はじめに|報奨金とは?

報奨金とは、従業員や取引先などに対して、業績や成果に応じたインセンティブとして支払われる金銭のことです。
営業成績が優秀な社員に支給する表彰金、販売キャンペーンのインセンティブ、またアイデア提案制度などに対する報奨など、さまざまな形があります。
一見シンプルな報奨金ですが、勘定科目の誤りや税務処理のミスがあると、課税漏れや経費否認のリスクにつながります。
この記事では、報奨金の種類別に正しい会計処理方法と勘定科目の選定ポイントを解説します。
報奨金の主な種類

報奨金は対象や目的によって性質が異なります。以下は主なケースです。
・社員に対する業績報奨金
・販売代理店・取引先に対する販売報奨金
・外部協力者や一般顧客に対する紹介報奨金
・提案制度や改善活動への報奨
それぞれ、会計処理や税務上の取扱いが異なるため、個別の状況に応じた対応が求められます。
勘定科目の選び方|報奨金の対象で変わる

報奨金の勘定科目は、基本的には「給与手当」「賞与」「外注費」「支払手数料」などが該当しますが、支給対象者によって使い分ける必要があります。
従業員への報奨金
借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|
給与手当 または 賞与 | 普通預金 | 成績優秀者への報奨金 |
- 給与や賞与の一環として処理
- 所得税の源泉徴収が必要
- 社会保険の対象となる可能性も
取引先・外注先への報奨金
借方 | 貸方 | 摘要 |
支払手数料 または 販売促進費 | 普通預金 | 代理店への報奨金 |
- 請求書や契約書が必要
- 場合により源泉徴収義務あり(個人事業主等)
顧客や紹介者への報奨金
借方 | 貸方 | 摘要 |
広告宣伝費 | 普通預金 | 紹介者への謝礼金 |
- 現金やギフトカードで支給するケースも
- 継続性があると景品表示法の規制対象になる場合あり
報奨金の支給形態と処理方法

報奨金は必ずしも現金や振込だけではなく、商品券、旅行券、物品支給、ポイントなどで行われることもあります。
会計処理上は、その時価相当額を金額として計上する必要があります。
また、現物支給であっても給与課税対象となる可能性があるため、税務処理には細心の注意が必要です。
税務上の注意点

1.源泉徴収の対象かどうか
・従業員には源泉徴収必須
・外注先・個人事業主には一部源泉徴収あり
2.消費税の課税対象か
・従業員報奨金:非課税
・外注先・取引先報奨金:課税対象
3.交際費との区別
・取引先への「接待的」な報奨金は交際費と見なされる可能性も
また、「賞与」は定期的に支給されるボーナスなどを指すのに対し、「報奨金」は不定期・成果に応じて支給される一時金です。
ただし、従業員に支給する報奨金を賞与として処理することも認められているため、企業ごとに運用ルールを明確に定めておくと混乱を防げます。
会計処理のよくあるミス

・全て「給与手当」にしてしまい、過大な源泉徴収
・外部への支払いも「交際費」として処理して損金算入限度超過
・現物支給なのに費用計上を忘れる
・源泉徴収漏れで税務調査リスク増加
このようなミスを防ぐには、対象者・内容・目的を正しく理解して勘定科目を選定する必要があります。
まとめ|報奨金の仕訳は内容次第で大きく変わる

報奨金は、支給対象者や目的、形態によって勘定科目・税務処理が大きく異なるため、慎重な判断が求められます。
特に税務調査で指摘されやすいポイントでもあるため、日々の会計処理からしっかりと仕訳対応しておくことが大切です。
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