材料の仕入れで使う勘定科目はどれ?

仕入と経費は違うと聞いた。具体的な違いや使い分けの基準とは?

今回は、こちらの疑問にお答えします。

材料の仕入額は、事業にかかった費用として計上が可能です。しかし材料仕入れは経費ではなく、仕入として別の扱いになります。

仕入と経費の違いを正しく押さえなければ、会計処理を誤ってしまう恐れが大きいです。

今回は材料を仕入れたときの勘定科目や、仕入と経費の違いについて詳しく解説します。

材料を仕入れたときの勘定科目

材料を仕入れたときに用いる勘定科目は「材料」または「仕入」です。

製造業の場合、個人事業主・法人ともに決算書において製造原価の内訳を記載する必要があります。

材料勘定は製造原価の項目のひとつであるため、製造業を営む事業主は材料を仕入れたとき、勘定科目は材料で計上します。

製造業ではない・白色申告の個人事業主のため材料費の明記が必要ないといった場合、仕入勘定を用いて仕訳を行います。

材料仕入れの仕訳例

材料仕入れの仕訳例を紹介します。

≫ 商品を製造するための材料5,000円を掛で仕入れた

借方貸方
材料 5,000買掛金 5,000

仕入れは掛で行うケースが多いです。

掛で仕入れた場合は「買掛金」という勘定科目を用いて仕訳を行います。

≫ なお上記の買掛金を普通預金から支払う場合の仕訳は以下のとおりです。

借方貸方
買掛金 5,000普通預金 5,000

≫ 掛ではなく、その場で現金で支払って材料を仕入れた場合は以下の仕訳となります。

借方貸方
材料 5,000現金 5,000

材料の仕入れ額を仕入勘定で処理する場合の仕訳例を紹介します。

≫ 材料を10,000円で仕入れ、現金で支払った

借方貸方
仕入 10,000現金 10,000
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仕入と経費の違い

仕入と経費はどちらも事業に関係する支出ではありますが、異なる性質を有します。

仕入は売上に直結する費用です。

製造業における商品の原材料や加工費、小売業において販売目的で購入した商品の費用などが該当します。売上原価・仕入原価・製造原価とも呼ばれます。

一方で、経費は事業の運営にかかる費用です。

旅費交通費・水道光熱費・消耗品費・取引先の接待費など、売上を出すために必要となる支出のうち、仕入れ以外が経費に該当します。

白色申告の個人事業主が記入する収支内訳書の「売上原価」欄には「仕入金額」という項目があります。

仕入金額の項目に、材料や商品などの仕入にかかった金額の記入が必要です。

青色申告の個人事業主の場合、決算書の「製造原価の計算」欄に「原材料仕入高」という項目があります。

この項目に材料の仕入高を記入します。

仕入額を経費として扱うとどうなる?

材料仕入れを含め、本来仕入とするべき支出を経費として扱ってしまうと、売上原価・製造原価と経費の区別ができません。

収支内訳書や決算書は、事業年度における会計取引の結果を正しく表示するために必要とされます。

そして前述したように、仕入と経費は異なる性質を持つ支出です。

注意

仕入額を経費に計上すると、収支内訳書や決算書の内容が正しいものではなくなってしまいます。結果として、税務調査で指摘を受ける・ペナルティの対象となる恐れが大きいです。

材料仕入れは仕入として正しく処理し、経費計上しないよう注意しましょう。

【まとめ】材料仕入れの勘定科目や仕訳を押さえて正しい会計処理をしよう

材料を仕入れたときに使う勘定科目は、「材料」または「仕入」です。いずれも売上原価・製造原価に使う勘定科目であり、経費勘定ではありません。

仕入と経費はどちらも事業に関する支出ではありますが、異なる性質を持つ費用です。

材料仕入れを経費としてしまうと、収支内訳書や決算書の内容にも誤りが生まれてしまうため注意しましょう。

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