プリンターを購入したときの勘定科目は何?
購入価格の全額を一括で経費計上できる?

今回は、こちらの疑問にお答えします。

業務でパソコンを使用すると、必然的にプリンターも購入しますよね。

近年ではプリンターの値段は安くなっていますが、取得価格によっては全額が一括で経費計上できない場合があります。

プリンターの取得価格が全額経費計上できるのは、10万円が大きなラインです。

個人事業主や法人経営者、経理担当者の方に向けて、プリンターの購入価格がいくらの場合に何の勘定科目で処理するのか、詳しく解説していきます。

プリンターを購入した際の勘定科目

プリンターを購入した際、使用する勘定科目は以下の3つです。

  1. 消耗品費
  2. 一括償却資産
  3. 備品

プリンターの取得価格が10万円未満であれば消耗品費として一括で経費にできます。

しかし、取得価格10万円以上になると一括償却資産や備品の勘定科目を使用し、資産として計上するようになります。

資産の場合、基本的に一括で経費計上できません。

勘定科目を判断する際の取得価格は、税込経理を行っている場合は税込みの金額で、税抜経理を行っている場合は税抜きの金額を使用します。

取得価格10万円未満は消耗品費

プリンターの取得価格が10万円未満の場合、消耗品費の勘定科目を使用し、全額を経費計上します。

≫ 仕訳は以下のようになります。(50,000円の場合)

借方貸方
消耗品費 50,000現金 50,000

取得価格10万円以上は備品

プリンターの取得価格が10万円以上の場合、使用する勘定科目は一括償却資産と備品の2種類あります。

どちらの勘定科目を使用するかは、取得価格20万円未満か20万円以上かで異なります。

取得価格10万円以上20万円未満の場合

プリンターの取得価格が10万円以上20万円未満の場合、一括償却資産の勘定科目を使用します。

一括償却資産

一括償却資産とは、通常の減価償却をせず、取得価格を3年間で均等償却する資産を指します。

一括償却資産で計上する場合、年度の途中でプリンターを購入しても、減価償却費を月数で按分することはありません。

具体的な仕訳は以下のようになります。(150,000円の場合)

購入時

借方貸方
一括償却資産 150,000現金 150,000

決算時

借方貸方
減価償却費 50,000一括償却資産 50,000

(以降2年間、決算時に同じ仕訳を行い、減価償却費を計上します。)

取得価格20万円以上30万円未満の場合

プリンターの取得価格が20万以上の場合、備品の勘定科目を使用して資産計上します。

しかし、青色申告を行っている個人事業主または資本金1億円以下の中小企業法人であれば、少額減価償却資産の特例を使うことができます。

少額減価償却資産の特例では、取得価格が30万円未満のものは一括で経費計上することができるのです。

少額減価償却資産として経費計上できるのは、1事業年度で300万円までです。

そして、2023年3月現在、令和6年3月31日までの間に取得したものが少額減価償却資産になるとされています。

参照:税庁

仕訳は以下のようになります。(220,000円の場合)

借方貸方
備品    220,000
減価償却費 220,000
現金   220,000
備品   220,000
ポイント

少額減価償却資産の特例は、20万円未満のものを購入した場合にも適用できるため、一括償却資産にするか、少額減価償却資産にするか、有利な方を選択しましょう。

大企業法人や青色申告を行っていない個人事業主・中小企業法人については、少額減価償却資産の特例は適用できません。

備品として資産計上を行い、通常の減価償却を行ってください。

取得価格30万円以上の場合

プリンターの取得価格が30万円以上の場合、備品として計上した後、通常の減価償却を行います。

プリンターの法定耐用年数は5年なので、5年かけて償却を行ってください。

仕訳は以下のようになります。(350,000円の場合)

購入時

借方貸方
備品 350,000現金 350,000

決算時

借方貸方
減価償却費 ×××     (70,000)備品 ×××  (70,000)

※定額法を使用するか定率法を使用するかで、減価償却費の金額が変わります。
()内は定額法の償却率を使用して計算しています。

【まとめ】プリンター購入時には正しい勘定科目を使おう

プリンターを購入した際に使用する勘定科目は、取得価格によって異なります。

勘定科目と処理方法を以下の表にまとめました。

パソコン購入時の勘定科目と同様です。)

取得価格10万円未満10万円以上20万円未満20万円以上30万円未満30万円未満
勘定科目消耗品費一括償却資産備品備品
処理方法全額経費3年で均等償却少額減価償却資産として一括償却4年で減価償却
条件なしなし青色申告を行う個人事業主・中小企業法人なし

10万円未満か10万円以上かで一括経費計上できるかどうかが大きく変わりますので、処理をする際には注意しましょう。

記帳代行お助けマンでは、記帳代行の格安サービスを提供しています。

日々の経費処理を負担に感じていたり、適切な仕訳が起票できているかの不安があったりする場合は、ぜひ同サービスをご利用ください。