事業をおこなっていると、車や機械などさまざまな固定資産を使います。
これらの資産は、経理担当者が固定資産台帳などの帳簿に記録して管理するのが一般的です。
しかし、固定資産にともなう経理作業は、お金が動く購入時や売却時の記帳作業だけではありません。
使っていない資産があったり、資産を廃棄したりしても、除却処理が必要です。
この記事では、固定資産の除却を忘れるとどうなるかを具体的に解説します。
除却忘れを防ぐ方法も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
固定資産を除却しないとどうなる?
固定資産の除却とは、使わなくなった固定資産を帳簿上なくす作業のことです。
固定資産は取得してから耐用年数にしたがって減価償却をおこないます。
その後、耐用年数が過ぎると資産価値はなくなりますが、残存価額で帳簿上に残り続けます。
よって、固定資産を使わなくなったときは、帳簿から削除しなければなりません。
しかし、除却するのを忘れてしまうと、さまざまなリスクが発生するおそれがあります。
次に、除却しないとどうなるかを詳しく解説します。
なお、除却は帳簿上の処理をさしますが、廃棄は物理的に資産を捨てること、売却は売って現金化することという意味で使われるので、違いを知っておきましょう。
余分な税金がかかる
固定資産を保有すると、税金がかかる場合があります。
たとえば、建物や土地には固定資産税、自動車には自動車税、機械など一定の資産には償却資産税がかかります。
特に除却忘れをしやすいのが、償却資産税の対象になる固定資産です。
償却資産税は固定資産台帳などの帳簿に記載されている資産から計算されます。
よって、使っていない資産を除却処理せずにそのまま帳簿に残していると、余分な税金を払うことになってしまいます。
固定資産を正確に管理できなくなる
固定資産は、固定資産台帳などの帳簿で増減を管理します。
そのため、実際に使っている固定資産と帳簿上の固定資産は必ず一致させなければなりません。
しかし、除却処理を忘れると、実際の固定資産と帳簿が合わなくなることがあります。
たとえば、使っていない固定資産を廃棄したときに除却処理を忘れると、実際には固定資産は存在しないのに、帳簿には残っているという不一致が生じてしまいます。
このように、除却を忘れると帳簿で管理できるはずの固定資産が実際とは異なる状態となり、正確に管理できなくなるのです。
税務調査が厳しくなるおそれがある
税務調査中に固定資産の除却忘れが発覚すると、調査が厳しくなるおそれがあります。
固定資産の除却は、固定資産除却損という勘定科目を使って損失を計上する処理です。
つまり、正しい時期に除却処理をおこなえば節税効果が期待できます。
しかし、税務調査で除却忘れが発覚すると、調査官は管理のずさんさから、過去にも税金を減らすためにわざと除却を利用したことがあるのではないかと、厳しい目で調査をする場合があります。
また、固定資産の管理不十分が、他の取引の信頼度にも影響するので注意しなければなりません。
除却忘れを防ぐ3つの対策法
次に、除却を忘れないための3つの方法を紹介します。
しっかりと対策をしてリスクを防ぎましょう。
固定資産の増減を正しく記帳する
固定資産が実際に増減したときには、帳簿に正しく記録しましょう。
記帳ミスは帳簿が実際とズレてしまう原因の1つです。
よって、記帳ミスをなくせば正しい固定資産台帳がいつでも手元にあるので、資産を正確に管理することができます。
たとえば、税務調査で資産について聞かれても、正しい帳簿ですぐに回答できるので対応に困りません。
決算前に固定資産台帳を見直す
決算前には、ぜひ固定資産台帳を見直してみてください。
除却忘れの固定資産を見つける最後のチャンスです。
また、固定資産の除却はお金を使わずにできる節税対策なので、余分な税金を払わなくて済むように、決算前には使っていない固定資産を整理しましょう。
有姿除却を検討する
有姿除却とは、固定資産のうち今後事業において一切使用されないのであれば、廃棄していなくても除却処理できる制度です。
使っていないが廃棄できず放置されている固定資産があれば、有姿除却を検討してみましょう。
ただし、使用される可能性がないことを証明できなければなりません。
自由なタイミングで一時的に使っていないような資産を有姿除却できてしまうと、故意に税金を減らす脱税がおこなわれてしまうからです。
有姿除却は税務調査でも必ずチェックされる項目なので、根拠資料を準備してから除却処理をしてください。
【まとめ】除却忘れは管理方法を見直して解決
固定資産の除却忘れがあると、余分な税金がかかったり、税務調査で指摘されたり、さまざまなリスクがあります。
日々の除却忘れ対策には、正しく記帳することが有効です。
正確な帳簿で固定資産を管理して、除却忘れを防ぎましょう。
しかし、固定資産の記帳は特殊な処理が多いため、専門知識が必要です。
記帳に自信がないとお困りの方は、記帳代行サービスを活用してみましょう。
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