はじめに

店舗や会社の顔ともいえる「看板」。
新規開店時の設置、リニューアル時の交換、季節キャンペーンの垂れ幕やポスターなど、看板費用は多岐にわたります。
しかし経理処理においては、看板費用をすべて同じ「広告宣伝費」とはできません。
なぜなら、看板の設置目的・使用期間・物理的な性質によって勘定科目が変わるからです。
この記事では、看板の勘定科目がなぜ用途で異なるのか、その理由と仕訳の注意点をわかりやすく解説します。
看板費用に使われる代表的な勘定科目

まずは看板に関連する費用でよく使われる勘定科目を整理しましょう。
勘定科目 | 適用ケース |
---|---|
広告宣伝費 | 一時的な看板(ポスター・横断幕・キャンペーン看板) |
消耗品費 | 使用期間が1年未満、少額(10万円未満)の看板 |
工具器具備品 | 長期的に使用する看板(ネオン看板・店舗上部看板など)、10万円以上 |
建物附属設備 | 建物に組み込まれる形で設置される大型看板 |
修繕費 | 既存看板の修理・部分交換 |
雑費 | 少額かつ一時的で分類が難しいケース |
看板の勘定科目が用途で異なる理由

看板が同じ「広告目的」だとしても、勘定科目が異なるのには理由があります。
その背景を理解すると、仕訳判断がスムーズになります。
1. 使用期間の長短
短期間使用する看板 → 広告宣伝費
例:イベント用バナー、キャンペーン用ポスター、季節限定の装飾
長期使用する看板 → 固定資産(工具器具備品・建物附属設備)
例:店舗上部の常設看板、ネオン看板、LED看板
税務上、「資産として1年以上使用するかどうか」で、費用処理か資産計上かが変わります。
2. 金額の大小
- 10万円未満 → 消耗品費で経費処理可
- 10万円以上 → 固定資産に計上し減価償却
法人税法では、10万円以上の資産は原則として固定資産に計上し、耐用年数に基づいて償却します。
ただし、中小企業の場合は「少額減価償却資産の特例(30万円未満の資産を即時償却可)」を使える場合もあります。
3. 建物との一体性
- 建物に付属する看板 → 建物附属設備
- 建物と独立した看板 → 工具器具備品
建物と一体化しているかどうかで勘定科目が変わります。
例えば、壁面に組み込まれた看板は「建物附属設備」となります。
ケース別の会計処理と勘定科目

ケース① キャンペーン用ポスター・バナー
使用期間:数週間~数か月
金額:少額
勘定科目:広告宣伝費
理由:短期利用であり、宣伝活動のための一時的支出のため。
ケース② 店舗の常設看板(20万円)
使用期間:数年
金額:20万円
勘定科目:工具器具備品(固定資産)、減価償却対象
理由:長期にわたり使用し、資産性があるため。
ケース③ 建物に組み込まれた看板(50万円)
使用期間:10年以上
金額:50万円
勘定科目:建物附属設備
理由:建物と一体化しており、独立して利用できないため。
ケース④ 既存看板の修理(5万円)
内容:電球交換、塗装修繕など
勘定科目:修繕費
理由:資産価値を増加させるのではなく、維持・補修のための支出だから。
ケース⑤ 10万円未満の小型看板
金額:8万円
勘定科目:消耗品費
理由:金額基準を満たしており、即時経費処理が認められるため。
減価償却の耐用年数(看板の種類別)

固定資産として計上した看板は、耐用年数に基づいて減価償却します。
国税庁の耐用年数表によると、看板は以下のように分類されます。
・電気を使用しない看板 → 3年
・ネオンサイン・LED看板など電気を使用するもの → 10年
・建物附属設備に組み込まれる場合 → 建物附属設備の耐用年数に従う(通常15年)
税務上の注意点

1. 広告宣伝費と資産計上の線引き
税務調査でよく指摘されるのは、本来は資産計上すべき看板を広告宣伝費で処理してしまうケースです。
使用期間・金額・設置形態を基準に判断し、処理を誤らないようにしましょう。
2. 少額減価償却資産の特例
中小企業者等は、30万円未満の資産を即時費用化できる特例があります(年間300万円まで)。
常設看板が20万円程度なら、特例を活用して一括経費処理するのも有効です。
3. 修繕費と資本的支出の区別
修繕費は即時経費化できますが、資産の価値を高めるような大規模なリニューアルは「資本的支出」として資産計上が必要です。
まとめ:看板の勘定科目は「目的・期間・金額」で変わる

・短期間・販促目的 → 広告宣伝費
・少額(10万円未満) → 消耗品費
・長期使用・独立設置 → 工具器具備品
・建物一体型 → 建物附属設備
・修理・維持 → 修繕費
つまり、同じ「看板費用」でも、勘定科目は一律ではなく「用途・設置方法・金額」によって異なるのです。
正しい処理を行うことで、税務リスクを回避し、経費の最適化につながります。
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