全国一律の料金で扱われる「レターパック」は、日本郵便の国内発送サービスです。
レターパックを使って郵送するとき、会計業務上の勘定科目はどうなるでしょうか?
- レターパック購入時の勘定科目
- レターパック郵送時の勘定科目
- 会計処理が簡略化できるケース
レターパックの特性上、購入したときには非課税で、郵送するときに課税されていることに気づいた人もいるでしょう。
レターパックの仕訳方法は、段階により勘定科目が変わるため、少々面倒な場合があります。
さらに、レターパックをどこで買うのかによっても、仕訳方法が異なるのも特徴です。
この記事では、レターパックの勘定科目について、ケースごとにわかりやすくご紹介します。
レターパックの勘定科目とは?購入時と郵送時で違います
レターパックは消費税法上の分類としては「郵便切手類等」に該当し、郵便局など一定の場所で譲渡された場合には非課税です。
一方、レターパックを使用するときには課税対象となるため、仕訳は少々ややこしくなります。
「郵便切手類等」については、下記で詳しく解説しています。
結論をお伝えすると、レターパックを郵便局などの一定の場所で購入した場合、勘定科目は会計処理の方法によって違います。
会計処理の方法は、大きく分けて3通りです。
- 条件に当てはまる場合
- 購入時に「資産計上」する場合
- 購入時に「費用計上」する場合
上記それぞれの会計処理の場合、勘定科目は原則下記のようになります。
例えば、5枚をまとめて購入した場合に、一部である3枚を利用した後、未使用分の2枚を利用するときの仕訳の流れに当てはめて紹介します。
① 条件に当てはまる場合
購入時 | 通信費 |
一部郵送時 | 仕訳なし |
決算日 | 仕訳なし |
期首 | 仕訳なし |
未使用分郵送時 | 仕訳なし |
② 購入時に「資産計上」する場合
購入時 | 貯蔵品 |
一部郵送時 | 貯蔵品→通信費 |
決算日 | 仕訳なし |
期首 | 仕訳なし |
未使用分郵送時 | 貯蔵品→通信費 |
③ 購入時に「費用計上」する場合
購入時 | 通信費 |
一部郵送時 | 仕訳なし |
決算日 | 通信費→貯蔵品(未使用分を課税仕入れのマイナス処理) |
期首 | 貯蔵品→通信費 |
未使用分郵送時 | 仕訳なし |
このように比較してみると、明らかに「①条件に当てはまる場合」が一番簡単な仕訳方法であることがわかります。
では、条件とはどんな場合に当てはまるのかをご紹介します。
レターパックの勘定科目や仕訳方法を簡単にする条件とは?
国税庁は、レターパックの仕訳を簡略化できる条件を定めています。
下記に当てはまる場合には、購入時にのみ仕訳をすれば良くなるため、とても簡単になります。
(郵便切手類又は物品切手等の引換給付に係る課税仕入れの時期)
11-3-7 法別表第一第4号イ又はハ《郵便切手類等の非課税》に規定する郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのであるが、郵便切手類又は物品切手等を購入した事業者が、当該購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自ら引換給付を受けるものにつき、継続して当該郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合には、これを認める。
上記を簡単にまとめると、「毎期継続してレターパックを購入する場合には、全額課税仕入れとして扱って良い」という意味になります。
なお、購入するレターパックは自分で使うものであれば、該当する期間に使い切らなくても良いとされています。
つまり、毎期レターパックを購入するという条件をクリアしているなら、購入時に全額を課税仕入れとして計上すれば良いため、それ以外には仕訳をする必要がないということです。
この場合、購入時の勘定科目は「通信費」となります。
例えば、2,600円分(520円×5枚)のレターパックを郵便局など一定の場所で購入したとき、会計処理は下記のようになります。
レターパックを郵便局など一定の場所で購入したときの会計処理
借方 | 貸方 |
通信費 2,600円 | 現金 2,600円 |
購入額2,600円分を、全て課税仕入れとして計上しています。
レターパックの「郵便切手類等」とは?金券ショップで購入した場合
「郵便切手等」は、一定の場所から譲渡されたものだけが非課税の対象になります。
一定の場所とは、下記のような場所が当てはまります。
非課税対象の一定の場所
- 郵便局
- 法務局
- 一定の許可を得たコンビニ
- 一定の許可を得たタバコ屋
つまり、ネットショップや金券ショップでレターパックなどを購入する場合には、課税対象となります。
上記でご紹介した勘定科目や会計処理は、あくまで「一定の場所」でレターパックを購入した場合に該当します。
金券ショップなどの一定の場所に該当しない場所から購入した場合には、仕訳方法は違います。
もしレターパックを金券ショップで購入した場合には、勘定科目は「通信費」です。
例えば、30,000円分のレターパックを金券ショップで購入したら下記のように記載します。
レターパックを金券ショップで購入時の会計処理
借方 | 貸方 |
通信費 30,000円 | 現金 30,000円 |
決算時には未使用分を、借方部分に「貯蔵品」貸方部分に「通信費」と記載することが一般的です。
つまり、期末で未使用のまま残っているレターパックは、貯蔵品に移して資産計上をするということです。
例えば、30,000円分のレターパックのうち10,000円分が残っている場合、決算時の会計処理は下記のようになります。
レターパックの決算時の会計処理
借方 | 貸方 |
貯蔵品 10,000円 | 通信費 10,000円 |
「郵便切手類等」はレターパックの他に何が当てはまる?
「郵便切手類等」は、レターパック以外にも当てはまるものがあります。
例えば、下記のようなものも郵便切手類等に分類されます。
- 収入印紙
- 現金封筒
- 郵便書留
- 登記印紙
- 小包郵便物包装物品
これと似たものに「物品切手等」という分類が存在しますが、税法上の取り扱い方が違うので注意です。
【注意】「物品切手等」とは違う!類似品に注意
「物品切手等」に当てはまる場合、誰がどこで譲渡した場合にも「非課税」の対象となります。
つまり会計処理は、レターパックを金券ショップで購入する場合のようにシンプルにはいきません。
「物品切手等」の例
- 図書券
- 商品券
- QUOカード
- ライブチケット
- ICカード
- 株主優待権
- 電子マネー
- プリペイドカード
- アマゾンギフト券
「これが非課税?」と驚くかもしれませんが、誰がどこで譲渡した場合にも非課税になります。
会計処理をする場合には、複雑になると思っておきましょう。
【まとめ】レターパックの勘定科目は条件によって違う
レターパックの勘定科目や会計処理は、購入場所によって異なります。
郵便局など「一定の場所」に当てはまる場所で購入した場合には、毎期継続してレターパックを購入している倍に限り、全て課税仕入れとして計上可能です。
郵便局など「一定の場所」に当てはまる場所で一時的な購入をした場合には、「資産計上」をするか「費用計上」をするかによって会計処理が異なります。
レターパックに限らず、会計処理は複雑で手間がかかることがほとんどです。
会計処理にお困りの方は、記帳代行サービスを検討されるのも良いでしょう。