当期純利益の仕訳で使う勘定科目について知りたい

そもそも当期純利益をどのように計上・処理すれば良いかわからない

今回は、こちらの疑問にお答えいたします。

当期純利益とは1年間の事業活動によって獲得した最終的な利益です。

収益・費用すべての記帳に加えて決算整理仕訳と呼ばれる所定の仕訳を行うことで当期純利益が確定します。

決算期の会計処理について正しく理解するには、当期純利益の仕訳について確認が必要です。

今回は個人事業主や法人の経営者・経理担当者に向けて、当期純利益の仕訳について詳しく解説します。

当期純利益で必要な仕訳とは

原則として会計ソフトを使って記帳や決算書の作成などを行う場合、当期純利益の仕訳は特に必要ありません。

記帳や決算整理仕訳の入力が終わり所定の操作を行うことで、自動的に当期純利益の算出や必要な処理が実施されます。

しかし簿記の基本を押さえるという意味でも、当期純利益の仕訳について知っておくのが理想です。

また会計ソフトを使わず記帳や会計処理を行う場合は、当期純利益の処理も必要となります。

当期純利益の計算方法や勘定科目について詳しく解説します。

当期純利益の計算方法

当期純利益

当期純利益とは1年間の事業活動によって獲得した最終的な利益です。

前提として、損益計算書は以下の要素によって構成されています。

損益計算書構成要素
  • 売上高
  • 売上総利益:売上高-売上原価
  • 営業利益:売上総利益-販売費及び一般管理費
  • 経常利益:営業利益+営業外収益-営業外費用
  • 税引前当期純利益:経常利益+特別収益-特別損失
  • 当期純利益:税引前当期純利益-法人税等

当期純利益は税引前当期純利益から法人税等を引いた額とも言い換えられます。

すなわち当期純利益を計算するためには、その他の記帳・仕訳入力をすべて終わらせる必要があるのです。

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当期純利益の勘定科目

当期純利益の勘定科目は、法人と個人事業主で異なります。

まずは法人の場合について解説します。

法人の当期純利益に用いる勘定科目は「損益」および「繰越利益剰余金」です。

ポイント

売上高・仕入高・販管費といった収益・費用科目は次期の総勘定元帳に繰越ができないため、帳簿を閉める段階で振替を行います。

損益勘定は、収益・費用科目の振替を行なった結果生まれた差額部分に用いる勘定科目です。

繰越利益剰余金勘定は貸借対照表の純資産の部に表示する勘定科目であり、これまでの利益の累積額を意味します。

≫ 1年間の売上高1,000円・仕入高500円・販管費200円のケースを例にします。

仕訳は以下のようになります。

借方貸方
売上高 1,000仕入高 500
販管費 200
損益 300

≫ 続いて貸方の損益勘定を純資産の部の科目である繰越利益剰余金に振り替えます。

借方貸方
損益 300繰越利益剰余金 300

以上の仕訳により、当期純利益300円が繰越利益剰余金に計上され、利益の累積額に加わります。

個人事業主には繰越利益剰余金の勘定科目がありません。

近い性質を有するのが元入金という勘定科目です。法人における資本金+利益剰余金に近い性質を有します。

個人事業主は事業用とプライベート用の口座・支出を明確に区分していないケースが少なくありません。

ポイント

そこで家計から事業に関する支出を行なった場合は「事業主借」、事業用口座から家計やプライベートの支出を行なった場合は「事業主貸」の科目を使って仕訳を行います。

元入金は事業主借・事業主貸・当期純利益の差額に用いる勘定科目です。元入金勘定を用いることで、総勘定元帳の締め・翌期への繰越が可能になります。

≫ 事業年度末時点の事業主貸が100円、事業主借が300円、当期純利益が200円のケースを例にします。

この場合の仕訳は以下のとおりです。

借方貸方
事業主借 300
当期純利益 200
事業主貸 100
元入金 400

【まとめ】当期純利益の仕訳を押さえることで簿記への理解が深まる

当期純利益の仕訳は、法人と個人事業主で大きく異なります。

法人の場合、収益および費用を振り替えて差額を損益勘定で計上、その後は損益勘定を繰越利益剰余金に振り替えます。

この仕訳により当期純利益が繰越利益剰余金として、これまでの利益の累積額に加わるのです。

個人事業主には繰越利益剰余金という勘定科目がありません。近い性質の勘定科目として、元入金が挙げられます。

事業主貸・事業主借・当期純利益の差額を元入金で計上します。

当期純利益の仕訳を押さえることで、簿記への理解がさらに深まるでしょう。

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