はじめに

「通帳の残高と帳簿の残高が合わない…」
「会計ソフトの残高が銀行と違うけど、どこを直せばいいかわからない」

このような悩みは、経理初心者や個人事業主によくあるトラブルです。

実は、通帳と帳簿がズレるのは特別なことではありません。
むしろ、ほとんどの会計担当者が一度は経験する“あるあるエラー”です。

ただし、そのまま放置すると決算書や確定申告に影響が出るため、早めの修正が大切。
本記事では、通帳と帳簿が合わない原因から、ミスを見つけるチェック方法、再発防止策までを詳しく解説します。

通帳と帳簿が合わないとはどういう状態?

「通帳の残高」と「帳簿(会計ソフトなど)の預金残高」が一致していない状態を指します。

たとえば、

  • 通帳残高:1,203,000円
  • 帳簿残高:1,190,000円

のように、どちらも取引は記録しているのに金額が合わないというケースです。

原因は単純な入力ミスから、取引の漏れ・二重計上・日付ズレなど、さまざま。
正しい決算・申告を行うためには、必ず一致させる必要があります。

【主な原因①】記帳漏れ・入力漏れ

▶ よくあるパターン

  • 口座引き落としの自動支払いを記帳していなかった
  • 売上入金があったのに帳簿に載っていない
  • 会計ソフトの自動連携が一部止まっていた

通帳はすべての入出金を記録しますが、帳簿には「手動で登録したもの」しか反映されません。
特にクレジットカードや自動引き落としの経費は漏れの温床です。

▶ 対策

  • 通帳を1か月単位で確認し、入出金をすべてチェック
  • クレジットカードやサブ口座も同時に突き合わせる
  • 会計ソフトの「連携状況」を定期確認する

【主な原因②】二重記帳・重複登録

▶ よくあるパターン

  • 通帳連携で自動仕訳されたのに、手動で同じ内容を入力
  • 振替伝票と現金出納帳で同一取引を二重登録
  • 売上と入金を別取引として二重計上

これにより、帳簿残高が通帳より多くなります。

▶ 対策

  • 同一金額・同一日付の取引を一覧で検索して重複を削除
  • 「摘要」欄に識別番号(例:請求書No.)を入れて重複を防止
  • 自動仕訳と手動入力を明確に区分する

【主な原因③】日付ズレ・記帳タイミングの違い

▶ よくあるパターン

  • 売上入金を「請求日」で記帳していた(実際は翌月入金)
  • 通帳では月末に引き落とし、帳簿では翌月処理
  • 銀行営業日と記帳日のズレ(土日・祝日)

会計では、発生日基準(発生主義)入金日基準(現金主義)の違いが原因になることもあります。

▶ 対策

  • 通帳の取引日と帳簿の日付を必ず照合
  • 月末取引は、通帳と帳簿のどちらで処理すべきか統一ルールを作る
  • 会計期間の締日を意識して、月をまたがないよう調整

【主な原因④】振替・現金取引の記帳ミス

▶ よくあるパターン

  • 「普通預金→現金」の引き出しを、出金だけ記録して入金を忘れた
  • 複数口座間の振替を二重処理
  • 預金から個人利用の引き出しを経費に入れてしまった

複数口座を持っている場合や、事業主貸・事業主借を使う個人事業主は特に注意が必要です。

▶ 対策

  • 銀行間振替は「振替伝票」で必ず両方登録
  • 個人利用分は「事業主貸」で処理し、経費と混在させない
  • 通帳記録をすべて帳簿に反映する「通帳ベース入力」を徹底

【主な原因⑤】手数料・利息の処理漏れ

▶ よくあるパターン

  • 銀行手数料・振込手数料を経費に入れ忘れ
  • 預金利息を雑収入として計上していない

これらは通帳にしか記録されない取引であり、帳簿には自動反映されません

▶ 対策

  • 通帳に「振込料」「ATM手数料」「利息」があるかチェック
  • 毎月末に「金融機関関連経費」としてまとめて登録
  • 会計ソフトで「銀行手数料」仕訳ルールを自動登録

【主な原因⑥】仕訳の方向(借方・貸方)の誤り

▶ よくあるパターン

  • 「預金を増やす」取引を貸方に記帳してしまう
  • 借方と貸方を逆に入力して残高がずれる

たとえば、入金を「貸方・預金」としてしまうと、残高が減ってしまいます。

▶ 対策

  • 会計ソフトの取引登録画面で「取引テンプレート」を活用
  • 入金=預金増加(借方)、出金=預金減少(貸方)を意識
  • 迷ったときは仕訳例を参照して方向を確認

【主な原因⑦】期首残高・期末残高の設定ミス

新規に会計ソフトを導入したり、年度更新をした際に残高を誤入力すると、翌期以降ずっとズレ続ける原因になります。

▶ 対策

  • 前期の貸借対照表から正しい残高を転記
  • 期首残高の入力を複数人でダブルチェック
  • 銀行口座残高証明書をもとに残高を設定

ミスを見つけるためのチェック手順

通帳と帳簿が合わないときは、上から順にチェックするのが効率的です。

【ステップ1】月単位で差額を確認
まずは、「いつからズレたか」を特定します。
1月~12月の残高を並べて、ズレが発生した月を探しましょう。

【ステップ2】入金・出金の件数を突き合わせ
・通帳の入金件数と帳簿の入金件数を比較
・不一致がある場合は、その取引を重点的に確認

【ステップ3】特定の金額を検索
たとえば、差額が「1,100円」なら、通帳の手数料・利息などで同額がないか検索します。

【ステップ4】残高確認表を作成
Excelやスプレッドシートで「残高調整表」を作り、
通帳残高→加算・減算項目→帳簿残高の順に並べると原因を整理しやすくなります。

再発防止のための運用ルール

① 取引を即日入力する
後からまとめて入力するとミスが起こりやすくなります。
日々の入出金をその日のうちに記帳するのが理想です。

② 通帳を事業専用に分ける
プライベートと事業の口座を分けるだけで、整合性の確認が格段にラクになります。

③ 会計ソフトの自動連携を活用
マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計を使えば、通帳データを自動で取り込み、仕訳も自動化できます。
人為的ミスのリスクを大幅に減らせます。

④ 月末に残高確認を行う
決算直前ではなく、毎月の締め処理で残高を確認しておくと、早期発見が可能です。

通帳と帳簿が合わないまま申告したらどうなる?

ズレたまま申告してしまうと、次のような問題が発生します。

  • 売上や経費の金額が誤って税金が増減する
  • 税務署から「残高の整合性」に関する指摘を受ける
  • 翌期以降の会計データも狂い続ける

特に青色申告では、帳簿の整合性が条件の1つ。
ズレを放置すると青色申告特典の取消リスクもあるため、必ず修正しましょう。

まとめ:ズレは必ず原因がある。焦らず順番に確認を!

  • 通帳と帳簿が合わないのは、「漏れ」「重複」「日付ズレ」が主原因
  • まずは月単位でズレた時期を特定
  • 銀行手数料・利息・振替を重点的に確認
  • 取引を即日記帳し、自動連携で再発を防ぐ

一見ややこしく見えても、ズレには必ず原因があります。
焦らず1つずつ照合すれば、必ず正しい残高に戻せます。

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