売掛金の入金処理では、振込手数料を引かれて入金されるケースがあります。

この記事では、以下のことについてお話ししています。

この記事でわかること
  • 振込手数料を引かれて入金されたときの仕訳
  • 振込手数料をどちらが負担するのか、悩まずにすむ方法

こちらをあわせてご紹介します。

ぜひ、入金処理で迷ったときに役立ててください。

振込手数料を支払手数料として計上

売掛金が入金されたとき、振込手数料の金額だけ少なく振り込まれることがあります。それは、振込手数料を売掛金から引かれて入金しているからです。

この振込手数料は「支払手数料」の勘定科目を使います。

一つ例をあげます。

1万円の売掛金に9,568円の入金がなされたとき

普通預金 9,568 / 売掛金 10,000

支払手数料 432

この仕訳で左右の金額が同じになります。

金融機関ごとに振込手数料は異なるので、振込手数料の一覧を作っておくといいでしょう。

振込手数料を売上のマイナスとして計上             

「支払手数料」の勘定科目を使用しない方法もあります。振込手数料を売上のマイナスにすることができます。

このケースでは、「売上高」の勘定科目で差額を計上します。

ここでも一つ例をあげます。

1万円の売掛金に9,568円の入金がなされたら

普通預金 9,568 / 売掛金 10,000

売上高   432

この方法は、消費税の簡易課税をとっている会社では、消費税を少なく計算できるメリットがあります。

重要

簡易課税とは売上高に、みなし仕入率を乗じて、消費税を計算する方法です。

「売上高」の勘定科目を借方で処理するので、その分、消費税は少なくなります。

ただし、この制度を利用できる業種は、消費税法により、6種類と限られているので注意が必要です。

支払手数料とは?

そもそも振込手数料とは、なんのことをいうのでしょうか?

ポイント

支払手数料は、会社のさまざまな取引をおこなう際に必要な手数料をいいます。

この手数料は、取引そのものではなく、「取引にかかる経費」と考えると理解しやすいです。

また、国内では消費税の対象となりますが、国外では消費税の対象とはなりません。振込手数料は、先にお伝えしたとおり「支払手数料」の勘定科目を使います。

なお、現金で売掛金をうけとるケースでは、支払手数料は発生しません。

支払手数料の勘定科目を使うメリット

会社の取引が増えると、振込手数料も多くなります。1回あたりの振込手数料は少ないのですが、振込の回数が増えるにつれ、その合計額は大きくなります。

そのため「支払手数料」の勘定科目に統一しておくと、振込手数料の内訳がわかりやすいです。

なお「雑費」や、ほかの勘定科目により振込手数料を処理すると、振込手数料のみを計算しづらくなります。

支払手数料になる取引             

実際に支払手数料になる取引には、

  • 金融機関で振込をする際の手数料
  • 税理士や社会保険労務士などの士業に支払う報酬
  • 売買契約で支払う手数料

などがあります。

支払手数料とならない勘定科目             

支払手数料とならないものに、収入印紙や行政機関の証明書などがあります。それらは「租税公課」の勘定科目で処理します。

また、業務をアウトソーシングした際は「外注費」の勘定科目で処理します。

このように、勘定科目はきちんと使い分けるのがコツです。会社のお金を何に使ったかわかがりやすくなります。

振込手数料の負担先を明らかにする方法             

振込手数料は相手が負担することがあれば、自分たちの会社が負担することもあります。そのため、どちらが振込手数料を負担するのか、悩むことも多いでしょう。

ここでは振込手数料の負担する先を明らかにする方法をお伝えします。

振込手数料の負担先は事前に決めておく             

振込手数料は請求書を作成するまえに、事前に契約書に取り決めすることをおすすめします。

入金処理は、取引先とのデリケートな面があり、金銭でのトラブルをさけるために、契約書で事前に決めておくのがベストです。

振込手数料は「相手が負担する」と請求書に書いておく

相手が振込手数料を負担する際は、請求書に「恐れいりますが振込手数料はご負担お願いいたします」と明記しておきます。

その明記があれば相手先の送金ミスをふせげます。

民法に振込手数料の負担は定められている

持参債務の原則

民法の第484条と第485条に、振込手数料は支払先が負担することが原則、とされています。これを「持参債務の原則」といいます。

ただし、双方の合意があれば、振込手数料を売主負担にすることもできます。

振込手数料以外で入金の差額があるケース

振込手数料を引かれて入金されるケース以外でも、入金に差額のでるケースがあります。もし入金に差額があれば、請求書をよく確認しましょう。

ここでは、入金の差額が振込手数料と異なるケースをおつたえします。

相手先の送金ミス

まず、売掛金と入金額のあわないケースの理由として、相手先の送金ミスがあります。これは、相手の仕入計上によるものか、送金手続きでのミスが考えられます。

もし、入金額が多ければ「売掛金回収と預り金の処理」とし、入金額が少なければ立替金として処理をします。

早急に差額をなくす手続きをしなければなりません。

買掛金との相殺

相手先に仕入があると、その金額を差し引いて入金されることがあります。

この場合は、売買契約書にとりきめがないかを調べ、請求書の相殺について確認します。

支払った側の処理

売掛金を支払った側の処理はどうなるか、仕訳をみてみましょう。

たとえば、1万円の買掛金の支払に432円の振込手数料がかかるケースでは、

買掛金  10,000 / 普通預金 10,432

支払手数料   432

このような仕訳になります。

なお、支払手数料が発生すると、どちらか一方が経費とします。しかし、支払手数料が発生しなければ、どちらも経費として計上しません。

支払手数料の仕訳をしないケースもあるので注意しましょう。

【まとめ】

振込手数料が引かれて入金された場合の仕訳と、振込手数料をどちらが負担するのかを明らかにする方法など、ここではお伝えしました。

取引が開始するまえに、売買契約書に振込手数料を明記し、さらに請求書にその旨を記載することをおすすめします。

また、実務では入金ごとに仕訳をしますので、多くの仕訳をしなければなりません。それらの仕訳に人材を配置すると、その費用もかかり、入力の処理で間違いもおこります。

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