保守料とは?基本的な考え方

企業活動において、ソフトウェアや機械設備を導入すると、その後の運用にはメンテナンスやサポートが必要になります。
こうした維持管理やサポートにかかる費用を一般的に「保守料」と呼びます。
代表的な例としては、以下のようなものがあります。
・ソフトウェアの保守契約料(システムの更新やサポート費用)
・コピー機やプリンタなどOA機器の保守契約料
・機械設備やインフラの定期点検料
・セキュリティサービスの利用料
これらは、資産の維持・管理のために必要な経費であり、正しく会計処理することで損益計算に反映されます。
保守料の勘定科目

保守料に使われる勘定科目は、内容や契約対象によって異なります。
以下に代表的な勘定科目を整理しました。
1. 修繕費
- 機械や設備の保守契約にかかる費用は「修繕費」で処理します。
- 例:工場設備の保守料、空調設備の定期メンテナンス費
仕訳例
借方:修繕費 50,000円
貸方:普通預金 50,000円
2. 支払手数料
- ソフトウェアやクラウドサービスに関連する保守料は「支払手数料」として処理するケースがあります。
- 例:会計ソフトの保守料、サーバー管理料
仕訳例
借方:支払手数料 20,000円
貸方:普通預金 20,000円
3. 通信費
- ネットワーク関連の保守料やセキュリティサービス料は「通信費」で処理しても問題ありません。
- 例:インターネットセキュリティソフトの更新料
仕訳例
借方:通信費 10,000円
貸方:現金 10,000円
4. 雑費
- 少額かつ上記に明確に分類できない場合には「雑費」で処理することも可能です。
- 例:臨時的に支払った少額の点検料
前払費用として処理するケース

保守料は1年間分を前払いする契約が多いため、支払い時点では「前払費用」として処理し、月ごとに経費に振り替える方法が適切です。
例:1年分のソフト保守料12万円を一括払いした場合
支払い時:
借方:前払費用 120,000円
貸方:普通預金 120,000円
毎月振替(決算処理または月次処理):
借方:支払手数料 10,000円
貸方:前払費用 10,000円
こうすることで、費用と利用期間を一致させる(発生主義)会計処理が実現できます。
保守料と資本的支出の違いに注意

保守料は通常「経費」として処理できますが、次のようなケースでは資本的支出(資産計上)として扱う必要があります。
・修繕や更新によって資産価値が増加する場合
・耐用年数が延長される場合
・ソフトウェアの大幅な改修を伴う場合
この場合は「建物付属設備」「ソフトウェア」などの資産勘定に計上し、減価償却によって費用化していきます。
保守料の消費税の扱い

保守料は基本的に課税取引に該当します。
- 請求書に消費税額やインボイス番号が明記されていれば、仕入税額控除の対象になります。
- 海外企業に支払う保守料は「輸入取引」として取り扱う必要があり、別途消費税申告が求められる場合があります。
保守料の会計処理まとめ

対象 | 勘定科目 | ポイント |
---|---|---|
機械・設備の保守 | 修繕費 | 維持管理のための費用 |
ソフトウェア・システムの保守 | 支払手数料 | サポート料やライセンス管理 |
セキュリティ・通信系保守 | 通信費 | ネットワーク・セキュリティ |
少額・分類困難なもの | 雑費 | 継続処理を意識 |
1年分一括払い | 前払費用 | 月ごとに振替処理が必要 |
まとめ:保守料の仕訳は内容と契約期間がカギ

保守料の会計処理は、その内容や契約対象によって勘定科目が変わる点に注意が必要です。
機械や設備にかかるものは「修繕費」
ソフトウェアやシステムのサポート料は「支払手数料」
通信やセキュリティ関連の費用は「通信費」として処理するのが一般的です。
また、少額で分類が難しい場合には「雑費」として処理するケースも見られます。
さらに、1年分などの長期契約を一括で支払った場合には、支払時点で前払費用として処理し、利用期間に応じて月ごとに費用へ振り替える必要があります。
つまり、保守料の仕訳では「対象が何か」「契約期間がどのくらいか」「費用の性質は維持か資産増加か」という3つの観点を押さえることが重要です。
これらを正しく判断することで、会計処理の一貫性を保ち、税務リスクを回避することにつながります。
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