エアコンを購入したら本体代のほかに取り付け工事費も支払ったけど、勘定科目は何になる?
エアコンの入れ替えで古いエアコンを撤去した工事費は、どのように仕訳すればいいの?

今回は、こちらの疑問にお答えします。

エアコンは本体だけ購入すればいいという訳ではなく、取り付けの工事費が発生しますよね。

入れ替えの場合は、古いエアコンの撤去費用も支払う必要があります。

このように、エアコンの購入や入れ替えをした際の仕訳を見ていきましょう。

個人事業主や法人の経理担当者の方は必見です。

エアコンの本体と工事費の勘定科目は?

エアコンを購入した際に使用する勘定科目は、取得価格によって消耗品費、一括償却資産、備品にわかれます。

消耗品費は経費、一括償却資産・備品は資産の勘定科目です。

それぞれの勘定科目を判断する取得価格は、以下のとおりです。

  • 10万円未満
  • 10万円以上20万円未満
  • 20万円以上

エアコンの取得価格には、取り付け工事費も含めて計算します。

メモ

エアコン取り付け工事費のような購入にかかる費用を付随費用といい、ほかに運搬費や購入手数料などがあります。

取り付け工事費のほかにも付随費用がかかる場合は、すべてを合算して取得価格としてください。

また、取得価格は、税込経理を行っている場合は税込みの金額を、税抜経理を行っている場合は税抜きの金額を使用します。

エアコンを2台まとめて購入した場合、1台あたりの金額を取得価格として問題ありません。

エアコン1台ずつで計上した方が、取得価格が小さくなり、全額を当期の経費に計上できる可能性が高くなります。

その際、取り付け工事費はそれぞれのエアコン本体代で按分してください。

例えば、8万円のエアコンと7万円のエアコンを購入し、3万円の取り付け工事費がかかった場合、工事費を按分する計算方法は以下のとおりです。

8万円のエアコンに対する工事費30,000×80,000/(80,000+70,000)=16,000円
7万円のエアコンに対する工事費30,000×70,000/(80,000+70,000)=14,000円

取得価格10万円未満の場合

エアコンの取得価格が10万円未満の場合、消耗品費の勘定科目で処理し、全額を経費計上します。

▶ 7万円のエアコンを購入した場合の具体的な仕訳は以下の通りです。

借方貸方
消耗品費 70,000現金 70,000

取得価格10万円以上20万円未満の場合

エアコンの取得価格が10万円以上20万円未満の場合、一括償却資産の勘定科目を使用します。

一括償却資産

一括償却資産とは、通常の減価償却を行わず、3年間の均等償却を行う資産のことです。

一括償却資産を使用する場合、事業年度の途中でエアコンを取得しても、減価償却を月数で按分することはありません。

▶ 18万円のエアコンを購入した場合の具体的な仕訳は以下の通りです。

購入時

借方貸方
一括償却資産 180,000現金 180,000

決算時

借方貸方
減価償却費 60,000一括償却資産 60,000

(以後2年間、決算時に同じ減価償却の仕訳を行います。)

取得価格20万円以上30万円未満の場合

エアコンの取得価格が20万円以上の場合、備品の勘定科目で処理し、資産計上を行います。

ポイント

ここで、青色申告を行っている個人事業主または資本金1億円以下の中小企業法人であれば、取得価格30万円未満で少額減価償却資産の特例を適用できます。

少額減価償却資産の特例が適用できれば、一括で経費計上することが可能です。

ただし、少額減価償却資産として経費計上できるのは、1年間で300万円が限度です。

そして、少額減価償却資産は、令和6年3月31日までの間に取得したものが対象とされています。(2023年3月現在)

参照:国税庁

▶ 25万円のエアコンを購入した場合の具体的な仕訳は以下の通りです。

借方貸方
備品    250,000
減価償却費 250,000
現金   250,000
備品   250,000

少額減価償却資産の特例は、取得価格20万円未満のものにも適用できます。

ですので、10万円以上20万円未満のものを一括償却資産として処理するか、少額減価償却資産として処理するか、有利な方を選択しましょう。

大企業や青色申告を行っていない個人事業主・中小企業法人は、少額減価償却資産の特例を使うことができません。

エアコンを備品として資産計上した後は、通常の減価償却を行いましょう。

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取得価格30万円以上の場合

エアコンの取得価格が30万円以上になると、備品として資産計上し、通常の減価償却を行います。

エアコンの法定耐用年数である6年で償却をしましょう。

▶ 32万円エアコンを購入し、普通預金から支払った場合の具体的な仕訳は以下の通りです。

購入時

借方貸方
備品 320,000普通預金 320,000

決算時

借方貸方
減価償却費 ×××      (53,440)備品 ×××   (53,440)

※定額法を使用するか定率法を使用するかで、減価償却費が変わってきます。

()内は定額法の償却率を使用して計算しています。

エアコン撤去の工事費の勘定科目は?

エアコンを入れ替える場合、古いエアコンを撤去する費用は「雑費」の勘定科目を使用します。

撤去費用は古いエアコンに対してのものであるため、新しいエアコンの付随費用には含まれません。

古いエアコンの撤去費用4万円を現金で支払った場合の具体的な仕訳は以下のとおりです。

借方貸方
雑費 40,000現金 40,000

【まとめ】エアコンの本体と工事費を正しい勘定科目で仕訳しよう

エアコンを購入したときに使用する勘定科目は、取得価格によって変わり、勘定科目と処理方法は以下の通りです。

取得価格には、取り付け工事費などの付随費用も含めて計算してください。

取得価格10万円未満10万円以上20万円未満20万円以上30万円未満30万円未満
勘定科目消耗品費一括償却資産備品備品
処理方法全額経費3年で均等償却少額減価償却資産として一括償却4年で減価償却
条件なしなし青色申告を行う個人事業主・中小企業法人なし

古いエアコンを撤去する費用は、雑費の勘定科目を使用します。

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エアコンを購入したときの、複雑な勘定科目の判断が必要なくなりますよ。