借入がある場合、必ず利息が発生します。
しかし利息は借入の期間に応じて複数年度にわたって支払う費用であるため、決算時には当期の費用と繰越す費用に分ける仕訳が必要です。
この記事では、当期分の利息計上から未払利息の処理までを解説していきます。
未払利息とは?
未払利息とは、借入している金額に対してかかる利息のうち、決算のタイミングでまだ支払いが完了していないぶんの利息のことです。
利息は、借入をした際に金利によって支払うべき金額が決まり、月々または一括で支払います。
たとえば100万円を借入期間1年、金利6%で借り入れた場合、元本のほかに6万円の支払い義務があるということです。
未払利息は、いずれ必ず支払わないといけないお金という特徴から、負債の「未払費用」の勘定科目で処理します。
未払利息はなぜ計上する?
わざわざ未払利息で負債計上しなくても、支払うときに費用計上すればいいのではないか?
と疑問に思う人もいるでしょう。
たとえば200万円を1年、年利が3%の契約をして、実際に200万円が通帳に入金されると、借入した人は元本(200万円)と金利(6万)を支払う義務が発生。
そして利息を元本と一緒に返済、もしくは借入後一定期間を過ぎてから支払う場合、「金利の支払いは後回しにして、借入金のサービスを受けている状態」ということです。
それでは本来当期にかかるべき費用が正しく把握できないうえに、会計上では「義務」が発生した段階で、適切な勘定科目を使って記帳する必要があります。
そのため当期の費用は「支払利息」、未払利息については「未払費用」の勘定科目を用いて、費用と負債を明確にして決算を迎える必要があるのです。
未払利息の仕訳の考えた
未払利息の仕訳は主に、次の3つの処理が発生します。
- 当期分を費用として計上
- 翌期の期首で振替
- 支払い時に費用として再度計上する
それぞれのパターンを、次の例を参考にみていきましょう。
会計期間は4月1~翌年の3月31日 借入金200万円(借入期間1年) 年利3% 今期 8月1日に借入、翌年の7月31日に返済 支払利息 1年で6万円 支払利息は元本返済時にまとめて一括で支払う |
当期分は月割りで費用計上
決算時には、借入から決算までの間の期間分の利息を費用計上します。
期中で借り入れた場合は月割りで計算するのを忘れないようにしましょう。
支払利息の計算方法:60,000円/1円÷12ヶ月=5,000円/月
8月~3月=8ヶ月
5,000円×8ヶ月=40,000円
上記で計算した4万円を、今期の費用として計上します。
借方 | 貸方 |
---|---|
支払利息 40,000 | 未払費用 40,000 |
支払利息は元本とまとめて支払いなので、この段階では現金や預金で支払っていませんが、将来的に支払う義務があるため、相手科目は負債の「未払費用」で計上します。
翌期の期首で振替
利息は元本返済時に全額支払う予定なので、決算で費用計上した支払利息と未払費用は、期首に逆仕訳して、それぞれの残高を元に戻しておきましょう。
借方 | 貸方 |
---|---|
未払費用 40,000 | 支払利息 40,000 |
この仕訳をしないと、実際に利息を「支払利息」の勘定科目で支払うときに、残高が合わなくなってしまうので、忘れずにおこないましょう。
支払い時は全額「支払利息」で計上する
元本返済時に、一括で利息を支払うときに全額を「支払利息」の勘定科目で仕訳します。
この場合は、元本200万円と利息6万円です。
借方 | 貸方 |
---|---|
借入金 2,000,000 支払利息 60,000 | 現金 2,060,000 |
期首に前期の逆仕訳をしているので、会計上では今期の費用は、6万円から4万円を差し引いた2万となります。
未払利息は負債として計上する
未払利息は、必ず払わなくてはいけない義務があるお金という特徴から、負債である「未払費用」の勘定科目で処理します。
なお勘定科目は法律で明確なルールが決められていないため、ほかの未払費用と区別するためにも「未払利息」という独立した勘定科目を作って仕訳しても問題ありません。
未払費用の仕訳の流れはほかの費用の発生と違い、少し難しいと感じる経理担当者もいるのではないでしょうか。
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