印紙税は契約書など決められた文書に貼って消印することで、納付したことになる税金です。

よって日々の取引のなかで印紙税の対象になる文書を扱う方は、印紙税のしくみや納付漏れのリスクを必ず理解しておかなければなりません。

この記事では、印紙税の税務調査の種類や流れを紹介します。

印紙税の納付漏れのリスクと対策も解説するので、印紙税について不安のある方はぜひ最後までご覧ください。

印紙税の税務調査とは

印紙税の税務調査は、契約書や領収書など収入印紙を貼る必要のある書類について、貼り忘れがないかを確認する調査のことです。

印紙税は国税なので、国税庁や税務署が調査をおこないます。

そもそも、印紙税は国に直接納める税金ではなく、収入印紙を購入して課税文書に貼り消印することで納付したとみなされる税金です。

よって正しく納税されているかを税務署が把握するためには、実際の課税文書を調査する必要があります。

印紙税の税務調査の種類

印紙税の税務調査には次の2種類があります。

①同時調査
②単独調査

それぞれ解説します。

同時調査

法人税や所得税の税務調査と同時に、印紙税の調査もおこなわれることがあります。

法人税や所得税の調査では、契約書などの書類を確認することが一般的です。

同時調査では、その際に印紙税の有無も同時に調査します。

単独調査

単独調査とは、印紙税の調査のみ単独でおこなわれる調査です。

一定以上の事業規模のある事業者は、事業内容や取引量から印紙税の対象となる課税文書を多く発行していると考えられます。

そのような事業者が扱う印紙税は大きい金額になることが多いため、単独調査の対象になることがあります。

印紙税の税務調査の流れ

印紙税の税務調査の流れを確認しましょう。

同時調査と単独調査、それぞれの流れを解説します。

同時調査の場合

印紙税の調査が同時調査の場合、法人税や所得税の調査を進めつつ、印紙税の確認もおこなわれます。

また法人税や所得税の調査のために、契約書などを確認する過程で印紙税の納付漏れが発覚した場合は、印紙税についてもさらに細かく調査されるケースもあります。

単独調査の場合

単独調査では、まず国税庁や税務署から事前連絡があり、印紙税の調査を実施したい旨や候補日程が伝えられます。

日程調整をおこなったあと、調査当日には調査官が来て、聞き取り調査や文書の確認をおこない、結果を伝えて調査完了となります。

印紙税の納付漏れのリスク

印紙税の税務調査で納付漏れが発覚した場合の、おもな2つのリスクを具体的に解説します。

印紙税の納付漏れは、事業の存続に関わる重大な問題になりうるので、リスクを必ず理解しておきましょう。

過怠税が課される

印紙税の納付漏れには、税金面で重大なペナルティがあります。

たとえば、印紙税の調査で10万円の納付漏れが発覚した場合、過怠税として30万円(本来の10万円+20万円(10万円の2倍))を支払わなければなりません。

ただし、自主的に印紙税の納付漏れを申告した場合、過怠税の計算は納付しなかった印紙税額とその10%の合計額にかわります。

つまり、印紙税10万円の納付漏れを自主的に申告すれば、過怠税は11万円(本来の10万円+1万円(10万円の10%))になります。

信用低下により損害が発生する

印紙税の納付漏れは、信用低下をまねくリスクがあります。

税金の納付漏れやペナルティを受けたことなどは、ネガティブな印象を与えやすいものです。

過怠税は支払えば済みますが、一度低下した信用やイメージを回復することは容易ではありません。

特に、印紙税は決算や申告時に計算するものではなく、日々の取引で発生するものなので、納付漏れが起こりやすく、また税務調査で発覚しやすい税金です。

印紙税の納付漏れは、印紙の金額以上の損害を長期間被るリスクがあることを十分理解しておきましょう。

印紙税で指摘されないための対策

印紙税の税務調査で指摘されないために、しっかりと対策をしておきましょう。

特に有効な対策を2つ紹介します。

課税文書を整理し貼り忘れを確認する

日々の取引で発行する課税文書は、印紙の貼り忘れを確認したあと、まとめて整理し保管しておきましょう。

課税文書を整理するためには、どの文書が課税文書に該当するかを知っておく必要があります。

印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた文書に限られています。

よって、国税庁が公表する印紙税額の一覧表にあるものだけが課税文書になるので、確認しておきましょう。

国税庁 印紙税額の一覧表(第1号文書から第20号文書まで)

ただし、課税文書に該当するかどうかは、名称や形式的な記載文言ではなく、実質的な内容にもとづいて判断されます。

貼り忘れがあれば自主申告する

課税文書を確認中に貼り忘れがあれば、リスクを最小限に抑えるため、速やかに自主申告をしましょう。

また過怠税が軽減される条件は、税務調査によって過怠税がかかることを予知して提出された自主申告ではないケースに限られるとされています。

つまり、税務調査の連絡があって慌てて自主申告をしても、過怠税は減額されないので、貼り忘れに気づいたら早めの自主申告をすることが重要です。

なお、自主申告の正式名称は​、​不納付事実申出手続といいます。

詳細は国税庁のホームページをご確認ください。

国税庁 印紙税不納付事実申出手続

【まとめ】印紙忘れはリスク大!対策が重要

印紙の貼り忘れには過怠税や信用低下など、大きなリスクがあります。

印紙税の課税文書を理解して、税務調査で指摘されないように事前に対策を講じておくことが重要です。

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