個人事業主の場合、自宅兼オフィスとして仕事をしている人も多いでしょう。その際に問題になるのが「水道光熱費」の経費処理です。

オフィスと自宅が別々なのであれば、オフィスでかかったものはすべて経費として損金算入できます。

しかし兼用で使っている場合には按分比率を決めて仕訳する必要があるのです。

この記事では水道光熱費の中でも、「電気代」に焦点をあてて解説していきます。

個人事業主の電気代は経費になる?

個人事業主の中には、事務所とオフィスを兼用で使用している人もいますよね。

その場合かかった電気代をすべて経費にはできず、「事業で使った分」と「プライベートで使った分」でわけて考える必要があります。

支出を分ける処理を家事按分といい、按分比率にもとづいて計算します。

ポイント

なお按分比率は多くの場合床面積に基づいて計算されるケースが多いですが、明確な決まりはないので根拠を提示できるのであれば「時間」や「電源の数」などで計算しても問題ありません。

電気代の按分比率例

電気代の按分比率は、床面積や作業時間によって計算されるのが一般的です。

按分比率例

例えば自宅兼オフィスで1日に約14時間電気を使ったとして、そのうち7時間を事業のためにつかった場合は、按分比率は50%になります。

按分計算された電気代のうち、事業で使った分は経費として処理が可能なので、仕訳方法についてみていきましょう。

電気代の仕訳方法

按分比率で計算された電気代は、「水道光熱費」の勘定科目で仕訳します。なお電気代は、事業用またはプライベート用から一括で支払うことがほとんどです。

ゆえに仕訳のときは「事業主勘定」の科目を用いて仕訳が必要です。

<例>電気代15,000円のうち50%を事業で利用した(事業用口座から引き落とし)

借方貸方
水道光熱費  7,500
事業主貸   7,500
普通預金  15,000

事業用の口座から支払った場合は、普通預金の残高を合わせるために支払った額を明記する必要があります。

したがって事業用の口座から支払ったときは「水道光熱費」と「事業主貸」の両方を使って仕訳します。

<例>電気代15,000円のうち50%を事業で利用した(プライベート用口座から支払い)

借方貸方
水道光熱費  7,500 事業主借  7,500

プライベート用の口座から電気代を支払ったときは、帳簿に残高を記載する必要がないので経費になる金額だけで仕訳をします。

引き落とした口座によって「事業主勘定」が異なりますが、詳しくは「個人事業主の預金引き出しの仕訳のやり方|使う勘定科目は?」の記事を参考にしてみてくださいね。

電気代以外の水道光熱費

電気代以外にも、自宅兼オフィスにしている場合は按分比率によって経費になるかどうか変わってきます。

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ガス代

ガス代は電気代と違い事業用に使う用途は少ないでしょう。しかし季節によっては暖房やストーブなどの暖房機器のために使うので、冬季だけ按分比率で経費処理するという方法があります。

主に暖房を使う11月〜3月くらいまで決めて、比率を設定しましょう。

<例>12月のガス代の請求が9,000円だった(冬期間のみガス代を50%経費と処理する)

借方貸方
水道光熱費 4,500普通預金 9,000
事業主貸  4,500
事業用の口座から支払った場合
借方貸方
水道光熱費 4,500事業主借 4,500
プライベート用の口座から支払った

水道代

個人事業主で自宅兼オフィスの場合は、はっきりと事業用に使っているとわかるものは少ないので、按分比率が少なめになります。

ただし飲食に関する事業は例外です。

<例>12月の水道代を5,000円支払った(水道代の按分比率は10%)

借方貸方
水道光熱費 500
事業主貸  4,500
普通預金 5,000
事業用の口座から支払った場合
借方貸方
水道光熱費 500事業主借 500
プライベート用の口座から支払った

個人事業主の電気代は按分比率を決める

個人事業主が自宅兼オフィスとしている場合、水道光熱費は仕事とプライベートで利用しているので、按分比率によって分ける必要があります。

按分比率の基準は床面積で決めるのが一般的ですが、電源の数や時間、冬季だけの期間限定など根拠が明確であれば、決まりはありません。

ただし毎回異なった按分比率で計算してしまっては、税務署などから不信感を抱かれてしまうので、一度決めた比率は事務所移転や従業員を雇ったなど特別な理由がない限り変更しないようにしましょう。

このように仕訳業務は覚えることが多く、日々の業務を圧迫しがちです。

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