はじめに

会社を設立するとき、不動産を取得するとき、商号や本店所在地を変更するとき――。
ビジネスを営む中で「登録免許税」を支払う場面は意外と多く訪れます。
しかし経理処理においては、

「登録免許税は経費で落とせるの?」
「勘定科目は租税公課でいい?」
「資産に含めるケースもあるって本当?」
と疑問に思う経営者・経理担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、登録免許税の性質から、目的別の勘定科目の選び方、仕訳方法、さらに税務上の注意点までを詳しく解説します。
登録免許税とは?

登録免許税とは、登記や登録の際に国に納める税金のことです。
具体的には、以下のようなケースで発生します。
・法人設立時の設立登記
・不動産の取得・移転登記
・商号・目的変更、本店移転などの登記
・資本金増資時の登記
・商標・特許などの知的財産権の登録
つまり、「登記や登録をするために必ず必要となる費用」と言えます。
登録免許税の勘定科目は?

原則として、登録免許税は 「租税公課」 の勘定科目で処理します。
租税公課とは、法人税・所得税などの直接税を除く、事業活動に必要な税金や公的費用をまとめる科目です。
ただし、不動産取得や会社設立など「資産に関連する登録」は、租税公課ではなく資産に含めるケースがあります。
登録免許税の仕訳方法(ケース別)

① 法人設立登記の登録免許税
株式会社設立時には、最低でも 15万円 の登録免許税が必要です。
これは会社を設立するための費用であり、創立費として処理します。
勘定科目:創立費(繰延資産)
創立費は、原則として繰延資産に計上し、償却によって費用化していきます。
ただし税務上は任意償却(支払った年に全額経費化してもよい)とされています。
仕訳例(株式会社設立時、登録免許税15万円を現金で支払った場合)
借方 創立費 150,000円
貸方 現金 150,000円
② 資本金増資の登録免許税
増資登記の際にも登録免許税がかかります。
この場合も「資本取引」に関連する支出のため、資本準備金や資本に関連する費用とみなされます。
勘定科目:資本準備金や繰延資産(増資費用)
仕訳例(増資に伴う登録免許税5万円を銀行振込)
借方 増資費用 50,000円
貸方 普通預金 50,000円
③ 不動産登記(取得・移転)の登録免許税
不動産を購入・取得した際の登記にかかる登録免許税は、その不動産を取得するために必要な付随費用とされます。
したがって、不動産の取得価額に含めて資産計上します。
勘定科目:建物/土地など(不動産取得価額に含める)
仕訳例(建物を購入し、登録免許税20万円を納付)
借方 建物 200,000円
貸方 現金 200,000円
④ 商号変更・本店移転などの登録免許税
会社運営中に発生する商号変更や本店移転の登記にかかる登録免許税は、日常的な法人活動に伴う支出と考えられます。
そのため、経費として「租税公課」で処理できます。
勘定科目:租税公課
仕訳例(本店移転登記の登録免許税6万円を支払った)
借方 租税公課 60,000円
貸方 現金 60,000円
⑤ 商標・特許など知的財産権の登録免許税
商標や特許を取得した場合、その登録免許税は無形固定資産(特許権・商標権)の取得原価に含めます。
勘定科目:特許権・商標権(無形固定資産)
仕訳例(商標登録免許税3万円を銀行振込で支払った)
借方 商標権 30,000円
貸方 普通預金 30,000円
登録免許税を経費計上できるケースとできないケース

登録免許税は「資産を取得するためにかかるもの」か「事業運営上の手続きでかかるもの」かで処理が分かれます。
経費計上できるケース
→ 商号変更、本店移転、役員変更など事業運営上の登記 → 租税公課
資産計上が必要なケース
→ 不動産取得、商標・特許登録 → 資産(建物・土地・商標権など)に含める
→ 法人設立、増資 → 繰延資産(創立費・増資費用)
税務上の注意点

- 資産関連は必ず取得価額に含める
不動産や知的財産権の登録免許税を「租税公課」で処理してしまうと、税務調査で修正を求められる可能性があります。 - 設立・増資時は繰延資産処理
設立費用や増資費用は、繰延資産として処理し、税務上は任意償却(支払った年に一括費用化)できます。 - 事業関連は経費(租税公課)でOK
商号変更や役員変更など、事業運営上の登記は租税公課として経費計上して問題ありません。
まとめ:登録免許税は「資産か経費か」を見極めることが重要

・登録免許税は原則「租税公課」だが、資産取得・法人設立・増資時には資産に含める必要がある
・不動産取得 → 土地・建物に含める
・商標・特許登録 → 商標権・特許権に含める
・法人設立・増資 → 繰延資産(創立費・増資費用)
・商号変更・役員変更など → 租税公課として経費処理
ポイントは、「その登録が資産形成に直結するのか、それとも事業運営上の必要経費なのか」を明確にすることです。
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