企業で経理を担当すると、一度は「諸口」という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。

勘定科目のようにみえるけど、どんな取引の時に使うのかな?
よく見かけるから、みんな知っているのかもしれなくて聞きにくいな…

上記のように「諸口」を目にする機会があるけど、詳しくはわからないという方に向けて、この記事では詳しく解説していきます。

諸口とは?

「諸口」は簿記で使われる用語ですが、仕訳のときに使うような勘定科目ではありません。

簿記の仕訳では、借方(右側)と貸方(左側)にそれぞれ勘定科目を記載しますが、どちらも必ず1行になるとは限らず、2行3行となるケースもあるでしょう。

たとえば次のような仕訳です。

借方貸方
通信費  1,000
租税公課 1,000
現金 2,000  

仕訳帳の中では上記の記載で問題ありませんが、総勘定元帳に転記する場合、すべての仕訳を記載していては膨大になってしまい、あとから見づらくなってしまいます。

そんなときに使われるのが「諸口」。

諸口とは総勘定元帳に仕訳を転記するときに、複数の取引があることを伝えるための表現です。

複数の取引を完結にまとめることで、総勘定元帳がすっきりと見やすくなるというメリットがあります。

諸口の使い方

「諸口」の使い方は、複数の勘定科目が関与する仕訳を行う際に、以下のように記載します。

例えば「商品の販売により、現金1,000円、売掛金2,000円、そして商品売上3,000円が発生」した場合、通常は次のように記載。

借方貸方
現金  1,000円
売掛金 2,000円 
商品売上 3,000円

しかし「諸口」を使うと、以下のように簡潔に記載が可能。

借方貸方
諸口 3,000円     商品売上 3,000円(補助明細 借方:現金 1,000円・売掛金 2,000円)

このような表記で総勘定元帳に書かれていた場合は、相手科目は複数ある、ということになるので覚えておきましょう。

諸口を使うときの注意点

「諸口」を使う際には、以下の点に注意が必要です。

まずは詳細な補助明細を必ず記載すること。

「諸口」の仕訳は簡潔ですが、どの勘定科目が具体的に関与しているのかを明確にするため、補助明細を正確に記載する必要があります。

そして複数の勘定科目が関与するため、それぞれの金額を正確に把握して記載することが重要です。

複数の勘定科目の合計額を「諸口」に記載するので、ここで合計金額を誤ってしまうと、全体の仕訳が誤ったものになってしまいます。

もし諸口を使わずに、総勘定元帳に転記する仕訳を1行にしたい場合には、仕訳の段階で工夫しましょう。

借方貸方
現金  1,000円
売掛金 2,000円 
商品売上 3,000円

通常は上記のように書かれる仕訳でも、次のように記載方法を変えることもできます。

借方貸方
現金  1,000円
売掛金 2,000円  
商品売上 1,000円
商品売上 2,000円

上記のような記載方法で仕訳を行えば、商品売上の反対科目は現金で支払ってもらったのか、売掛金になっているのか明確になります。

諸口は勘定科目ではない

諸口は、複数ある仕訳を完結にまとめる時に利用される表現です。

借方貸方
諸口 3,000円  商品売上 3,000円

上記のような表現が記載されていれば、売上の相手科目は複数あるということになります。

ただし完結になるものの、どんな取引があるのかは分からなくなってしまうので、まとめた取引内容を確認できるようになっていることが大切です。

このように仕訳業務は豊富な知識が必要になるので、苦手意識が強い人もいます。

苦手で時間がかかる業務に手間暇をかけるよりも、この機会にアウトソーシングを検討してみてはいかがでしょう。

記帳のプロ記帳代行お助けマンでの相談は無料なので、この機会にぜひ検討してみてくださいませ。