香典を経費で落とす際の仕訳方法とは?

香典を経費計上できるか判断するポイントは?

今回は、こちらの疑問にお答えしていきます。

従業員や取引先の関係者の葬儀で渡した香典は経費に落とせます。香典の経費計上で使う勘定科目は決まっているため、どの勘定科目を使うか悩む必要はありません。

また香典の仕訳について注意点を押さえることも大切です。誤った会計処理をしてしまうと、香典が経費として認められない恐れがあります。

香典の仕訳について、個人事業主や法人経営者、経理担当者の方に向けて詳しく解説します。

香典の仕訳方法

香典を渡す相手や性質は、大きく3つのパターンに分けられます。

それぞれの勘定科目は以下のとおりです。

  1. 香典を渡す相手が取引先の関係者:接待交際費
  2. 香典を渡す相手が社員・従業員やその家族:福利厚生費
  3. 個人事業主が取引先へ渡す香典:接待交際費
メモ

原則として、外部関係者への香典は接待交際費、内部関係者への香典は福利厚生費として計上します。

個人事業主の場合も、ビジネス上の関係者に対する香典は接待交際費として経費計上が可能です。

≫ 取引先の関係者の葬儀に際して香典を3万円渡した場合の仕訳例は以下のとおりです。

借方貸方
接待交際費 30,000現金30,000

香典の仕訳で注意したいポイント

香典の仕訳で用いる勘定科目は限られており、一見すると単純な会計処理に感じるかもしれません。

しかし香典の経費計上で否認を防ぐために押さえておきたいポイントが存在します。誤った処理や対応の不足がある場合、香典が経費として認められない恐れが大きいです。

香典の仕訳で注意したいポイントを3つ紹介します。

point1.香典を渡した事実を証明できるものを保管する

香典には領収書がないため、単に渡すだけでは支出の事実や内容を示す証拠が存在しません。

ビジネスの関係者に香典を渡す場合、香典を渡した事実を証明できる書類を別途用意し保管する必要があります。

証拠書類の具体例を紹介します。

  • 葬儀の案内状
  • 会葬礼状:葬儀への出席に際して渡される挨拶状です
  • 香典袋のコピー:案内状や会葬礼状がもらえない場合に備えて、香典袋の両面をコピーしておくと安心です
  • 香典返しの挨拶状:香典返しの挨拶状も、香典を渡した事実の証明として有効です
  • 出金伝票:香典を渡した日時・金額・相手先や関係性などを記載します。これまでに挙げた書類とあわせてメモとして出金伝票を残しておくと、証拠書類として効果的です

point2.社会通念上妥当な金額にする

ビジネス関係者への香典は経費にできるとはいえ、高額すぎる場合は税務調査で指摘される恐れがあります。

高額な香典は経費として認められない可能性もあるため、社会通念上妥当な金額にするのが確実です。

≫ 香典の相場を紹介します。

亡くなった方の役職・関係性相場
取引先の創業者・会長・社長3万円~10万円
副社長および役員1万円~10万円
社長の家族や親戚1万円~5万円
取引先の担当者5,000円~3万円
自身が雇用している従業員や社員の家族・親族3万円程度

相手を問わず大まかな相場は3万円程度であり、10万円が上限といえるでしょう。

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point3.消費税の扱いに注意

消費税の課税事業者の場合、消費税の取り扱いにも注意が必要です。

香典には消費税がかかりません。会計ソフトでの入力時、接待交際費を選択すると自動で課税取引になるケースが多いでしょう。

香典について仕訳登録をする際は、税区分を非課税または対象外に手動で修正する必要があります。

【まとめ】香典の仕訳についてポイントを押さえて正しい会計処理をしよう

ビジネス関係者に渡す香典は経費として計上が可能です。

仕訳登録の際に用いる勘定科目は接待交際費または福利厚生費で、渡す相手によって使い分けをする必要があります。

ポイント

香典の仕訳で注意したいポイントとして、証拠書類の保管・金額・消費税の扱いの3点が挙げられます。

経費として確実に認められるよう、正しい処理や対応が必要です。

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