仕事相手と温泉に行ったが経費にできる?

温泉旅行を福利厚生費にできるのだろうか

個人事業主の方が温泉を利用した支出は、条件を満たせば経費にできます。

その条件を知らずに経理処理すると、税金計算を間違い、さらに税金が増えてしまう事例が過去にありました。

今回は事業とプライベートが曖昧(あいまい)になりがちな温泉利用の支出について、経費にできるケースと仕訳方法を解説します。

「温泉を経費で」は通用する?

ポイント

温泉の利用を経費にするためのポイントは、利用目的と参加者です。これらに注目して経費にできるかを判断します。

経費になるものの考え方

経費とは

経費とは、収入を得るために直接必要な売上原価や販売費、管理費その他費用のことです。この考え方を日常の出費に反映して、経理処理をします。

温泉利用の場合は、収入を得るために必要であれば、経費にすることができます。

温泉を経費にできるケースと仕訳方法

温泉利用を経費にできるケースを、具体例を使って解説します。

ケース1:得意先と親睦を深めるため温泉に行った

事業を営むうえで、得意先や仕事関係者とのコミュニケーションは欠かせないものです。得意先が参加し親睦を深める目的の温泉は「交際費」となり、経費にできます。

ただし交際費とするには得意先や仕事関係者の参加が必須となるので、証拠となるように保管する領収書などに参加者をメモしておきましょう。

仕訳は以下のとおりです。

借方貸方
交際費普通預金

ケース2:従業員の福利厚生のため温泉に行った

従業員を雇っている場合、慰安旅行で温泉に行くケースは経費にすることができます。

仕訳は以下のとおりです。

借方貸方
福利厚生費普通預金

しかし福利厚生目的であっても3つの条件を満たしていないと、福利厚生費にはできず、従業員に対する給与扱いになり税金が課されます。

慰安旅行を福利厚生費にするための条件を、次に解説します。

福利厚生費として経理処理したい場合、条件をすべて満たす必要があるので旅行内容などに注意してください。

\\ご相談はこちらからどうぞ//
お問い合わせ

福利厚生費にするための条件1→旅行期間

慰安旅行を福利厚生費とするためには、旅行期間は4泊5日以内でなければなりません。海外旅行の場合は、外国での滞在期間が4泊5日以内となります。

福利厚生費にするための条件2→参加割合

慰安旅行に参加する従業員が全体の50%以上であることが、福利厚生費にできる条件です。

ただし、自己都合で旅行に参加しなかった人に金銭を支給してしまうと、その金額分が参加者不参加者にかかわらず全員への給与扱いになってしまい税金が課されます。

福利厚生費にするための条件3→旅行代金

旅行代金は社会通念上適当な金額であれば、福利厚生費にできます。

重要

国税庁は、旅行代金について明確に金額を定義していません。

国税庁が示す具体例に一人当たり10万円の旅行代金は少額不追求の趣旨を満たす(福利厚生費と認める)との記載があるので、10万円を目安に高額になりすぎないように注意してください。

福利厚生費にするための条件まとめ

従業員の慰安旅行について、国税庁は以下のように説明しています。

国税庁 従業員レクリエーション旅行や研修旅行

従業員レクリエーション旅行について

従業員レクリエーション旅行の場合は、その旅行によって従業員に供与する経済的利益の額が少額の現物給与は強いて課税しないという少額不追求の趣旨を逸脱しないものであると認められ、かつ、その旅行が次のいずれの要件も満たすものであるときは、原則として、その旅行の費用を旅行に参加した人の給与としなくてもよいことになっています。

(1) 旅行の期間が4泊5日以内であること。

海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること。

(2) 旅行に参加した人数が全体の人数の50パーセント以上であること。

工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50パーセント以上が参加することが必要です。

(注1) 上記いずれの要件も満たしている旅行であっても、自己の都合で旅行に参加しなかった人に金銭を支給する場合には、参加者と不参加者の全員にその不参加者に対して支給する金銭の額に相当する額の給与の支給があったものとされます。

(注2) 次のようなものについては、ここにいう従業員レクリエーション旅行には該当しないため、その旅行に係る費用は給与、交際費などとして適切に処理する必要があります。

1 役員だけで行う旅行

2 取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行

3 実質的に私的旅行と認められる旅行

4 金銭との選択が可能な旅行

社会通念上一般におこなわれる旅行とはどの程度なのか、国税庁は明記していないので詳しくは税理士に相談することをおすすめします。

もし税務アドバイスなどは必要なく記帳作業でお困りの方は「記帳代行お助けマン」がおすすめです。ベテランのスタッフが作業するので、仕訳処理の不安を解消できるでしょう。

温泉を経費にできないケース

温泉をプライベートで利用したと判断されたときは、経費にすることはできません。

具体的なケースを説明します。

ケース1:仕事終わりにひとりで温泉に行った

仕事終わりに個人事業主の方がひとりで行く温泉は、事業とは無関係なので経費にできません。

ケース2:仕事を一緒にしている家族の福利厚生のため温泉に行った

仕事を一緒にしている家族(専従者とします)と慰安旅行で温泉に行ったとしても、家族旅行ととらえられるので経費にできません。

ただし、従業員も一緒に行く場合は専従者家族の旅行代金も経費とすることができます。

ケース3:従業員の家族も招待して福利厚生のため温泉に行った

従業員の家族も慰安旅行に招待するケースも近年増えています。しかし、現状の税務の考え方では家族は従業員ではないため、家族分の旅行代金は経費にできません。

なお、個人事業主の方が慰安旅行に子連れで参加した場合も同様に、子供分の旅行代金を除いて経理処理をします。

【まとめ】温泉を経費にするためには利用目的と参加者に注意

温泉利用を交際費や福利厚生費として経費にするためには、利用目的と参加者の条件を満たす必要があります。

交際費や福利厚生費は税務署から内容を質問されることが多いので、利用目的と参加者を記録して領収書など経理書類と一緒に保管しておきましょう。

複雑な仕訳処理に不安をお持ちの方は「記帳代行お助けマン」にご相談ください。ベテランのスタッフが記帳作業を行うので、仕訳処理のストレスから解放してくれるでしょう。