宿泊税とは2002年に初めて東京が導入した、地方税の一種です。
その後各自治体でも導入の動きが広がりをみせ、2024年には9つの自治体が導入。
納税者はホテルなど宿泊した宿泊者が対象であるため、出張などで宿泊施設を利用したときは、適切な勘定科目を使って経理処理が必要です。
この記事では、宿泊税で使う勘定科目と、宿泊税の基礎知識について解説していきます。
宿泊税で使える勘定科目
宿泊税の経理処理は、領収書に宿泊税の記載があるかどうかで、使う勘定科目が変わります。
それぞれのケースをみていきましょう。
領収書に宿泊税の記載がある場合
宿泊税が領収書に明記されている場合、宿泊税は消費税の課税対象外であるため「租税公課」として計上。
その場合には、宿泊料金と宿泊税は別の勘定科目を使って仕訳をします。
<仕訳例>ホテルに宿泊したら、宿泊料金が10,000円で宿泊税200円であり、その場で現金で支払った
借方 | 貸方 |
---|---|
旅費交通費 10,000 租税公課 200 | 現金 10,200 |
宿泊費用に宿泊税が含まれている場合
領収書に宿泊税の記載がない場合には、宿泊料金に宿泊税が含まれていると見なされます。
この場合は宿泊費用全額を「旅費交通費」で処理。
<仕訳例>旅館に宿泊して料金10,500円を現金で支払ったが、領収書には宿泊税の記載がなかった
借方 | 貸方 |
---|---|
旅費交通費 10,500 | 現金 10,500 |
そもそも宿泊税とは?
宿泊税とは、ホテルなどに宿泊する際に課される地方税の一種です。
日本では一部の自治体が独自に宿泊税を導入しており、観光振興や環境保全などの地域振興に必要な費用を賄う目的とされています。
宿泊税の納税義務者は、ホテルや旅館などの宿泊者です。
ただし一定の条件に該当する人は、課税が免除されていますが、条件は自治体によって異なります。
たとえば京都市での免除条件は「学校の生徒が授業の一貫で宿泊施設に泊まる場合」は、課税の対象外です。
宿泊税の制度は2002年に東京都が全国で初めて導入を開始して、その後他の自治体も次々と導入を開始。
宿泊税は宿泊料金に上乗せして課税され、宿泊施設が徴収し自治体に納付します。
宿泊税は地域によって異なる
2024年4月の時点では、次の9つの自治体が宿泊税を導入しています。
- 北海道虻田郡倶知安町
- 長崎県長崎市
- 石川県金沢市
- 福岡県
- 福岡県北九州市
- 福岡県福岡市
- 東京都
- 大阪府
- 京都市
宿泊税は自治体ごとに税率や金額が違います。
自治体 | 宿泊料金など | 宿泊税 |
東京都 | 10,000円未満 | 課税なし |
10,000円~15,000円未満 | 100円 | |
15,000円以上 | 200円 | |
大阪府 | 7,000円未満 | 課税なし |
7,000円~15,000円未満 | 100円 | |
15,000円~20,000円未満 | 200円 | |
20,000円以上 | 300円 | |
京都府 | 20,000円未満 | 200円 |
20,000円~50,000円未満 | 500円 | |
50,000円以上 | 1,000円 | |
石川県金沢市 | 20,000円未満 | 200円 |
20,000円以上 | 500円 | |
北海道虻田郡倶知安町 | 各宿泊施設の宿泊料金の算定方法によって選択 | 宿泊料金の2% |
福岡県(北九州市・福岡市以外) | 宿泊料金に関わらず | 200円 |
福岡県北九州市 | 200円 | |
福岡県福岡市 | 20,000円未満 | 200円 |
20,000円以上 | 500円 | |
長崎県長崎市 | 10,000円未満 | 100円 |
10,000円~20,000円未満 | 200円 | |
20,000円以上 | 500円 |
宿泊税は租税公課で計上
宿泊税は不課税取引のため、基本的には「租税公課」の勘定科目で処理します。
ただし領収書に記載のない場合には、宿泊料金に含まれているため、宿泊費用を仕訳するときの勘定科目「旅費交通費」で、宿泊費用とまとめて課税取引として仕訳が可能です。
上記のように、領収書に宿泊税が記載されているかどうかで、勘定科目が異なる点に注意しましょう。
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