昨今、営業車や社用車にカーナビを取り付けるのが必須となっている企業が、大半なのではないでしょうか。
企業にとって必需品ともいえるカーナビですが、車を購入した時にオプションでつける場合と、後付けで購入するケースがあります。
この記事ではそれぞれのケースに合わせた勘定科目と耐用年数について解説しています。
カーナビの購入、入れ替えを検討している企業は、参考にしてみてください。
カーナビは購入のタイミングで勘定科目が異なる
カーナビは車両購入時に一緒取り付けする場合と、後付けで購入するケースで勘定科目は違うので、それぞれ確認していきましょう。
車両購入時にカーナビを付けた場合
車両購入時にカーナビをつけた場合は、カーナビの価格と車両の価格を合わせて取得価格とします。
車両の取得価格=車両価格+カーナビの価格
車両購入時にカーナビを一緒に取り付けした場合、カーナビ単体で資産計上または消耗品として計上はせず、また減価償却もおこないません。
後からカーナビを購入して取り付けた場合
すでにある車両に後からカーナビを購入して取り付ける場合は「固定型」「ポータブル型」で税務上の取り扱いが異なります。
固定型
固定型のカーナビを購入して取り付ける場合には、車両の価値を高めると認められるので【車両運搬具】の勘定科目を使用して、資産計上します。
したがって耐用年数も、カーナビを取り付けた車両と同じ法定耐用年数が適用されて減価償却します。
≫ 27万円の固定型カーナビを購入した場合
借方 | 貸方 |
---|---|
車両運搬具 270,000 | 現金 270,000 |
ただし取得価格が20万円未満であった場合、資本的基本支出に該当していても、【修繕費】として全額損金算入が可能です。
≫ 18万円の固定型カーナビを購入した場合(取り付け費用含む)
借方 | 貸方 |
---|---|
修繕費 180,000 | 現金 180,000 |
資本的基本支出とは、固定資産の修理・改良のための支出した金額のうち、固定資産の使用価値の延長または価値を高めるものを指します。
よって、固定型のカーナビは車両の価値を高めると認められるので、20万円以下であれば【修繕費】として全額損金算入が可能なのです。
ポータブル型
ポータブル型のカーナビは、機能的に車両に取り付ける以外の用途でも使用でき、さらに取り外しも可能なので、通常は基本的支出ではなく【器具備品】として資産計上します。
例外として、固定型のカーナビ同様、常に車両に取り付けてカーナビとしてのみ使用すると認められた場合は、基本的支出として扱われるケースもあります。
≫ 24万円のポータル型カーナビを購入した場合
借方 | 貸方 |
---|---|
器具備品 240,000 | 現金 240,000 |
ポータブル型カーナビの法定耐用年数と勘定科目
ポータブル型のカーナビは法定耐用年数【5年】、勘定科目【器具備品】で経理処理をします。
ただし取得価格が10万円以上20万円未満だった場合は【一括償却資産】として耐用年数【3年】で償却も可能。
さらに取得価格が10万円未満だった場合、【消耗品費】として、全額費用計上もできます。
それぞれを例に挙げてみていきましょう。
≫ 25万円のポータブルカビを購入した場合(法定耐用年数5年)
取得時
借方 | 貸方 |
---|---|
器具備品 250,000 | 現金 250,000 |
決算時
借方 | 貸方 |
---|---|
減価償却費 50,000 | 器具備品 50,000 |
≫ 15万円のポータブルナビを購入した場合(法定耐用年数に限らず3年で償却可能)
取得時
借方 | 貸方 |
---|---|
器具備品 150,000 | 現金 150,000 |
決算時
借方 | 貸方 |
---|---|
減価償却費 50,000 | 器具備品 50,000 |
≫ 9万円のポータルナビを購入した場合(全額費用計上可能)
取得時
借方 | 貸方 |
---|---|
消耗品 90,000 | 現金 90,000 |
減価償却はありません。
少額減価償却資産|中小企業の特例
- 従業員1,000人以下の中小企業
- 青色申告法人
1事業年度につき300万円までは、取得価格30万未満の減価償却が必要な資産を全額損金に算入が可能です。
しかし少額減価償却資産の対象になるからといって、必ず全額損金算入させる必要はありません。
少額減価償却資産で計上するメリット・デメリットをよく確認したうえで、企業にあった方法を選択してください。
まとめ
カーナビは、標準装備か後付けで購入するかによって、勘定科目と耐用年数が異なります。
標準装備でカーナビを取り付けた場合、車両の取得価格に含めて減価償却をおこなうため、カーナビ単体で減価償却はおこないません。
後付けでカーナビを取り付けた場合、「固定型」「ポータブル型」で勘定科目と耐用年数は異なります。
違いをよく理解したうえで、仕訳計上・減価償却をおこなうようにしましょう。
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