機械装置の一つ・コンプレッサーは、モデルにより取り扱う気体や圧縮方式・構造などが異なり、用途も業種によって違います。

自動車整備ならタイヤの空気入れ・塗装、食品製造業なら食液塗布・エアダスター等の用途が考えられます。

そして、使用する業種によって、コンプレッサーの耐用年数は異なる場合があります。

厳密には「コンプレッサーの用途次第」で耐用年数が変わってくるため、減価償却時は自社での用途に応じて耐用年数を選ぶ必要があります。

この記事では、機械装置の減価償却に悩んでいる経理担当者の方向けに、多様な業種で使われるコンプレッサーの耐用年数・勘定科目について解説します。

コンプレッサーの法定耐用年数は業種別に違う?

冒頭でお伝えした通り、コンプレッサーの耐用年数は業種別、正確には用途によって異なります。

これはコンプレッサーに限らず、複数の業種で使用される機械装置については同じように適用されるルールのため、自社の業種と用途を確認してから減価償却の処理を行わなければなりません。

コンプレッサーの勘定科目は「機械装置」

コンプレッサー

コンプレッサーとは、日本語で空気圧縮機の意味で、圧縮した空気(気体)の空気圧を利用するための機械です。

自転車を持っている人なら、定期的にタイヤに空気を入れていると思いますが、コンプレッサーはその空気入れの動作をモーターによって行う機械と考えると分かりやすいかもしれません。

用途は実に幅広く、例えば以下のような使い道があります。

  • 金属の加工
  • 食品の加工
  • 医薬品、化粧品の製造
  • 電子部品の製造

など。

よって、コンプレッサーの勘定科目は、機械装置に分類されます。

機械装置は資産グループに属する勘定科目なので、増加は借方・減少は貸方です。

機械装置の法定耐用年数は使い道次第

コンプレッサーも含め、各種機械装置の法定耐用年数は、その使い道次第で変わります。

当然、業種によってどんな用途に使うのかは異なりますから、自社の業種は少なからず法定耐用年数の判定に関係しています。

経理担当者にとって難しいのは、自社の業種自体は分かっていても、実際にコンプレッサーがどんな用途で使われているのかについては、現場に確認しなければならない点です。

例えば、科学工業用設備としてコンプレッサーを使っている場合、どのようなものを製造するための設備として使っているのかまで理解していなければ、正確な法定耐用年数を計算することができないのです。

よって、多くの場合、担当者は過去の仕訳を参考に減価償却を行いますが、過去データがないケース(新しくコンプレッサーを購入したケース)では、まず用途を把握してから処理を行う必要があります。

その上で、用途ごとに機械装置の法定耐用年数がまとまった資料を参考に、減価償却の処理を進めていきます。

詳しい法定耐用年数は耐用年数表を確認

機械装置の法定耐用年数を確認する上で重要なのが「機械及び装置の耐用年数表」です。

一例として、東京都主税局のサイトを見ると、減価償却資産の耐用年数(機械装置)がPDFで確認できます。

なお、表を確認しても、自社で使用しているコンプレッサーがどこに分類されるのか分からない場合は、管轄の税務署に問い合わせて確認するのが確実です。

コンプレッサーの法定耐用年数をどう確認するか

実際にコンプレッサーの法定耐用年数を確認する場合、耐用年数表から設備の種類を選び、該当する使い方の耐用年数を選んで減価償却を行います。

以下に、確認時の具体例をいくつかご紹介します。

金属加工で使用しているケース

コンプレッサーを金属加工に使用している場合、業務内容に応じて以下の設備種類が考えられます。
  • 鉄鋼業用設備
  • 非鉄金属製造業用設備
  • 金属製品製造業用設備

など。

これらの設備としてコンプレッサーを使用している場合、一律で法定耐用年数が定められているわけではなく、それぞれの種類はさらに細目で分かれています。

一例として以下の細目で別々の法定耐用年数が定められています。
  • 金属被覆及び彫刻業又は打はく及び金属製ネームプレート製造業用設備:6年
  • その他の設備:10年

など。

耐用年数表を確認する場合、上記の点に留意して確認を行いましょう。

自動車関連で使用しているケース

自動車に関する用途でコンプレッサーを使用している場合、主に自動車整備業として取り扱っているのか、自動車を何らかの目的のために運用しているのかによって、法定耐用年数が変わってきます。

業務で自動車を使用するケースも含めると、例えば以下のような設備の種類が考えられます。
  • 道路貨物運用業用設備
  • 運輸に付帯するサービス業用設備
  • 自動車整備業用設備

など。

業種だけで判断すると、コンプレッサーを業務上必要とするケースは幅広く、宿泊業・飲食業なども対象になる可能性があります。

しかし、仮に自動車整備業用設備とした場合、主にタイヤの空気を入れるために使っているものが15年なのに対して、ほぼ同じ用途で宿泊業用設備に分類すると10年と短くなってしまいます。

そのため、コンプレッサーを「どのような業務・サービスに使用するのか」を基準に考えて、法定耐用年数を考えることが大切です。

コンプレッサーの勘定科目「機械装置」とは

コンプレッサーが属する勘定科目・機械装置とは、具体的にどのような資産に使われる勘定科目なのでしょうか。

以下、概要をご説明します。

事業目的のために使用している機械・装置

機械装置

機械装置とは、企業がその事業のために使用している機械・装置のことです。

コンプレッサー以外の機器の例としては、工作機械・印刷機械といった製品等の製造に使われるものが当てはまり、ブルドーザーなど土木作業用の重機も含まれます。

機械装置は、単純に購入代金だけを計上するとは限らず、設置費用(据付費)も合算されることがあります。

また、工場の生産ライン等で使われる機械装置に関しては、ライン全体が一体となり役割を担うものと考えられるため、設備に含まれるすべての機械をグループ単位でまとめ、一括して減価償却を行います(総合償却)。

工具器具備品との違いについて

機械装置と混同しがちな勘定科目に、工具器具備品があげられます。

工具器具備品

工具器具備品は、事業のために使われる道具・工具等のことを指し、機械装置に比べて小規模な資産という扱いです。

1個又は1組の取得価額が10万円以上の工具・器具・備品は、工具器具備品の勘定科目で処理することとなり、以下のようなものが該当します。

  • 加工/取付/切削工具
  • 計量器/測定器/送風機
  • キャビネット/複合機/金庫

など。

工具器具備品は、基本的には減価償却の対象ですが、試用期間や取得価額によっては経費扱い・短期償却ができます。

構築物との違いについて

資産グループに属する勘定科目の中で、もう一つ混同しやすいものとして、構築物についても触れておきましょう。

メモ

構築物は、土地の上にある建物以外の工作物のことを指し、舗装・補修のほか用水池・花壇などが対象となります。

「構築物」という名称の響きから、何となく機械装置に近いイメージを持つ人もいるかもしれませんが、機械装置とは直接関連する勘定科目ではないので注意してください。

おわりに

以上、コンプレッサーの耐用年数・勘定科目について解説してきました。

機械装置は、それぞれの用途に応じて法定耐用年数が変わり、償却方法も建物や車両とは異なる場合があります。

初めて処理を行う場合はもちろん、例年行っている処理に関しても、不安に感じることは珍しくありません。

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