はじめに

契約書や領収書などに貼る「印紙」。
事業をしていると日常的に目にするものですが、

「これって本当に印紙が必要?」「もし貼り忘れていたらどうなるの?」
と疑問に感じる方も多いでしょう。
実は、印紙税の納付漏れは税務調査で非常に指摘されやすい項目のひとつです。
書面を正しく理解せずに処理していると、追徴課税(過怠税)を課されるリスクがあります。
この記事では、印紙税の税務調査の実態や、納付漏れが見つかった際のリスク、そして事前にできる対策までを分かりやすく解説します。
印紙税とは?基本の仕組みをおさらい

印紙税とは、「一定の取引に関する文書(課税文書)」を作成したときに課される税金のこと。
契約書や領収書など、取引内容を証明する文書に対して課税されます。
代表的な課税文書
- 不動産や金銭の売買契約書
- 請負・業務委託の契約書
- 金銭の領収書
- 借用書・金銭消費貸借契約書
- 工事請負契約書・注文書・請書
契約書に貼る「収入印紙」が印紙税の納税方法です。
つまり、印紙を貼って消印すること=納税行為にあたります。
印紙税の税務調査はなぜ多いのか?

印紙税の税務調査は、法人・個人問わず「狙われやすい項目」といわれます。
その理由は以下の通りです。
① 書類の数が多く、ミスが発生しやすい
契約書、請書、注文書、見積書、領収書など、日常業務で発生する文書が多く、
「課税・非課税」の判定を間違えるケースが頻発します。
② 意図的ではなく「うっかりミス」が多い
印紙税の納付漏れは、脱税ではなく単なる知識不足によるものが大半です。
しかし、税務署としては「納付漏れ」として是正対象になります。
③ 印紙税は「文書ベース」で確認できる
税務署は帳簿を見なくても、契約書や領収書をチェックするだけで発見可能。
書類管理が甘い企業ほど、狙われやすくなります。
印紙税の税務調査の流れ

税務調査では、法人税や消費税の調査と合わせて「印紙税の確認」も行われます。
特に、契約関係の多い企業(建設業・不動産業・広告業など)は要注意です。
① 事前通知・資料準備
調査の1~2週間前に「税務調査のお知らせ」が届きます。
このときに、以下の資料提出を求められることがあります。
- 契約書・請負契約関連書類
- 注文書・請書
- 領収書(現金・小切手受領時)
- 契約金額一覧表
- 売上・仕入台帳
② 税務署による文書確認
調査官が、契約書や領収書を1件ずつ確認していきます。
内容をもとに「印紙が必要かどうか」を判定し、
貼付・消印がされていない場合は納付漏れ扱いになります。
③ 修正申告・過怠税の納付
漏れがあった場合、調査官の指摘により「自主納付」または「更正処分」が行われます。
このとき、過怠税(本来の印紙税の3倍)を追加で支払うケースもあります。
印紙税の過怠税(ペナルティ)

印紙税を貼り忘れていた場合、本税+過怠税を納付する必要があります。
| 状況 | 課される税金 | 内容 |
|---|---|---|
| 調査前に自主的に修正 | 本税のみ | ペナルティなし |
| 税務調査で発覚 | 本税の3倍(過怠税) | 重加算税に相当 |
| 故意や隠ぺいあり | 本税の5倍 | 悪質と判断される場合 |
たとえば、本来2,000円の印紙が必要な契約書に印紙を貼っていなかった場合、
税務調査で見つかると最大で10,000円(2,000円×5倍)を支払うことになります。
印紙税が課される主な契約書・文書の例

以下のような契約書は、税務調査で特にチェックされやすい文書です。
| 書類の種類 | 印紙の要否 | 備考 |
|---|---|---|
| 工事請負契約書 | 必要 | 契約金額により印紙額が変動 |
| 業務委託契約書 | 必要 | 請負契約に準ずる扱い |
| 不動産売買契約書 | 必要 | 金額が大きく印紙も高額 |
| 賃貸借契約書 | 原則必要 | 一部例外あり(住宅など) |
| 見積書・注文書 | 条件により必要 | 双方の署名押印で契約書扱いに |
| 領収書 | 5万円以上で必要 | 現金受領時のみ対象 |
契約書でなくても、「請書」「注文請書」など両者の署名・押印がある書面は契約書扱いになります。
印紙税の課税文書と非課税文書の違い

印紙税は、課税文書(別表第一で定められた20種類)に該当する場合のみ課税されます。
一方で、次のような書類は非課税です。
- メール・PDF・クラウド契約など電子契約書
- 外国の契約法に基づく文書(国外文書)
- 契約書のコピー・写し
- 5万円未満の領収書
特に、電子契約サービス(クラウドサインなど)は印紙税が不要。
最近では、印紙税対策として電子契約を導入する企業が急増しています。
印紙税の納付漏れを防ぐための3つの対策

対策①:契約書のチェックリストを作成
印紙が必要な契約書・不要な契約書を社内で一覧化しておきましょう。
特に以下の4点を確認します。
- 契約金額の有無
- 取引内容(請負・委託・売買など)
- 紙契約 or 電子契約
- 双方の署名・押印の有無
対策②:電子契約を導入する
印紙税は「紙の文書」にしか課税されません。
クラウドサイン、DocuSign、GMOサインなどの電子契約サービスを利用すれば、
印紙の貼付も消印も不要になります。
対策③:税理士・専門家に事前確認
契約形態が複雑な場合は、専門家に相談して判断を仰ぐのが確実です。
特に「請負と委託の線引き」「2通の契約書の扱い」などは、実務上グレーゾーンになりがちです。
まとめ|印紙税の税務調査は「知っていれば防げる」

- 印紙税は、契約書や領収書などの「課税文書」に課される税金
- 税務調査では「請負契約書」「領収書」「注文書」などが重点チェック対象
- 納付漏れが見つかると、本税の3倍(最大5倍)の過怠税が課される
- 電子契約を活用すれば印紙税は不要
- 契約内容・金額・署名押印の有無を常に確認することが大切
印紙税の税務調査は、「知らなかった」では済まされません。
小さな金額でも積み重なれば大きなリスクになるため、
日常業務の中で印紙税のルールを正しく理解し、書類管理を徹底することが重要です。
記帳代行お助けマンにご相談ください!


「印紙を貼るべき契約書か判断できない」
「税務調査で印紙税の指摘を受けたくない」
そんなときは、記帳代行お助けマン にお任せください。
- 契約書・領収書の印紙税判定サポート
- 電子契約導入による印紙コスト削減支援
- 税務調査対策・帳簿整備まで一括サポート
クラウド会計(マネーフォワード・freee・弥生)に完全対応し、
あなたの経理・税務を安心・安全にサポートします。

