はじめに

自動車や家電製品を購入・販売する際に、「リサイクル料金」「リサイクル預託金」という言葉を見かけたことはありませんか?

この「リサイクル預託金」とは、製品の廃棄時に必要となるリサイクル費用をあらかじめ預けておくお金のことです。
特に自動車販売業・整備業・中古車業などでは頻繁に登場する項目であり、正しい会計処理が求められます。

この記事では、リサイクル預託金の意味・勘定科目・仕訳方法・注意点をわかりやすく解説します。

リサイクル預託金とは?

リサイクル預託金とは、自動車リサイクル法(2005年施行)に基づき、車両の最終的な廃棄処理費用を前払いする制度です。

車を新車で購入する際、購入者は以下のリサイクル関連費用を支払います。

  • エアバッグ類のリサイクル料金
  • フロン類の回収・破壊費用
  • シュレッダーダストの処理費用
  • 情報管理料

この合計額が「リサイクル預託金」です。

支払ったお金は、自動車リサイクル促進センター(JARC)に預けられ、廃車時にリサイクル業者へ支払われます。
つまり、最終的な廃棄コストを前払いしているということです。

リサイクル預託金の勘定科目

リサイクル預託金は、将来的に返金または他者に引き継がれる預け金です。
そのため、会計上は「資産」として扱います。

状況勘定科目区分説明
リサイクル料金を支払った預け金(またはリサイクル預託金)資産JARCに預けた金銭
中古車を購入時にリサイクル預託金が含まれていた仮払金/預け金資産前オーナーが支払済み分を引き継ぐ
中古車販売時に預託金を受け取った預り金負債次の所有者から一時的に預かる金額
リサイクル預託金が返還された雑収入収益廃車等により戻ってきた

リサイクル預託金の仕訳方法

以下では、代表的なケースを分かりやすく整理します。

ケース①:新車購入時にリサイクル預託金を支払った

自社で使用する営業車を購入した場合:

借方 車両運搬具 2,000,000円  
借方 預け金    12,000円  
借方 非課税仕入   0円  
貸方 普通預金  2,012,000円  
(新車購入時、リサイクル預託金含む)

→ 車両代金とは別に「預け金」として資産計上します。

ケース②:中古車を購入した際にリサイクル預託金が含まれていた

中古車販売業者などが、仕入時にリサイクル預託金を支払う(引き継ぐ)場合:

借方 仕入  1,000,000円  
借方 預け金   10,000円  
貸方 普通預金 1,010,000円  
(中古車仕入時のリサイクル預託金を引き継ぎ)

→ 預託金は資産として管理し、販売時に新しい購入者に引き継ぎます。

ケース③:中古車販売時にリサイクル預託金を受け取った

中古車販売業者が、次の所有者からリサイクル預託金を受け取った場合:

借方 普通預金 10,000円 / 貸方 預り金 10,000円  
(リサイクル預託金の預かり)

→ 販売時点では「預り金」として負債処理し、同時に自社が保有していた「預け金」を取り消します。

借方 預り金 10,000円 / 貸方 預け金 10,000円  
(預託金の引継ぎ処理)

ケース④:廃車時にリサイクル預託金が返金された

借方 普通預金 5,000円 / 貸方 雑収入 5,000円  
(廃車時にリサイクル預託金返還)

→ 返金分は「雑収入」として処理します。
事業用資産に関する返金のため、法人税・所得税の課税対象になります。

実務上の注意点

注意①:預け金と預り金を混同しない

  • 預け金:自社が他者に預けたお金(資産)
  • 預り金:他者から一時的に預かっているお金(負債)

中古車業者などではこの2つが頻繁に登場するため、科目を逆にしてしまうミスがよくあります。

注意②:車両台帳・リサイクル券の内容を確認

リサイクル預託金は、車両ごとに金額が異なります。
リサイクル券に記載されている金額をもとに、預託金の有無や引継ぎ額を正確に記録しておきましょう。

注意③:事業用車と個人用車の区別

個人事業主の場合、リサイクル預託金は事業用車に関するものだけが経理対象です。
自家用車分は「事業主貸」として処理し、経費計上はできません。

注意④:リサイクル預託金を経費計上しない

リサイクル預託金は「預け金」であり、支出時点では経費になりません。
あくまで「資産の振替」にすぎない点に注意しましょう。

経費(損金)になるのは、実際にリサイクル費用として消費されたとき、または返金されたときです。

【まとめ】リサイクル預託金の会計処理

区分勘定科目会計区分消費税
支払時預け金資産不課税
引継時(中古仕入)預け金資産不課税
販売時の受取預り金負債不課税
廃車時の返金雑収入収益不課税

リサイクル預託金は「リサイクル費用の前払い」であるため、支払時は経費にせず資産(預け金)として処理するのが原則です。

中古車の仕入・販売時には「預け金」と「預り金」の両方が動くため、車両ごとにリサイクル券を確認し、正確な金額管理を行いましょう。

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