国民年金として支払った金額は経費にできる?
経費にできる支出とできない支出の基準を知りたい
今回は、こちらの疑問にお答えします。
会社などの組織で社会保険に加入している場合、毎月の給与から国民年金保険料と厚生年金保険料を合計した額が控除されます。
一方で個人事業主の場合、自身で国民年金保険料の支払いが必要です。
国民年金は金額がある程度大きいため、経費に計上したいと考えるかもしれません。
しかし支出をやみくもに経費とするのは危険です。対象の支出を経費にできるか、正しく判断する必要があります。
今回は個人事業主に向けて、国民年金を経費にできるか否か・経費にできる支出の判断方法を解説します。
国民年金は経費にならない!
結論から申し上げますと、国民年金の保険料は経費になりません。
経費にできるのは、以下の条件を満たした支出のみです。
- 事業に直接関係がある、プライベートには関係ない
- 売上を出すために必要な支出である
国民年金保険料は個人事業主に限らず、国民全員に支払いが義務付けられているものです。
事業の有無や個人の属性に関係なく支払いが必要であるため、事業支出とはならない点を押さえる必要があります。
なお国民年金のほか、国民健康保険や生命保険などの保険料も同様に、個人事業主の経費にはならない支出です。
国民年金は社会保険料控除の対象
国民年金の保険料は経費にはなりませんが、支払額は社会保険料控除の対象となります。
社会保険料控除は所得控除のひとつで、健康保険・年金保険・介護保険などの保険料支払額を所得から控除できる制度です。
すなわち国民年金保険料の支払いは経費にはならないものの、所得税の軽減につながります。
所得から一箇所からの給与のみの人は、会社で行われる年末調整で社会保険料控除の対応が行われるため、自身で必要な手続きはありません。
一方で個人事業主の場合、社会保険料控除を受けるためには確定申告で所定の手続きが必要です。
国民年金保険料の支払いがあるからといって、社会保険料控除が自動で適用されるわけではないのです。
社会保険料控除の適用有無によって所得税の金額が大きく変わるケースもあるため、手続きを忘れないよう注意する必要があります。
経費にはならないものの仕訳が必要なケースがある
国民年金の保険料は経費にはならない支出です。そのため基本的には仕訳の必要もありません。
しかし事業用の現金や口座から保険料を支払った場合、当然ですが口座等の金額が小さくなります。
事業用の現金・口座の金額が小さくなる事実を記録するため、国民年金保険料の支払いについて仕訳が必要です。
国民年金保険料の支払い時には「事業主貸」という勘定科目を使います。
事業主貸は事業用の口座等から、事業に関係ない支出をしたときに用いる勘定科目です。
国民年金保険料のほかにも、事業と関係ない飲食費や家計など、プライベートな支出をした際に使われます。
事業用の口座から国民年金保険料を支払った際の仕訳例を紹介します。
≫ 事業用の口座から国民年金保険料10,000円を支払った
借方 | 貸方 |
---|---|
事業主貸 10,000 | 普通預金 10,000 |
【まとめ】国民年金は経費ではなく社会保険料控除の対象となる
国民年金保険料は個人事業主の経費として計上できません。すべての国民に支払義務がある支出であり、事業に関係ないためです。
なお国民年金は経費にはなりませんが、社会保険料控除という所得控除の対象です。そのため国民年金保険料の支払いは所得税の軽減につながります。
個人事業主が社会保険料控除の適用を受けるためには、確定申告で所定の手続きが必要であるため注意しましょう。
また事業用の口座や現金から国民年金の支払いを行なった場合、経費ではありませんが仕訳を行う必要があります。
国民年金の支払いに用いる勘定科目は「事業主貸」です。
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