税務署へ相談したくても、個人を特定されて質問事項を後から突っ込まれないかと不安に感じることがあるかもしれません。
結論から言うと、税務署の匿名相談を利用すれば、そのような心配は無用です。
しかし、税務署へ相談する前に、知っておくべき注意事項があります。
この記事では、税務署へ相談するデメリットとメリットを紹介します。
税務署への相談に不安や疑問のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
税務署へ相談するデメリット
税務署へ相談するおもなデメリットは次の3つです。
①税務署は相談に対する回答の責任を負わない
②個々の具体的な回答や節税対策は期待できない
③相談できる日時が限られている
相談してから「こんなはずではなかった」とならないために、これらのデメリットは相談前に必ず知っておきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
税務署は相談に対する回答の責任を負わない
税務署の職員が回答した内容について、税務署側は最終的に責任を負うことはありません。
職員の回答誤りについては、実際にその回答を信頼して申告した納税者が税務署から処分を受けたことについて訴訟を起こした事例があります。(東京地裁令和3年4月23日判決)
その時に裁判所は、税務署長のような責任ある立場の人が正式な見解であると表示しない限り、公的見解の表明には当たらないと判断し、納税者は敗訴しました。
つまり、職員の回答が間違っていたとしても、その回答が公的見解ではない場合は、税務署は回答の責任を持つことはないので、相談する際には十分理解しておきましょう。
個々の具体的な回答や節税対策は期待できない
税務署が受け付けている相談内容は、税金の制度や申告方法など一般的な内容です。
よって、個別の状況に合わせた具体的な回答は期待できません。
特に、特定の事業や特殊な取引の税務処理については、税務署の職員は実務の専門家ではないため、解決できるような回答が得られないこともあります。
また、税務署への相談では基本的な税務の情報しか提供されないので、節税に関する具体的なアドバイスを聞くことはできません。
税金の制度など一般的な相談ではなく、具体的な処理方法や節税対策を知りたいときは、税務署ではなく、税や会計の専門家に依頼しましょう。
相談できる日時が限られている
税務署への相談は、受付日程や時間が限られています。
たとえば、電話で相談できる電話相談センターの受付時間は、8時30分から17時(土日祝日及び12月29日から1月3日を除く)です。
しかし、多くの人が利用するサービスなので、繁忙期には電話がつながるまで長い待ち時間が発生することがあります。
また、税務署へ直接行って相談したい場合は、まず所轄の税務署へ予約の電話をしなくてはなりません。
このように、税務署に相談すると時間がかかってしまうため、緊急性の高い相談など迅速に解決したいときには不向きです。
税務署へ相談するメリット
税務署へ相談するおもなメリットは次の3つです。
①匿名相談であれば質問事項を後追いされない
②無料で相談できる
③基本的な税の知識を得ることができる
これらのメリットを上手に活用することで、少ないリスクで知りたい情報を手に入れることができます。
それぞれ確認していきましょう。
匿名相談であれば質問事項を後追いされない
税務署へは匿名で相談することができます。
そのため、税務署側は質問事項と個別の情報とを紐づけて管理することは不可能です。
よって、匿名で相談すれば、税務署が個人を特定して質問事項を後から突っ込むというようなことはありません。
無料で相談できる
税務署への相談は無料です。
費用を気にせず、何度でも気軽に相談できるので、まずは自分で確定申告しようと考えている方など、コストをおさえて相談したいときは、税務署の無料相談を利用してみましょう。
基本的な税の知識を得ることができる
税務署に相談すると、税金の制度や法令等の解釈、適用・計算についての質問、手続方法など、国税に関する基本的な知識を得ることができます。
税金の一般的な情報や手続方法を知りたい場合には、税務署の相談窓口が役に立つでしょう。
【まとめ】匿名で質問すれば後から突っ込まれない
税務署へ匿名で相談すれば、税務署側から質問事項を後から突っ込まれることはありません。
しかし、具体的な相談をすることはできないため、税務署の回答だけで判断することはリスクが高く、思わぬトラブルを招くおそれがあります。
税務署への相談は、デメリットとメリットを十分理解して活用しましょう。
具体的な会計処理を相談したいが、税務署では回答をもらえないとお悩みの方は、記帳代行サービスをおすすめします。
記帳代行お助けマンは、経験豊富なスタッフが記帳代行する会計処理の専門家です。
特に、特殊な取引が多く複雑な記帳が必要な業種の方は、ぜひご相談ください。