んだ結果、家賃は経費として計上しなかったという人は多いです。
でもワンルームに住んでいる場合、8割もの家賃が経費として計上できることがあります。8割の家賃を経費にまわせれば、かなり大きな節税対策になりますよね。
この記事では、個人事業主は家賃をどこまで経費にできるのか、わかりやすく解説します。
個人事業主はワンルームの家賃も経費になる!
個人事業主は、住んでいる家の家賃を経費として計上することが可能です。
賃貸物件の家賃を経費にするときのパターンは、大きく2通り存在します。
- 一部だけを経費にできる場合
- 全額を経費にできる場合
それぞれのパターンごとに解説します。
①:一部だけを経費にできる場合
例えばワンルームを自宅として使っているなら、家賃の全額を経費にあてることはできません。
一般的には、業務用として利用している部分だけが、経費として計上していい家賃になります。
プライベートと業務用をわけて費用を割ることを、「家事按分(かじあんぶん)」と言います。
家事按分をすることで、いくらまで経費として計上できるかを計算します。
とはいえ、生活スペースと業務用のスペースが同じであるワンルームに住んでいるとき、割合をハッキリとわけるのは難しいですよね。
分け方についてはコツがあるので、下記で詳しく解説します。
②:全額を経費にできる場合
家賃の全額を経費にできる場合もあります。
例えば、自宅とは別で業務用に事務所を借りている場合は、事務所の家賃全額を経費に計上できます。
事務所で就寝したり、食事をしたりすることがあっても問題ありません。業務がなければ不要な賃貸だと言える場合には、家賃は全額経費として主張できます。
「事務所+自宅の家賃の一部」も経費になる!
事務所だけでなく居住用の自宅でも仕事をすることがある、という場合もあるはずです。
実は、事務所の家賃全額にプラスして、居住用の家賃の一部を経費とすることも可能です。
主な仕事は事務所でやるけど、寝る前まで自宅のパソコンで業務をしているという個人事業主は少なくありません。
もし自宅でも業務をしているなら、家賃の一部はしっかり経費として計上しましょう。
ワンルームの家賃はどこまで経費にできる?家事按分とは?
ワンルームに居住しながら仕事をしている場合、家事按分ができなくてはいけません。
家事按分とはつまり、プライベート利用分と仕事利用分の割合をわけるための計算のことです。
- 使用面積
- 使用時間
とはいえワンルームの場合、私生活と仕事が完全に同じ部屋で行われているはず。食事をするテーブルにパソコンを置いて作業をしたり、業務中にトレイも利用するでしょう。
ワンルームの場合に家賃を経費にできる割合は、5〜8割程度であることが多いです。この割合は、相談する税理士によって異なるため、一概には言い切れません。
家賃をどこまで経費にできる?割合は目安
「結局ウチの家賃はどこまで経費にして良いの?」という質問に対しては、「目安で考えましょう」が答えになります。
細かいルールや基準が決まっているわけではないので、合理的に説明ができれば経費として計上して問題ありません。
悩んだときは、睡眠時間をのぞいたとき、1日の何割を仕事にあてているかを計算してみると良いでしょう。
計算をしたら、計算式は根拠として残しておくと安心です。
万が一税務署から「なぜこんなに経費になるの?」と聞かれたとき、堂々と答えられるなら問題はありません。
なお、一度決めた割合は、なるべく同じまま継続するのがおすすめです。コロコロと変えてしまうと税務署に怪しまれ、目をつけられてしまう可能性が上がります。
【注意】ワンルームの家賃を経費にできるのは青色申告だけ!
白色申告」で家賃を計上できるのは、「50%以上の割合を事業で使っている場合のみ。
生活用と業務用で割合を計算し、業務用を経費として計上できるのは基本的に「青色申告」をする場合だけです。
ワンルームの場合は、仕事用として8割を経費に計上できると言われるくらいなので、あまり問題はありません。
とはいえ、青色申告の方が節税対策がほどこされているので、どうせなら青色申告をしてしまいましょう。
個人事業主はワンルームの光熱費も経費にできる!
ワンルームに住みながら仕事をしている個人事業主は、家賃以外にも経費にできる項目があります。
- 光熱費
- 共益費
- 通信費
- 駐車場代
など。
例えば水道代、電気代、ガス代などの光熱費も経費の対象になります。
家賃以上に計算が難しいかもしれませんが、仕事だけで使っている費用が何割かを考えてみましょう。もし家で仕事をしなくなったら、何割が節約できるのかを考えるとわかりやすいです。
インターネットや電話代も同様に割合を計算できます。もし携帯電話を一台しか持っていないなら、100%が仕事用だと言うことはできないでしょう。
一方で仕事用の携帯を分けて使っているなら、仕事用にかかった電話代は100%経費に計上できます。
共益費は家賃とおなじ割合で、仕事用の費用を計算すれば問題ありません。
賃貸契約者が他人の場合は経費にできない?→できます
例えばワンルームを借りているのが自分ではなく親や配偶者の場合で「同一生計親族」の場合、家賃は経費として計上できます。
例えば、夫婦の場合には必ず「同一生計親族」つまり、財布が一緒であると判断されます。
夫名義の部屋に妻と一緒に住んでいる場合、例え妻が家賃の一部しか払っていないケースにも、家賃の全体が経費として計上できるということです。
とはいえ、ワンルームの場合に居住者以外が契約者であるケースは、親と子の関係性が多いでしょう。親と子が「同一生計親族」に当てはまる場合には、そのまま経費として計上できます。
同一生計親族に当てはまらない場合は、居住者が支払っている家賃の割合だけを、経費にすることが可能です。
なお、経費として計上できるのは、自分が賃貸借契約人である場合と同じように、事業割合分のみになります。
【まとめ】個人事業主は家賃も経費になる!ワンルームでもOK
個人事業主でワンルームを借りている人は、家賃を経費にしないとかなり損をしています。今まで家賃を経費にしてこなかったという人は、今すぐ経費割合を考えてみてください。
なお、ワンルームを借りているのではなく持ち家の場合は、話が大きく変わります。
住宅ローンなどは経費にならないので注意しましょう。
「これだけ経費にしても注意されないかな?」と不安なかたは、一度専門家に相談すれば安心できます。
絶対に税務署から声をかけられたくないという人は、一度相談してみるのも良いでしょう。