外構工事とは?減価償却の対象になるの?

「外構工事」とは、建物の外回りに設けられる構造物や設備を整備する工事を指します。
たとえば以下のような工事が該当します。

・駐車場・カーポート
・フェンス・門扉
・ブロック塀・生け垣
・アプローチ・階段・タイル舗装
・庭・芝生の整備

これらの工事は資産として計上し、減価償却によって数年にわたって費用化していく必要があります。

ただし、「修繕」ではなく「資本的支出(新設や増設)」である場合に限られるため、減価償却の可否判断と、適切な耐用年数の選定が重要になります。

減価償却とは?なぜ外構工事にも必要?

減価償却とは、取得した資産の価値を耐用年数にわたって分割して経費として計上していく会計処理です。

たとえば、300万円の外構工事を一括で費用にしてしまうと、税務署から否認されることもあります。

耐用年数を元に、以下のように毎年一定額を計上する必要があります。

工事費用:300万円
耐用年数:10年(例)
減価償却費:毎年30万円(定額法の場合)

この処理により、適正な損益計算ができるだけでなく、税務リスクの回避や節税のタイミング調整も可能になります。

外構工事でよくある資産区分と勘定科目

外構工事は以下のような資産区分で処理されることが一般的です。

工事内容勘定科目資産区分備考
駐車場のアスファルト舗装建物附属設備建物附属設備コンクリート・アスファルト
カーポート設置建物附属設備 or 構築物建物附属設備または構築物素材により分類が変わる
フェンス・門扉・塀構築物構築物耐用年数は素材によって異なる
花壇や芝生の整備構築物構築物造園工事に該当

素材別|外構の耐用年数一覧表

外構設備の耐用年数は素材により異なるため、適切に分類する必要があります。

以下に主な素材別の耐用年数をまとめました(税法上の法定耐用年数に準拠)。

工事内容主な素材耐用年数備考
コンクリート舗装コンクリート15年駐車場・アプローチなど
アスファルト舗装アスファルト10年駐車場・道路
ブロック塀・門柱ブロック・石材20年解体も減価償却対象外
金属製フェンス鉄・アルミ15年補修の場合は修繕費も可能
木製フェンス木材5年劣化が早いため耐用年数短め
カーポート鉄骨・アルミ15年一体型なら建物附属設備扱い
生け垣・芝生土・植物3年~5年自然物のため短期償却が可能

※注意:耐用年数は税法における一般的な取り扱いです。資産の実態や使用状況により個別判断が必要なケースもあります。

節税に繋がる外構工事のポイント

ポイント①:修繕費か資本的支出かを区別する
外構工事が既存設備の一部修理・補修である場合20万円未満であれば修繕費(全額費用)として処理可能なケースもあります。

・雨で傾いたフェンスの一部を修理 → 修繕費
・古い門を新品に交換 → 資本的支出(減価償却)

金額基準や修繕の範囲を超えると、資産計上が必要になるため、工事内容の明細と領収書をきちんと保管しておきましょう。

ポイント②:中小企業向け特例の活用(即時償却・30万円未満経費)
中小企業であれば、以下のような節税メリットを活かせることもあります。

30万円未満の資産は一括で経費にできる(中小企業者等の少額減価償却資産の特例)
・100万円未満の一定設備については即時償却や税額控除も可能(中小企業投資促進税制)

カーポートやフェンスなども30万円以下であれば、減価償却せずに一括で経費処理できる可能性があります。

法人と個人事業主での違いは?

外構工事の減価償却は、法人・個人事業主を問わず適用されますが、下記の点に注意しましょう。

個人事業主の場合、事業専用であることが前提(自宅との共用部分は按分処理)
②青色申告者であれば、減価償却の選択幅が広がる(定額法・定率法など)
③消費税の課税事業者であれば、工事費用にかかる消費税仕入控除が可能

減価償却の実務処理例(仕訳)

ケース①:アスファルト舗装工事(80万円)
・耐用年数10年(建物附属設備)
・定額法

取得時仕訳:
借方:建物附属設備 800,000円
貸方:普通預金 800,000円

毎年の減価償却:
借方:減価償却費 80,000円
貸方:建物附属設備 80,000円

ケース②:フェンス設置(20万円)+中小企業特例適用

借方:修繕費 200,000円
貸方:普通預金 200,000円
※一括経費処理

外構工事でよくあるミスと税務リスク

①一括で費用計上し、税務調査で「資産計上漏れ」と指摘される
②資産計上したが、耐用年数の選定ミスで償却費が過少または過大
③素材ごとの分類を怠り、建物附属設備と構築物を混在させている
④修繕と資本的支出の区別があいまい

これらのミスを防ぐためには、会計処理の設計段階での事前確認が不可欠です。

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外構工事に関する会計処理や減価償却は、建物との関連性・素材の種類・金額によって判断が分かれる難易度の高い処理です。

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