はじめに

企業が地域イベントやスポーツ大会、チャリティ活動などに協賛する際に支払う「スポンサー料」。
広告効果を期待して出すものもあれば、地域貢献・寄付の意味合いを含む場合もあります。
しかし、会計上は「広告宣伝費」「寄付金」「交際費」など複数の勘定科目に該当する可能性があり、処理を誤ると税務上の否認リスクが生じます。
この記事では、スポンサー料の正しい会計処理を目的別に整理し、勘定科目・仕訳方法・注意点を分かりやすく解説します。
スポンサー料とは?会計上の位置づけ

スポンサー料(協賛金)とは、企業や個人がイベント・団体・活動を支援する目的で支払う金銭のことです。
ただし「広告目的の支出」か「純粋な支援」かによって、会計処理が大きく異なります。
| 支出の目的 | 会計上の性格 | 主な勘定科目 |
|---|---|---|
| 広告やPRを目的とする支出 | 販売促進活動 | 広告宣伝費 |
| 顧客・取引先との関係強化 | 接待・交際 | 交際費 |
| 社会貢献・寄付行為 | 営業外支出 | 寄付金 |
| 業務上必要な協賛 | 業務関連費用 | 雑費・販売促進費など |
スポンサー料は支出の「意図」と「対価性」を明確にすることが重要です。
単に「スポンサー料」と書かれた請求書だけでは判断できないため、契約書や掲載内容を確認して区分します。
勘定科目の選び方|広告か寄付かを見極める

スポンサー料を処理する際のポイントは、「広告効果の有無」です。
広告宣伝の要素があるかどうかで、課税上の取り扱いが大きく変わります。
① 広告宣伝費として処理するケース
広告宣伝費は、販売促進を目的とした支出であり、スポンサー料の大半がここに該当します。
- イベントパンフレットに会社名やロゴを掲載
- 会場やWebサイトに企業広告を掲示
- YouTube・ラジオ番組・スポーツ大会などにスポンサー表示
会計処理
勘定科目:広告宣伝費(販管費)
課税区分:課税取引(消費税10%)
→ 広告の対価として支出するため、消費税仕入税額控除が可能です。
広告目的が明確なら、金額の多寡に関係なく全額損金算入できます。
税務署に説明できるよう、スポンサー契約書や掲載証明を保管しておきましょう。
② 寄付金として処理するケース
純粋に社会貢献や支援目的で行う支出は「寄付金」となります。
広告掲載などの見返りがなく、完全な善意の支出が該当します。
- 災害支援や募金活動への協賛金
- 地域の学校・団体への寄付
- 寺社・自治体などへの奉納金
会計処理
勘定科目:寄付金(営業外費用)
課税区分:不課税取引(消費税対象外)
寄付金は損金算入限度額があり、法人税の節税効果は限定的です。
特定公益法人(日本赤十字社、認定NPOなど)への寄付を除き、全額損金にならない点に注意。
③ 交際費として処理するケース
取引先や顧客との関係維持を目的とする協賛金は「交際費」扱いになります。
- 取引先が主催するゴルフ大会への協賛
- 顧客企業の周年記念行事へのスポンサー支援
会計処理
勘定科目:交際費
課税区分:課税取引(消費税10%)
中小法人(資本金1億円以下)は年間800万円までは全額損金算入可能。
超過部分は損金不算入となるため、金額管理が必要です。
④ 雑費・販売促進費として処理するケース
広告・寄付・交際のいずれにも該当しない少額の協賛金は、雑費または販売促進費で処理しても構いません。
- 商工会・地域団体の会報誌掲載料(名刺掲載程度)
- 学校行事や地域イベントの少額支援
ただし、「毎年継続的に支払う協賛金」は習慣的支出とみなされるため、寄付金扱いに変更されるリスクもあります。
スポンサー料の仕訳例(ケース別)

ここでは、目的別に仕訳例を紹介します。
【ケース1】イベントスポンサーとして会社ロゴを掲載(広告宣伝費)
借方 広告宣伝費 100,000円 / 貸方 現金 100,000円
(イベントパンフレット掲載料として)
【ケース2】地元中学校へ部活動支援として寄付(寄付金)
借方 寄付金 50,000円 / 貸方 普通預金 50,000円
(学校支援金として)
【ケース3】取引先主催のコンペ協賛(交際費)
借方 交際費 30,000円 / 貸方 現金 30,000円
(コンペ景品協賛)
【ケース4】町内会の行事で少額支援(雑費)
借方 雑費 10,000円 / 貸方 現金 10,000円
(地域行事協賛金として)
税務上のポイント

1. 消費税の課税区分に注意
| 区分 | 消費税の扱い |
|---|---|
| 広告宣伝費・交際費 | 課税取引(仕入税額控除可) |
| 寄付金 | 不課税(仕入控除不可) |
| 雑費(性質により) | 内容に応じて判断 |
特に、請求書に「協賛金」とだけ書かれている場合は、広告掲載の有無を必ず確認しましょう。
2. 寄付金の損金限度額(法人税法第37条)
一般寄付金は、次の算式で損金算入限度額が決まります。
(資本金等の額 × 0.25% + 所得金額 × 2.5%)× 1/2
超過分は損金にできません。
「広告目的」と説明できるよう、契約書・掲載証明を残すことで寄付扱いを回避できます。
3. 契約書・請求書の保存が必須
スポンサー料は、税務調査で「寄付金」と認定されやすい項目です。
以下の書類を必ず保存しておきましょう。
- スポンサー契約書
- 掲載パンフレット・写真・スクリーンショット
- 請求書・領収書(消費税区分が明記されたもの)
まとめ|スポンサー料は「目的の明確化」がすべて

- スポンサー料は、広告目的なら「広告宣伝費」、支援目的なら「寄付金」
- 契約書・掲載証拠を残しておけば、税務署への説明が容易
- 消費税区分や損金算入限度額にも注意が必要
- 毎年支払う場合は経常費用として管理を統一
スポンサー料は一見シンプルでも、税務的には非常に判断が難しい項目です。
支出目的を正確に把握し、勘定科目を適切に選ぶことが、トラブル回避と節税の第一歩です。
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