パソコンのモニターを購入したら勘定科目は何を使用する?

デスクトップパソコンとセットで購入したときとディスプレイ単独で購入したときとで、処理にちがいはある?

今回は、こちらの疑問にお答えします。

モニターはデスクトップパソコンと一緒に使用する以外にも、マルチディスプレイとして使うために単独で購入することがありますよね。

モニターは、購入の仕方で経理処理が変わることがあります。

迷いやすいので、個人事業主や法人の経理担当者の方は覚えておきましょう。

モニター単独かパソコンとセットで購入したかで処理が違う

ポイント

モニターの勘定科目は取得価格で判断をしますが、モニター単独で購入した場合とパソコンと一緒に購入した場合で参照する金額が違います。

ディスプレイのみを購入した場合はディスプレイ単独の金額で、パソコンと一緒に購入した場合はパソコンとセットの金額で判断します。

デスクトップパソコンとモニターはセットではじめて機能するもので、セットで使うものは原則としてセットで判断するという決まりがあるからです。

マルチディスプレイとしてモニター単独で購入した際は、パソコンの動作に必ずしも必要のないものとして、費用処理します。

ディスプレイ購入時の勘定科目3つ

モニターを購入した際に使用する勘定科目は、取得価格によって消耗品費一括償却資産備品の3つにわかれます。

消耗品費は経費、一括償却資産・備品は資産の勘定科目です。

大きく分けると、下記内容で使用する勘定科目が変わります。

一例
  • 10万円未満
  • 10万円以上20万円未満
  • 20万円以上

ここで判断する取得価格は、税込経理を採用している場合は税込みの価格、税抜経理を採用している場合は税抜きの価格です。

上記の通り、デスクトップパソコンとセットで購入したときは、セットでの購入価格で判断しましょう。

この処理の方法は、事業に関する他の備品を購入した際と同様です。

他の備品については以下の記事で紹介しているので、併せてご覧ください。

消耗品費

モニターの取得価格が10万円未満の場合、消耗品費の勘定科目で処理し、全額を経費計上します。

▶7万円のディスプレイを購入した場合の具体的な仕訳は以下の通りです。

借方貸方
消耗品費 70,000現金 70,000

一括償却資産

モニターの取得価格が10万円以上20万円未満の場合、一括償却資産の勘定科目を使用します。

一括償却資産

一括償却資産とは、通常の減価償却を行わず、3年間の均等償却を行う資産のことです。

一括償却資産を使用する場合、事業年度の途中でモニターを取得しても、減価償却を月数で按分することはありません。

▶15万円のディスプレイを購入した場合の具体的な仕訳は以下の通りです。

購入時

借方貸方
一括償却資産 150,000現金 150,000

決算時

借方貸方
減価償却費 50,000一括償却資産 50,000

(以後2年間、決算時に同じ減価償却の仕訳を行います。)

備品

モニターの取得価格が20万円以上の場合、備品の勘定科目で処理し、資産計上を行います。

ここで、更に取得価格30万円未満と30万円以上で処理の仕方が変わることがあります。

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取得価格30万円未満

青色申告を行っている個人事業主または資本金1億円以下の中小企業法人であれば、少額減価償却資産の特例で、一括で経費計上することができます。

少額減価償却資産として経費計上できるのは、1年間で300万円が限度です。

そして、少額減価償却資産は、令和6年3月31日までの間に取得したものが対象とされています。(2023年3月現在)

参照:国税庁

▶25万円のディスプレイを購入した場合の具体的な仕訳は以下の通りです。

借方貸方
備品    250,000
減価償却費 250,000
現金   250,000
備品   250,000

少額減価償却資産の特例は、取得価格20万円未満のものにも適用できます。

ですので、10万円以上20万円未満のものを一括償却資産として処理するか、少額減価償却資産として処理するか、有利な方を選択しましょう。

大企業や青色申告を行っていない個人事業主・中小企業法人は、少額減価償却資産の特例を使うことができません。

ディスプレイを備品として資産計上した後は、通常の減価償却を行いましょう。

取得価格30万円以上

モニターの取得価格が30万円以上になると、備品として資産計上し、通常の減価償却を行います。

モニターの法定耐用年数である5年で償却をしましょう。

▶32万円のディスプレイを購入した場合の具体的な仕訳は以下の通りです。

購入時

借方貸方
備品 300,000現金 300,000

決算時

借方貸方
減価償却費 ×××      (60,000)備品 ×××   (60,000)

※定額法を使用するか定率法を使用するかで、減価償却費が変わってきます。

()内は定額法の償却率を使用して計算しています。

【まとめ】モニター購入時の勘定科目に迷ったら記帳代行サービスの利用もおすすめ

モニターを購入したときの勘定科目は取得価格で判断します。

単独で購入したときはディスプレイのみの価格、デスクトップパソコンと一緒に購入したときはセットの価格を参照しましょう。

使用する勘定科目と処理方法は以下の通りです。

取得価格10万円未満10万円以上20万円未満20万円以上30万円未満30万円未満
勘定科目消耗品費一括償却資産備品備品
処理方法全額経費3年で均等償却少額減価償却資産として一括償却4年で減価償却
条件なしなし青色申告を行う個人事業主・中小企業法人なし

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モニターを購入したときの、複雑な勘定科目の判断をしなくてよくなりますよ。