はじめに

業務中に発生してしまう「違反金」。
駐車違反、スピード違反、業務上のルール違反による罰金など、意図せず支払うケースも少なくありません。
そんなときに多くの人が悩むのが、

「この違反金って経費になるの?」
「どの勘定科目で処理すればいい?」
という点です。
結論から言うと、ほとんどの違反金は経費になりません。
しかし、内容によっては会計処理の方法が異なり、間違えると税務調査で指摘される可能性もあります。
この記事では、
✔ 業務中の違反金の正しい勘定科目
✔ 経費になる・ならないの判断基準
✔ 個人事業主と法人の違い
✔ よくあるミスと注意点
をわかりやすく解説します。
業務中の「違反金」とは?

業務中の違反金とは、仕事をしている最中に発生した法律違反に対する金銭的ペナルティを指します。
代表的な例は以下の通りです。
- 駐車違反の反則金
- スピード違反の反則金
- 通行禁止違反
- 労働基準法違反による罰金
- 行政指導違反による過料
これらは「業務中に発生したから経費になる」と思われがちですが、税法上は原則NGです。
業務中の違反金は経費になる?

業務中であっても、違反金・罰金・過料は経費になりません。
理由は明確で、
「社会秩序を守るための制裁金」であり、事業に必要な支出とは認められないからです。
税法上、以下のような支出は損金不算入(経費NG)とされています。
- 罰金
- 科料
- 過料
- 交通違反反則金
- 行政罰
これは法人・個人事業主を問わず共通です。
勘定科目は何を使う?

結論:原則は「事業主貸」または「役員貸付金」
業務中の違反金は経費にできないため、以下のように処理します。
個人事業主の場合
借方:事業主貸 10,000円
貸方:普通預金 10,000円
法人の場合
借方:役員貸付金 10,000円
貸方:普通預金 10,000円
これは「会社や事業のお金を一時的に立て替えた」扱いになるためです。
なぜ「雑損失」ではダメなのか?

よくある誤解が「雑損失で処理すればいいのでは?」という考えです。
しかし、税法では以下のように定められています。
経費にならないもの
- 法令違反による罰金・過料
- 交通違反の反則金
- 行政処分に基づく制裁金
これらは事業遂行上やむを得ない支出とは認められないため、「雑損失」や「雑費」として処理することはできません。
例外的に経費になるケースはある?

① 損害賠償金(罰金ではない場合)
たとえば、
- 配送中の事故による損害賠償
- 取引先への軽微な補償金
これらは制裁ではなく損害補填なので、「雑損失」として経費処理が可能です。
借方:雑損失 50,000円
貸方:普通預金 50,000円
※ただし、故意・重過失の場合は経費否認されることがあります。
② 反則金ではなく「手数料・使用料」の場合
たとえば以下は経費になります。
- 有料道路の超過料金
- 駐車場の延長料金
- 施設使用料の追加料金
これらは「サービス利用の対価」であり、違反金ではありません。
個人事業主と法人の違い

| 区分 | 処理方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 事業主貸 | 経費にできない |
| 法人 | 役員貸付金 | 後日返済または給与精算が必要 |
※法人で社用車使用中の違反でも、会社負担にすると税務上否認される可能性が高いです。
税務調査で見られるポイント

税務署は次の点をチェックします。
- 反則金が経費に含まれていないか
- 領収書の内容が曖昧ではないか
- 同様の支出が頻発していないか
特に「雑費」が多い会社は要注意です。
まとめ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 違反金の経費処理 | 原則NG |
| 勘定科目 | 事業主貸・役員貸付金 |
| 消費税 | 不課税 |
| 経費になる例外 | 損害賠償・使用料など |
| 注意点 | 雑費処理は避ける |
「業務中であっても違反金は経費にならない」
このルールを押さえておくだけで、税務リスクを大きく減らせます。
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