未収金と未収収益の違いは?
どちらの勘定科目を使えばいい?
未収金と未収収益はどちらも決算書で使う勘定科目です。見た目はよく似ていますが、使い方はまったく違います。
勘定科目の間違いは決算書や事業主の信頼に大きく関わるので、違いを理解して正しく使わなければいけません。
個人事業主の方や経理担当者が迷うことの多い勘定科目である、未収金と未収収益の使い方や違いを解説します。
未収金(未収入金)まるわかり
未収金は決算書のうち、貸借対照表の資産の部にある流動資産に分類される勘定科目です。
流動資産とは、将来短い期間で現金化されるものをいいます。
未収金も未収入金も同じ意味なので、使い分けを心配する必要はありませんが、一度決めた勘定科目は変えずに使い続けなければいけません。
未収金とは?
未収金とは、通常の営業活動以外の取引で、支払期日が来ているのにまだ支払いを受けていないものをいいます。
たとえば固定資産や有価証券の売却など、すでに行われた売買の代金をまだ受け取っていないときに、未収金勘定を使います。
未収金の仕訳方法
未収金の仕訳方法を事業用の車を売った例を用いて説明します。
≫ 車を売ったとき
解説のため、減価償却やその他費用を省略し、売却代金だけの仕訳とします。
借方 | 貸方 |
---|---|
未収金 | 車両運搬具 |
≫ 売却代金の入金があったとき
借方 | 貸方 |
---|---|
普通預金 | 未収金 |
未収収益まるわかり
未収収益も貸借対照表の資産の部にある流動資産に区分される勘定科目です。
未収収益とは?
未収収益について、会計の基準である企業会計原則をベースに作られた「中小企業の会計に関する指針」では、以下のように説明しています。
中小企業の会計に関する指針(令和3年8月3日改正) : PDF
未収収益
未収収益とは、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対しいまだその対価の支払を受けていないものをいい、未収利息、 未収家賃等が該当する。未収収益は、このような役務提供契約以外の契約等による未収金とは区別しなければならない。
つまり未収収益とは
- 一定の契約があり、継続して取引をしている収益であること
- 時間の経過に伴い発生する収益であること
のどちらにも該当する収益について、まだ支払いを受けていないものをいいます。
代表的なものは、未収利息や未収地代などです。
未収収益の仕訳方法
未収収益の仕訳方法を土地の賃貸における地代収入を例に説明します。
①1〜12月の1年契約、地代年額12万円、支払いは12月後払いで土地を貸しています。
決算月が3月の場合、支払期日はまだ来ていませんが、1~3月分の賃貸は完了しているので、決算にあたり1~3月分の未収地代を計上します。
借方 | 貸方 |
---|---|
未収収益 30,000 | 受取地代 30,000 |
②翌期首に未収収益を振り戻します。
借方 | 貸方 |
---|---|
受取地代 30,000 | 未収収益 30,000 |
③12月に地代の入金があったときに収入をまとめて計上します。
借方 | 貸方 |
---|---|
普通預金 120,000 | 受取地代 120,000 |
未収金と未収収益の違い
未収金と未収収益を使い分けるポイントは3つあります。
- 取引が営業活動に関わるもの
- 継続的な取引
- 支払期日が来ていないもの
この3つすべてにあてはまるものは未収収益、それ以外は未収金となります。
未収金・未収収益・売掛金の違い
未収金と未収収益の違いと同じように、売掛金も使い分けを迷う勘定科目です。
商品販売やサービス提供は完了しているが、代金の支払をまだ受けていないものです。また、一時的な取引でも営業活動に関わる取引であれば売掛金を使います。
- 未収金・・・営業活動以外の一時的な取引で支払期日がきているが、まだ支払を受けていないもの
- 未収収益・・・営業活動に関わる継続的な取引で支払期日はきていないが、すでにサービスの提供が完了しているもの
- 売掛金・・・取引が継続的か一時的かに関わらず営業活動に関わる取引で、支払期日がきているが、まだ支払を受けていないもの
【まとめ】正しい勘定科目を使って信頼される決算書を作ろう
未収金と未収収益はまったく違う意味ですが、間違いやすい勘定科目です。
間違った勘定科目で作られた決算書は信頼性が低くなり、取引や融資などの利害関係者への印象も良くありません。
正しい勘定科目を使った決算書を作ることは、事業を営むうえで特に重要です。
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