はじめに

海外から商品を仕入れる際、避けて通れないのが「関税」。
輸入ビジネスを行っていると、税関や通関業者から請求される関税や消費税の扱いに悩むことがあります。

「関税ってどの勘定科目で処理すればいいの?」
「輸入時の仕入れや送料、保険料はどう仕訳すればいい?」

この記事では、関税の正しい勘定科目、輸入取引の仕訳方法、税務上の注意点まで、わかりやすく丁寧に解説します。

関税とは?

関税とは、海外から輸入した商品に課される税金のことです。
日本国内で生産された商品と価格競争が公平になるようにするため、国が課す「輸入品に対する税」です。

関税は通常、輸入通関時に税関を通して支払うことになります。
支払先は「日本政府(税関)」ですが、実際の支払い手続きは多くの場合、通関業者や運送会社(FedEx・DHLなど)が代行してくれます。

関税の勘定科目は?

関税は、輸入した商品を仕入れるために発生する費用です。
そのため、基本的には仕入原価に含めて処理するのが原則です。

勘定科目内容消費税区分
仕入高商品の購入代金+関税+輸入にかかる費用不課税(関税部分)

たとえば、海外から商品を1,000ドルで輸入し、関税が2万円かかった場合、仕入原価は「1,000ドル相当の日本円+関税2万円」となります。

関税は「商品を手に入れるために必要な費用」なので、仕入に付随する費用として計上します。

関税を別勘定で処理するケースもある

実務上は、経理の見やすさや税務区分の明確化のために、関税を「租税公課」や「関税(科目新設)」として別計上することもあります。

勘定科目使用タイミング消費税区分
仕入高商品の原価に含める場合(原則)不課税(関税分)
租税公課商品以外の輸入(機械・備品など)の関税不課税
関税(補助科目)輸入仕入と区別したい場合不課税
  • 「販売商品」の関税 → 仕入高に含める
  • 「備品・消耗品などの輸入」 → 租税公課で処理

関税の仕訳例(ケース別)

ケース①:輸入商品の関税を支払った場合(仕入原価に含める)

借方 仕入高 120,000円 / 貸方 普通預金 120,000円  
(商品代+関税を含む輸入仕入)

→ 関税を仕入原価に含めて処理します。

ケース②:関税を租税公課で別処理する場合

借方 仕入高 100,000円  
借方 租税公課 20,000円 / 貸方 普通預金 120,000円  
(関税を別勘定で処理)

→ 見やすさを優先する場合や、仕入原価を正確に管理したい場合に有効です。

ケース③:通関業者が立て替えて請求してきた場合

借方 仕入高 100,000円  
借方 租税公課 20,000円  
借方 支払手数料 3,000円 / 貸方 未払金 123,000円  
(通関業者の請求書による処理)

→ 通関業者が関税・手数料を立替払いした場合、未払金として処理します。

輸入仕入にかかる「消費税」の扱い

輸入時には、関税のほかに「輸入消費税」も発生します。
これは、日本国内での販売時と同じように仕入時点で消費税が課される仕組みです。

輸入消費税は次の式で計算されます。

(課税価格 + 関税 + 送料 + 保険料)× 消費税率(10%)

輸入時の消費税は税関で一括納付し、仕入税額控除の対象になります。
つまり、税務上は「仮払消費税」として処理できます。

仕訳例(輸入消費税を支払った場合)
借方 仮払消費税 10,000円 / 貸方 普通預金 10,000円  
(税関に輸入消費税を納付)

→ 輸入時の消費税は仕入税額控除できるため、後の消費税申告で精算可能です。

「関税」と「輸入消費税」は別モノ!

輸入取引では「関税」と「輸入消費税」が同時に請求されることが多いですが、性質は全く異なります。

項目関税輸入消費税
対象商品の種類ごと商品+関税+送料+保険料
税率商品ごとに異なる(0〜20%程度)一律10%
消費税の対象不課税課税(仕入税額控除可)
会計処理仕入高または租税公課仮払消費税

備品・機械などの輸入にかかる関税の処理

輸入したものが販売用商品ではなく、備品・機械・パソコンなど固定資産の場合は、関税の扱いが変わります。

関税は「取得のために直接要した費用」として、資産の取得原価に含めて処理します。

例)10万円の機械を輸入、関税が1万円の場合
借方 工具器具備品 110,000円 / 貸方 普通預金 110,000円  
(関税を取得原価に含める)

→ その後、減価償却の対象になります。

よくある質問(Q&A)

Q1. 海外からの送料や保険料はどの勘定科目?
→ 商品の仕入れに付随する費用であれば「仕入高」に含めます。
輸送だけを別契約で支払う場合は「運賃」や「荷造運賃」などで処理してもOKです。

Q2. 関税は消費税申告で控除できる?
→ できません。関税は不課税取引であり、消費税の対象外です。

Q3. 通関業者が立て替えた関税を現金で精算した場合?
→ 「未払金」または「立替金精算」として処理します。

まとめ

項目内容
関税の性質輸入品に対する税金(不課税取引)
勘定科目仕入高(商品)、租税公課(資産・備品)
消費税不課税(仕入税額控除対象外)
輸入消費税課税(仮払消費税として控除可)
処理方法原則は仕入原価に含める/固定資産は取得原価に含める

関税は輸入取引に欠かせないコストですが、「仕入高」か「租税公課」かの判断を正しく行うことが重要です。
正確な仕訳を行うことで、仕入原価の管理や消費税申告がスムーズになります。

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