はじめに

ネットショップ運営や法人営業、資料発送など、事業を行ううえで欠かせないのが「宅配便」。
しかし、気づかないうちに毎月の送料が膨らんでいる…という方も多いのではないでしょうか。
実は宅配便コストは、単なる「経費」ではなく、勘定科目の選び方や仕訳方法を見直すだけで、節税とコスト削減の両方につながる重要な項目です。
本記事では、宅配便費用の正しい経理処理から、コスト削減の具体的なステップまでを詳しく解説します。
宅配便費用はどんな勘定科目で処理する?

基本は「荷造運賃」
宅配便やゆうパック、佐川急便、ヤマト運輸、日本郵便などを使って商品や資料を発送した場合、
最も一般的な勘定科目は 「荷造運賃」 です。
荷造運賃とは、商品や資料などを発送するための梱包・配送にかかった費用をまとめる科目です。
小売業・ネット販売業など、発送が日常的に発生する業種では最も多用されます。
- ネットショップの発送費用(eBay・Amazon・BASEなど)
- 顧客へのカタログ・サンプル発送
- 商品返品の送料負担
- 修理品の往復送料
社内用途なら「通信費」も選択肢
宅配便が社内間や関係者間での資料送付、契約書の郵送など販売活動以外の目的で使われる場合は、
「通信費」として処理するのが一般的です。
- 取引先への契約書・請求書郵送
- 顧問税理士・社労士への書類発送
- 支社・事務所間の書類送付
どちらを使うか迷ったら、「販売に関係するか」「社内業務か」で判断しましょう。
その他のケース別勘定科目
| 使用目的 | 適切な勘定科目 | 補足 |
|---|---|---|
| 商品発送に伴う送料 | 荷造運賃 | 主に販売業務 |
| 顧客への返品送料(負担分) | 荷造運賃または販売費 | 営業活動関連 |
| 書類・契約書などの郵送 | 通信費 | 事務処理目的 |
| 試供品・DM発送 | 広告宣伝費 | 販促目的の場合 |
| サンプルや贈答品の発送 | 交際費 | 接待・贈答活動 |
| 社員への備品配送(在宅勤務対応など) | 旅費交通費 or 雑費 | 内部運用目的 |
宅配便の仕訳例

① 商品発送(ヤマト運輸に1,000円支払った)
借方:荷造運賃 1,000円
貸方:現金(または普通預金) 1,000円
② 取引先へ契約書を送付(郵便代500円)
借方:通信費 500円
貸方:現金 500円
③ 顧客へのDM(販促資料)を一斉発送
借方:広告宣伝費 3,000円
貸方:普通預金 3,000円
④ 顧客から返品された商品を再発送
借方:荷造運賃 1,500円
貸方:現金 1,500円
発送理由によって勘定科目が変わるため、社内で統一ルールを作ることが重要です。
消費税の処理はどうなる?

宅配便の送料は、基本的に課税仕入(10%)として処理します。
ただし、郵便切手代(郵便料金)だけは非課税となるため注意が必要です。
| サービス | 消費税区分 | 注意点 |
|---|---|---|
| ヤマト運輸・佐川急便などの宅配便 | 課税(10%) | 領収書に記載された税額を仕訳に反映 |
| ゆうパック・レターパック | 課税(10%) | 民営化後は課税対象 |
| 通常の郵便料金・切手代 | 非課税 | 通信費などで処理 |
| 国際便(EMSなど) | 非課税または免税 | 国際輸送は免税取引に該当 |
宅配便コストを削減する3つの実務ポイント

① 送り先別コストの「見える化」
まず行うべきは、どの目的でどのくらいの送料を使っているかを可視化することです。
勘定科目を整理することで、自然と次のようなデータが見えてきます。
- 商品発送コスト(販売コスト)
- DM・広告発送コスト(販促コスト)
- 社内書類コスト(間接費)
これらを区分することで、無駄な配送や重複発送を削減できます。
② 送料契約・配送方法の見直し
宅配便は、個人契約と法人契約で料金体系が大きく異なります。
法人登記がある場合、ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便などでは法人割引プランが利用可能です。
定期的に発送がある事業者なら、1件あたり10〜20%のコスト削減も実現できます。
- 定形外郵便・クリックポスト・ゆうパケットなどの軽量配送
- まとめ発送(週1回など)
- 複数業者の相見積もり
といった方法も有効です。
③ 経費処理の自動化で管理効率UP
クラウド会計ソフト(マネーフォワード・freee・弥生など)を使えば、
宅配便の支払いデータを自動で仕訳できます。
例:ヤマト運輸からクレジットカード決済 → 自動で「荷造運賃/普通預金」として登録
さらに、勘定科目をタグ管理(販売・広告・社内など)しておくと、後から分析もスムーズです。
コスト削減と節税の両立を狙うポイント

宅配便費用は「販売活動の一部」として、節税面でも大切な経費です。
ただし、経費処理の精度が低いと、税務上の指摘を受けることもあります。
- 領収書・伝票を必ず保存(発行元・日付・金額を確認)
- 社内ルールで勘定科目を統一
- 販売・社内・広告の目的ごとに分類
- 法人契約を検討し、定期的に料金を見直す
- クラウド会計で自動仕訳・集計を導入
この5点を徹底するだけで、無駄なコストを削減しつつ、経理効率と節税効果が一気に高まります。
単に「経費を減らす」のではなく、宅配便の利用データを経営判断の材料として活用するのも効果的です。
たとえば、
- どの地域に発送が集中しているか → 販売戦略の見直し
- 発送頻度の高い顧客 → 優良顧客リスト化
- 配送コストの多い商品 → 価格設定や在庫拠点の最適化
経理データを活かすことで、「経費削減」から「売上アップ」へ転換できます。
まとめ:宅配便コストは「見える化」と「ルール化」で減らせる!

- 基本科目は「荷造運賃」だが、目的に応じて「通信費」「広告宣伝費」なども使い分ける
- 消費税は原則課税仕入(10%)、郵便料金は非課税
- 発送目的を明確にすることで、経費処理の精度と節税効果がアップ
- 法人契約・配送方法の見直しでコスト10〜20%削減も可能
- クラウド会計で自動仕訳化すれば、人的コストも削減できる
宅配便費用は“見える化”すれば、単なる経費ではなく経営改善の武器になります。
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