はじめに

「補助金を受け取ったけど、どの勘定科目で仕訳すればいい?」
「課税される補助金とされない補助金の違いが分からない…」

補助金や助成金は、事業を行ううえでありがたい支援制度ですが、会計処理を間違えると税務トラブルに発展するリスクがあります。

実際、補助金の性質によって「収益計上すべきもの」「資産に含めるもの」「課税対象外となるもの」など処理が異なります。

この記事では、補助金を受け取ったときの正しい勘定科目の選び方と仕訳のコツを、税務・会計の観点から分かりやすく解説します。

補助金と助成金の違いとは?

まず、混同しやすい「補助金」と「助成金」の違いを簡単に整理しておきましょう。

区分補助金助成金
主な支給元国・地方自治体雇用関係(厚労省など)
審査採択制(応募多数から選定)条件を満たせば原則支給
目的設備投資・事業拡大など雇用・人材育成支援など
会計処理原則「収益」扱い原則「収益」扱い(同様)

どちらも会計上は「収益」に分類されますが、支給目的によって科目や課税扱いが変わる点が重要です。

補助金の勘定科目は「目的」で決まる!

補助金をどの勘定科目にするかは、何のために交付されたか(目的)で判断します。
以下の表に主な分類をまとめました。

補助金の目的主な勘定科目会計処理上の扱い
設備購入・建物取得圧縮記帳(固定資産圧縮益)または固定資産圧縮損資産計上+益金算入
経費補填・運転資金雑収入収益計上(課税対象)
人件費支援(雇用助成金など)雑収入 or 助成金収入収益計上(課税対象)
返済義務のある交付金借入金負債処理(非課税)
災害支援・損害補填特別利益(災害補填金)収益計上(課税対象)
コロナ関連給付金(例:持続化給付金)雑収入収益計上(課税対象)

つまり、「設備投資目的」か「経費補填目的」かをまず確認するのがポイントです。

補助金の仕訳パターン|ケース別で解説

ケース①:設備購入に使う補助金(例:ものづくり補助金)

ものづくり補助金やIT導入補助金など、設備やシステム導入のために交付される補助金は、
「固定資産の取得」に充てられるため、圧縮記帳の対象になります。

仕訳例(補助金100万円、機械購入200万円の場合)

借方 機械装置 2,000,000円 / 貸方 現金 2,000,000円
借方 現金 1,000,000円 / 貸方 国庫補助金等収入 1,000,000円
借方 固定資産圧縮損 1,000,000円 / 貸方 機械装置 1,000,000円

このように「補助金受取額」を資産の取得原価から控除し、実質的な負担額のみを費用化します。

ケース②:経費補填型の補助金(例:小規模事業者持続化補助金)

広告宣伝費や外注費など、経費の一部を支援する補助金は「雑収入」として処理します。

仕訳例(補助金50万円を受領)
借方 普通預金 500,000円 / 貸方 雑収入 500,000円

この場合は補助金を受け取った時点で課税対象となるため、法人税や所得税の計算に含まれます。

ケース③:雇用関係助成金(例:雇用調整助成金)

従業員の雇用維持や人件費を支援する助成金も、「雑収入」として計上します。

仕訳例
借方 普通預金 300,000円 / 貸方 雑収入 300,000円

ただし、助成金を原資に支払った給与は経費計上できます。
そのため、課税上は「収入300,000円 − 給与300,000円 = 実質影響なし」となります。

ケース④:返済義務付きの補助金(融資型)

条件付きで返済義務があるもの(実質的に「貸付金」扱い)は、受け取った段階では収益に含めません。

仕訳例
借方 普通預金 1,000,000円 / 貸方 預り金(または借入金) 1,000,000円

後に返済が免除された場合、その時点で「雑収入」として益金算入します。


ケース⑤:災害補填金・損害補填型補助金

自然災害・火災・感染症などによる損害を補填する目的で支給される補助金は「特別利益」に分類します。

仕訳例
借方 普通預金 500,000円 / 貸方 特別利益(災害補填金) 500,000円

通常の営業収益とは区別し、臨時的な利益として処理します。

補助金の課税・非課税の判断基準

補助金はすべてが課税対象になるわけではありません。
次の表を参考に、課税・非課税の違いを整理しましょう。

区分代表例課税区分
経費補填・運転資金持続化補助金、雇用助成金課税(雑収入)
設備投資ものづくり補助金、IT補助金課税(圧縮記帳処理)
災害補償・損害補填災害見舞金、損害保険金課税(特別利益)
返済義務付き一部融資型補助金非課税(借入金扱い)
非課税・免税扱い給与支援金のうち一部例外的に非課税

原則として、補助金=課税対象(収益)と考えておきましょう。
非課税扱いにできるのは、「返済義務付き」または「国庫支出金のうち特例で非課税」と定められたもののみです。

会計処理でよくあるミスと注意点

① 補助金の「受取時期」と「計上時期」を混同
補助金は入金時ではなく、交付決定時点で収益計上するのが原則です。
ただし、確定していない段階で計上すると誤りになるため、通知書の日付を基準に判断します。

② 設備投資補助金をそのまま雑収入で処理している
設備投資系補助金は圧縮記帳の対象。
雑収入として処理してしまうと、税金が余計にかかる可能性があります。

③ 補助金の使途と証拠書類の不一致
税務調査では「補助金を何に使ったか」を厳しく確認されます。
領収書・契約書・補助金交付決定通知書を必ずセットで保管しておきましょう。

まとめ:補助金の会計処理は「目的」で決まる!

  • 補助金の勘定科目は、支給目的(設備・経費・人件費)によって判断
  • 経費補填型は「雑収入」、設備型は「圧縮記帳」、返済義務付きは「借入金」
  • 原則として補助金は課税対象。ただし特例を除く。
  • 交付決定書と領収書をセットで保管し、証拠を残すことが大切。

補助金は事業成長のチャンスですが、処理方法を間違えると節税効果を失うこともあります。
正しい勘定科目で仕訳し、透明性のある帳簿管理を心がけましょう。

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