スピード超過や駐車違反などの交通違反を起こしたときには、罰金などの違反金が課せられます。

違反金は基本的に、業務中であっても個人にかかる罰則であるため、経費として処理することはできません。

しかし「業務時間内に生じた」という理由で会社が負担したり、立て替える場合や個人事業主が事業費用から支払うこともあるでしょう。

この記事では、違反金を支払ったときに、どの勘定科目を用いて仕訳をするのか解説していきます。

違反金は基本的に経費処理できない

一般的に罰金や反則金などの違反金を支払ったときは、会社や個人事業主どちらであっても費用として計上はできません。

違反金を経費として計上できることを認めてしまうと、罰金分だけ会社の利益が減ってしまい、結果納税する法人税が減ることになります。

つまり法人税が減ることによって、「罰則」の意味が薄れるのを防ぐためとされています。

そのため法人税法で、罰金は損金算入を認めていないのです。

ただし業務時間外に発生した交通違反金を、会社側が立て替えてそれを返還しない場合は、「給与」や「役員報酬」として扱うので覚えておきましょう。

違反金は法人と個人事業主で異なる

違反金は経費処理できませんが、事業費用で支払うことができない訳ではありません。

ただし支払ったのが、法人か個人事業主かで使う勘定科目は異なるので、それぞれについて仕訳例とともに確認していきましょう。

法人の場合は「租税公課」

業務中に交通違反などによる違反金が発生して、会社で負担した場合には「租税公課」の勘定科目を用いて仕訳します。

租税公課とは、国や地方に納める税金(租税)と、公共団体に収める会費や罰金(公課)を合わせた言葉です。

公課の種類の中には交通反則金も含まれるため、法人で反則金を払うときは「租税公課」の勘定科目を使うのが適切となっています。

<仕訳例>業務中に駐車違反による罰則が発生。業務中であったため会社で費用を負担して、現金で5,000円支払った。

借方貸方
租税公課  5,000   現金  5,000    

個人事業主は「事業主貸」

個人事業主が交通違反によって発生した反則金を事業費用から支払った場合でも、それは経費として計上することはできません。

あくまでも事業と関係ないお金から、捻出する必要があります。

反則金を事業費用から支払ってしまった場合、記帳するときの勘定科目は「事業主貸」

<仕訳例>交通違反によって反則金10,000円が発生。後日事業用口座から振り込んだ

借方貸方
事業主貸  10,000   普通預金 10,000  

事業費用からではなく個人のお金から支払った場合は、仕訳して記帳する必要はないです。

レッカー移動にかかった費用は経費処理できる

交通違反の反則金に加えて、レッカー移動代を請求された場合は、法人・個人事業主に関わらず、経費として処理ができます。

レッカー代は定期的に発生するものではないので、「雑費」で処理して摘要や備考に「交通違反によるレッカー移動代」など、わかるようにしておきましょう。

<仕訳例>業務中に交通違反をして、社用車がレッカー移動された。かかった費用10,000円を請求されて現金で支払った

借方貸方
雑費  10,000            現金  10,000  (交通違反によるレッカー移動代)

違反金は経費として処理できない

交通違反などによる反則金や罰金は、「罰則」の意味が薄れるのを防ぐためにも、損金算入できない決まりとなっています。

しかし業務中に発生した場合、法人で負担することもあるでしょう。

その際には「租税公課」の勘定科目で仕訳するのが適切です。

また個人事業主が事業費用で支払った場合も、経費として処理することはできないので、「事業主貸」の勘定科目を使って仕訳します。

しかしそれぞれの勘定科目にはたくさんのルールがあったり、状況によって使う勘定科目をかえる必要があったりと、仕訳業務は専門的知識が必要です。

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