自動ドアは「建物附属設備」として扱うのが原則

店舗やオフィスビル、病院や介護施設などで導入されることの多い自動ドア。
利便性やバリアフリー対応として非常に有用ですが、会計処理においてはその取り扱いを誤ると税務上のリスクが発生する可能性もあります。
まず理解すべきは、自動ドアは原則として「建物附属設備」という区分で固定資産に計上されます。
これは、自動ドアが建物と一体となって機能し、通常は移設もできず独立性が低いためです。
そして固定資産に計上された場合、税法上定められた「耐用年数」に従って減価償却を行う必要があります。
自動ドアの耐用年数はどれくらい?

自動ドアの耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に基づいて分類されます。
基本的には建物附属設備として以下のように扱われます。
建物の構造に応じた耐用年数(建物附属設備)
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の建物:15年
木造・合成樹脂造等:10年
その他の建物(軽量鉄骨など):13年
つまり、建物の構造に応じて、同じ自動ドアでも償却期間が異なります。
また、建物本体とは別に償却される点も重要です。
なお、簡易的な電動ドアや工事費込みで30万円未満のものは、「少額減価償却資産」として一括償却が可能な場合もあります(中小企業者に限る)。
自動ドアの会計処理と仕訳例

自動ドアの取得や交換時には、設置工事費も含めて一体の取得価額として処理します。
仕訳例(取得価額:600,000円・建物附属設備として処理)
(借方)建物附属設備 600,000円 /(貸方)普通預金 600,000円
摘要:自動ドア設置工事費込み
減価償却費(耐用年数15年・定額法)の計上(毎年)
(借方)減価償却費 40,000円 /(貸方)建物附属設備減価償却累計額 40,000円
摘要:自動ドアの減価償却
※耐用年数15年で定額償却した場合、年間償却費は600,000 ÷ 15 = 40,000円。
修理・更新・取り替えの場合の会計処理は?

自動ドアは、稼働機構やセンサー部分の故障、老朽化によるドア本体の不具合などにより、部分修理または全体交換が必要になる場合があります。
以下のように、支出の内容により会計処理が異なります。
部分的な修理の場合(10万円未満~20万円程度)
勘定科目:修繕費
処理方法:発生した年度の経費として処理
大規模な改修や取り替え(30万円以上)
勘定科目:建物附属設備
処理方法:固定資産として再計上、旧設備の除却処理が必要なことも
除却処理の例(帳簿価額10万円・未償却残あり)
(借方)除却損 100,000円 /(貸方)建物附属設備 100,000円
摘要:自動ドア除却による損失計上
自動ドアの修繕が更新レベル(全取り替え)に該当する場合には、旧設備の帳簿残高をきちんと確認し、必要に応じて除却損の計上を行うことが税務上重要です。
自動ドアの取得価額に含めるべき費用とは?

自動ドアを設置する際、以下の費用は取得価額に含める必要があります。
・自動ドア本体の購入費
・取付工事費
・センサーやリモコンなど周辺機器
・試運転・調整費
・運搬費・搬入費
一方、設置後の保守契約費用や定期点検料は、「保守費」「雑費」などで処理されます。
また、工事期間中の仮設ドア代や営業損失補填などは含めません。
自動ドアの勘定科目はどうなる?

以下のように状況に応じて適切な勘定科目を選ぶことが必要です。
【新設・交換(固定資産)】:建物附属設備
【小規模設置(30万円未満)】:消耗品費、または少額減価償却資産(中小企業者のみ)
【修理・点検】:修繕費、雑費
【廃棄処理】:除却損
処理を誤ると、税務調査で否認されるリスクもあるため、証憑や会計方針を明確にしておくことが望まれます。
少額減価償却資産の特例は活用できる?

中小企業(資本金1億円以下など)の場合、1台30万円未満の自動ドアであれば、「少額減価償却資産の特例」により、一括で経費計上することが可能です。
この特例は青色申告者が対象で、年間300万円までの取得資産に適用できます。
以下のように仕訳を行います。
(借方)消耗品費 290,000円 /(貸方)普通預金 290,000円
摘要:自動ドア(少額減価償却資産)購入
この特例は節税効果が高く、資金繰りにも有利ですが、毎年税制改正で適用条件が変わる可能性があるため注意が必要です。
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