損益計算書と貸借対照表は、決算で作成を求められる重要な書類です。

これらは企業の状態を正しく把握するためにも、正確な知識を持って作成することが求められます。

そこでこの記事では、損益計算書と貸借対照表について解説。

記事の後半ではそれぞれの見方についても説明していますので、参考にしてみてくださいませ。

損益計算書と貸借対照表はなにが違うのか

決算時期に必ず作成する「損益計算書」「貸借対照表」

聞いたことがあったり、実際にみたことがあっても、2つの違いや関係性を明確に説明できるという人は少ないのではないでしょうか。

ここでは2つの財務諸表について、解説していきます。

費用や収益の状況を判断するなら損益計算書

損益計算書は自社にどれくらいの収益があり、その収益をあげるためにはどのくらいの費用がかかり、そして差し引き利益はどの程度なのかを確認できる表です。

損益計算書の作成は企業の事業年度に合わせて、一定期間の成績が反映。

たとえば事業年度が4月から翌年の3月までの企業であれば、その期間の収益や費用をもとに作成されます。

特定時点での経営成績を把握するなら貸借対照表

貸借対照表は、一定時期に保有している資産や負債のリストです。

日々の仕訳や四半期・仮決算での仕訳を積み重ねて、決算時点でどれだけの資産や負債をもっているかと明確にすることで、財務状態や企業の安全性の確認にも繋がります。

損益計算書と貸借対照表の関係

法人は事業規模にかかわらずに決算書を作成する義務があり、その中でも損益計算書と貸借対照表は重要な書類となっています。

一定期間の企業の成績を確認できる損益計算書と、一定時期の資産や負債のリストである貸借対照表は、一見まったく別の書類に見えるという人も少なくないでしょう。

しかし2つの書類は、貸借対照表の「利益余剰金」と、損益計算書の「当期純利益」で繋がっています。

損益計算書で計算された1年度の当期純利益は、一定の割合で株主に分配。

そして残った利益が「当期未処分利益」として蓄積され、それが貸借対照表の「利益余剰金」となるのです。

そして一定期間の業績を示す「損益計算書」に対して、貸借対照表は「特定の時期」の財務状況を示唆。

企業の収益や費用は日々変化しますが、収益があがれば普通預金や約束手形などの資産が増加、そして支払いのために借入が増えれば負債が増えるなど、貸借対照表も合わせて変動するため、2つの書類は密な関係にあるといえるでしょう。

損益計算書と貸借対照表の見方

2つの違いや関係性を知ったところで、次はそれぞれの見方を解説していきます。

損益計算書の構成

損益計算書はおおまかに、「収益」「費用」「利益」の3つから構成されており、収益から費用を差し引いて利益を計算します。

損益計算書からわかる利益は全部で5つ。

売上総利益:売上高から売上原価を差し引いた利益
営業利益:売上総利益から販売費と一般管理費を差し引いた、本業で稼いだ利益
経常利益:本業と本業以外での活動で得た利益
税引前当期純利益:経常利益と特別損益(臨時で発生する利益や損失)を加味した利益
当期純利益:一定期間に発生した純粋な利益

損益計算書から上記のようにさまざまな利益が明確になることで、会社の状態が把握できます。

たとえば当期純利益がプラスであっても、経常利益がマイナスであった場合、本業が赤字で本業以外の収入がなければ事業が成り立たない状態ということです。

このように当期純利益以外の利益の状態を知ることで、事業計画や財務状況の見直しに役立ちます。

貸借対照表の構成

貸借対照表は左右2つに分かれており、右が「負債と純資産」、そして左が「資産」で構成されています。

資産の部では、特定の時期に保有している資産が記載されており、負債の部では左側の資産をどのようにして調達したのかを記載。

さらに負債の部は、借入金などの将来返済義務がある他人資本と、出資による資本金などの自己資本の2つに分かれています。

「資産=負債+純資産」と左右同額の数値になっており、資産と負債が均衡状態を保っていることからB/S(balance sheet)とも呼ばれている。

損益計算書と貸借対照表について知ろう

法人は事業規模に関わらず、決算書を作成する義務があります。

そして決算書の中でも重要なのが「損益計算書」「貸借対照表」の2つ。

これらは一定期間の企業の成績を知ったり、特定時期の財務状態を把握したりと、さまざまな場面で活用されます。

しかし損益計算書や貸借対照表を正しく分析するには、日々の記帳業務がとても大切。

しかし仕訳業務は勘定科目も多く、明確なルールがないため難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。

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