はじめに

自社のPRや商品紹介、採用活動など、企業が動画を活用する機会は急速に増えています。
しかし、動画制作にかかった費用を経理処理する際に、

「これは経費にしていいのか?」
「広告宣伝費?外注費?それとも資産計上?」

と迷う経営者・経理担当者も多いのではないでしょうか。

実は、動画制作費用は内容によって勘定科目が変わるだけでなく、税務上「経費」か「資産」かの判断が分かれることもあります。

この記事では、動画制作費の正しい勘定科目の選び方から、経費処理と資産計上の判断基準までをわかりやすく解説します。

動画制作費の主な内訳

まず、動画制作といっても支出の内容は多岐にわたります。

項目内容例
企画・構成費コンセプト設計、台本作成、ディレクション
撮影費カメラマン、スタジオ、機材レンタル
編集費編集者への外注、BGM・効果音購入
ナレーション費声優・ナレーター・録音スタジオ
モデル・出演料出演者やインフルエンサーの報酬
広告費YouTube広告出稿、SNS動画配信費
機材購入費カメラ、照明、編集ソフト、PC等

このように、動画制作費はさまざまな勘定科目にまたがる性質を持っています。


動画制作費の勘定科目は「目的」で決まる

動画をどんな目的で作成したかによって、適切な勘定科目が変わります。

① 広告・宣伝目的の動画

自社商品・サービスの販促を目的とした動画(例:CM、YouTube広告、SNS広告など)は、
「広告宣伝費」 として処理するのが基本です。

・新商品の紹介動画
・サービスPR動画
・広告代理店を通じた動画制作費→ 広告宣伝費

この場合は、短期間で効果が発生する費用 とみなされ、原則として経費にできます。

② 採用・会社紹介動画

採用活動や企業PR、ブランディング目的で作られた動画は、「販売促進費」または「広告宣伝費」 に分類できます。

ただし、採用活動に限定した動画(リクルート動画)の場合は、「求人広告費」や「採用費」 として処理することも可能です。

・採用サイト用動画 → 採用費
・会社紹介・企業理念紹介動画 → 広告宣伝費

③ 社内研修・教育用動画

従業員教育やマニュアル作成のための動画は、販促とは異なり「人材育成」や「社内業務効率化」を目的とするため、
「教育研修費」や「福利厚生費」 として処理するのが妥当です。

・新人研修動画
・作業マニュアル動画
・社内安全教育コンテンツ→ 教育研修費/福利厚生費

④ 外注・制作委託費

制作会社やフリーランスに委託した場合、その費用の性質が広告や教育のどちらにも当てはまらない場合は、
「外注費」 として処理しても問題ありません。

特に、制作内容が複合的(撮影+編集+運用)な場合や、事業全体にかかわる映像プロジェクトでは「外注費」でまとめるケースが多くなります。

⑤ 撮影用備品・機材購入

カメラや照明、マイク、編集用PCなど 資産性のある物品を購入 した場合は、「消耗品費」または「工具器具備品」で処理します。

・10万円未満 → 消耗品費
・10万円以上/耐用年数1年以上 → 工具器具備品(減価償却資産)

たとえば、20万円の一眼レフカメラを購入した場合は、耐用年数5年で減価償却を行います。

経費になるケースと資産計上になるケースの違い

動画制作費は、原則として「広告宣伝費」などの経費処理が認められますが、次のような場合は資産計上(ソフトウェアやコンテンツ資産)が必要になります。

資産計上になるケース

  • 長期間(1年以上)にわたり繰り返し使用する動画
  • 教材や有料コンテンツとして販売する動画
  • サブスク配信など、収益を生む目的で制作した動画
  • 特定のソフトウェアに組み込む形で制作された動画

これらは「無形固定資産」に該当し、ソフトウェアやコンテンツ制作費 として資産計上し、耐用年数に応じて償却します。

経費処理でOKなケース

  • 一度きりの広告動画やキャンペーン映像
  • SNSやYouTubeで短期間配信する動画
  • 撮影や編集を都度外注している場合

これらは、将来にわたり継続的な利益を生まないと判断されるため、当期の経費として処理できます。

動画制作に関する減価償却の考え方

動画を「無形資産」として資産計上する場合、耐用年数は以下の通りです。

資産の種類耐用年数勘定科目
教育・研修用動画(社内使用)3年ソフトウェア/コンテンツ制作費
有料配信・販売用コンテンツ5年ソフトウェア/無形固定資産

ただし、税務上は「動画コンテンツ単体」で資産計上するケースはまれであり、多くは広告宣伝費や外注費として処理されます。

動画制作費の仕訳例(参考)

(例)広告代理店にYouTube用PR動画制作を依頼、33万円(税込)を銀行振込
→ 勘定科目:広告宣伝費

借方 広告宣伝費 330,000円  
 貸方 普通預金 330,000円

(例)自社用マニュアル動画を制作、長期使用のため資産計上(30万円)
→ 勘定科目:ソフトウェア

借方 ソフトウェア 300,000円  
 貸方 普通預金 300,000円

※ユーザーのリクエストにより仕訳例を省略することも可能です。

まとめ:動画制作費の勘定科目は「目的」と「期間」で判断!

動画制作費は、内容によって勘定科目も処理方法も変わります。

販促・PR目的 → 広告宣伝費(経費)
採用動画 → 採用費・広告宣伝費
教育用動画 → 教育研修費・福利厚生費
長期利用・販売用動画 → ソフトウェア等で資産計上
撮影機材 → 消耗品費 or 工具器具備品(減価償却)

重要なのは、「その動画がどのくらいの期間、どんな目的で使われるか」を明確にし、契約書・請求書を残しておくことです。

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