パソコンを購入したら何の勘定科目で処理するの?
「10万円の壁」や「30万円の壁」というものを聞いたことがあるけど、一体何のこと?

今回は、こちらの疑問にお答えします。

業務に不可欠なパソコンですが、購入には大きな金額がかかります。

パソコンを購入した際、その全てが経費計上できる訳ではなく、取得価格によって使用する勘定科目が異なるのです。

どのような場合に何の勘定科目で処理するのか、詳しく解説していきます。

個人事業主や法人経営者、経理担当者の方は必見です。

パソコン購入時の勘定科目は3種類

パソコンを購入した際、使用する勘定科目は、金額によって3つにわかれます。

  1. 消耗品費
  2. 一括償却資産
  3. 備品

消耗品費は経費、一括償却資産・備品は資産の勘定科目です。

取得価格には、以下のような付随費用も含まれます。

  • 購入手数料
  • 運送料
  • モニター・キーボード・マウス(デスクトップパソコンの場合)

使用する勘定科目の判定は、税込経理を行っている場合は税込みの金額で、税抜経理を行っている場合は税抜きの金額で行います。

取得価格10万円未満

パソコンの取得価格が10万円未満の場合、消耗品費の勘定科目を使用し、全額を経費計上します。

≫ 具体的な仕訳は以下の通りです。【50,000円の場合】

借方貸方
消耗品費 50,000現金 50,000

取得価格10万円以上20万円未満

パソコンの取得価格が10万円以上20万円未満の場合、一括償却資産の勘定科目で処理します。

一括償却資産

一括償却資産とは、通常の減価償却を行わず、取得価額を3年間で均等償却できる資産のことです。

一括償却資産を使用する場合、事業年度の途中でパソコンを取得しても、減価償却を月割りすることはありません。

具体的な仕訳は以下の通りです。【120,000円の場合】

購入時

借方貸方
一括償却資産 120,000現金 120,000

決算時

借方貸方
減価償却費 40,000一括償却資産 40,000

(以降2年間、決算時に同じ減価償却の仕訳を行います。)

取得価格20万円以上

パソコンの取得価格が20万円以上の場合、備品の勘定科目を使用し、資産計上を行います。

ここで、更に取得価格30万円未満と30万円以上で処理の仕方が変わることがあります。

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取得価格30万円未満

青色申告を行っている個人事業主または資本金1億円以下の中小企業法人であれば、少額減価償却資産の特例で、一括で経費計上することができます。

少額減価償却資産として経費計上できるのは、1年間で300万円が限度です。

そして、少額減価償却資産は、令和6年3月31日までの間に取得したものが対象とされています。(2023年3月現在)

参照:国税庁

具体的な仕訳は以下の通りです。【250,000円の場合】

借方貸方
備品    250,000
減価償却費 250,000
現金   250,000
備品   250,000

少額減価償却資産の特例は、取得価格20万円未満のものにも適用できます。

ですので、10万円以上20万円未満のものを一括償却資産として処理するか、少額減価償却資産として処理するか、有利な方を選択しましょう。

大企業や青色申告を行っていない個人事業主・中小企業法人は、少額減価償却資産の特例を使うことができません。

メモ

パソコンを備品として資産計上した後は、通常の減価償却を行ってください。

取得価格30万円以上

パソコンの取得価格が30万円以上になると、備品として資産計上し、通常の減価償却を行います。

パソコンの法定耐用年数は4年なので、4年かけて償却を行っていきましょう。

具体的な仕訳は以下の通りです。【300,000円の場合】

購入時

借方貸方
備品 300,000現金 300,000

決算時

借方貸方
減価償却費 ×××備品 ×××

※定額法を使用するか定率法を使用するかで、減価償却費が変わってきます。

パソコン購入時の10万円・30万円の壁とは?

10万円と30万円の壁

パソコンを購入した際の「10万円の壁」「30万円の壁」とは、経費計上できるかどうかの境界線のことです。

そして、取得価格30万円未満までは経費として計上できることもありますが、30万円以上になると例外なく資産として計上して減価償却をするようになります。

パソコン購入時は、10万円と30万円で経費にできる・できないが変わるので注意しましょう。

【まとめ】パソコン購入時の勘定科目を正しく判断できるようになろう

パソコン購入時に使用する勘定科目は、取得価格によって変わり、勘定科目と処理方法は以下のとおりです。

取得価格10万円未満10万円以上20万円未満20万円以上30万円未満30万円未満
勘定科目消耗品費一括償却資産備品備品
処理方法全額経費3年で均等償却少額減価償却資産として一括償却4年で減価償却
条件なしなし青色申告を行う個人事業主・中小企業法人なし

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